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【第24話】ラティスの村で依頼

-メモ--------------

レオン(格闘家)

グレイ(剣士)

ユミル(狩人)

ボタン(僧侶)

-------------------


さて、ラティスの村の案内は1分で終わった。

真ん中に連れられてきて、レオンが体の向きを変えながら1つ1つ教えてくれたのだが・・・


「今出てきたここが宿屋。

 隣が道具屋で、その隣が武器屋、その隣が防具屋で、その隣が食堂。

 そしてその隣がギルドで、ギルドの隣が門の入り口。

 その隣が上に上る階段だ」


「はい」


「上は見張り台で、見晴らしいいよ」とユミルが補足(?)をする。


「見に行くか」とグレイが歩き始める。


最後尾でついていくと、ボタンが後で杖を見てみようと話しかけてきて了承した。


見張り台と言っても、各店舗の屋根になる部分をぐるりと城壁の見張り台のように360度見渡せるようにしている感じの作りだった。


平屋建ての屋上なので、高さはそこまでではないが、魔物の上を取れることには変わりなかった。

魔物がやってきたら、ここから槍などでつつくのだろう。


「木、デカすぎですね」


「だなぁ」


「デカすぎて切り倒すのも、運ぶのも無理らしいよ」


何と言っても木の太さが一軒家ぐらいで、高さが一番上が少しかすんでいるぐらいある。


見上げていると森とは反対に伸びている道から、馬車がこちらへやってきているのが見えた。


「・・・あれは食料と、君たちが売った魔石の回収をするギルドの馬車だね」


一緒に眺めていた兵士さんが教えてくれた。


「魔石か・・・魔石はいろんな魔道具や装備に使われるんですよね」


「そうだよ。 ほら、この鎧だって、作る途中で砕いた魔石を入れることで強度を上げているんだ」


兵士さんが自分の鎧をコン、と叩いた。

確か、同じ強度でも金属の厚さを半分にできるとかなんとか。

僧侶の自分には関係のない話だと思っていたけど、ソロでやっていくならある程度は必要だろう。



「杖見に行こう」


ボタンに言われて俺たちは下に降りた。

この村で売られている杖は3種類しかなかった。


ボタンが説明してくれて、腰に吊り下げられる1mの短めの杖を買うことにした。

この杖はベルトにつけるホルダーもセットだったのでこれからは両手が開くことになる。


今までもそれなりに使ってはいた。

曲がり角で先に棒の先を出してみたり、崩れそうな階段を叩いて歩いてみたり。


「今もあまり杖としては使ってない」


そう言ってみたが、


「大きな街へ行ったらたぶん恥ずかしいと思う」


と言われ、なんとなくみすぼらしく見えているんだなと思ったのだ。


「この杖どうしたらいいだろう」


「それ、ただの棒みたいなものだから買い取ってももらえないと思う」


「それ何かの思い出なのか?」


「いや、そうでもないよ。

 僧侶の杖なんて作る価値がないとか言って、村のおじさんに魔力の通る穴の加工を適当にして貰っただけだし」


「まじか・・・そんな事、口に出すなよって感じだな」


「うん。 まあこっちもただで杖が手に入るってことで、我慢してただけ」


いろいろ思い出してきて、もやもやしてきた。


「じゃあ、卒業だな」


「廃棄するなら、一応回収してもいいぞ」


「・・・廃棄はちょっと、いったん考えます」


「そうか」



◇◆◇◆◇◆



「お世話になりました」


「いいって事よ」


「ユージ君頑張ってね」


「頑張って」


「またな」



次の日、俺は4人と別れた。

4人は俺の受けた依頼とはちょっとだけ違う内容で、場所が深部と特定されたものだった。

俺のランクでは公開されていない特別な依頼らしい。


朝ご飯を一緒に食べて、お別れとなった。


俺は宿屋で部屋を3日借りた。

毎日日帰りで帰ってくる。

杖もとい棒は宿屋に置いてきた。


新しい杖、短杖(たんじょう)を腰に下げ森に入る。



「草が邪魔だな」


ぽつりとつぶやいてみる。

ちょっと寂しい。


あの4人に置いて行かれた時の気持ちが浮かんできて、ちょっと落ち込んだ。

あの4との行動が結構楽しかったのかもしれない。



◇◆◇◆◇◆



1時間後。


「よしっ」


狩りは順調だった。

そしてモンスターを倒すごとに気分も回復していった。


幸いにも草より魔物の方がここでは身長が高い。

変な木なのか草なのか分からない背の高い植物もあるけど、ここにいる魔物はデカいので後ろに隠れることもできない。

わかりづらい時はあるけど。


視界が悪く先へ進むのに躊躇(ちゅうちょ)する時は、自分に結界を張ったうえで、ドローンで上空からさっと索敵をしてから進んだ。


ちなみに昨日そういう場所を通るときは、剣士のグレイが草やツタを剣で切り落としていた。


ダンジョンと違い、魔物の密集度もよくない。

1時間で15匹の魔物としか出会えなかったが、すべて銃で1撃で倒して魔石にしていた。


1時間で15匹なら、1日で依頼達成か?

と思ったが、次の1時間では6体しか魔物と出会えなかった。


「ばらつき有りすぎだな・・・よし」


俺はドローンで索敵をすることにした。


魔物が識別できるくらいまで高度を上げる。


「居る居る」


上から見たらそれなりに魔物が居るのを確認できた。


「あのがけを登らないといけなさそうだな」


どうやら簡単に人が行けないような場所に魔物はたまっているようだ。

上れそうな場所を探して頑張ってがけを上る。


「いてて・・・ヒーリング」


ツタを掴んだ手が赤く痛くなったので、回復魔法で回復させる。

そういえば昨日の4人はみんなグローブをつけていたな。


今日帰ったら防具屋で聞いてみよう。



◇◆◇◆◇◆


「ユージか、おかえり。けがはないか?」


ラティスの村の門に来ると、上から兵士さんが顔を出して話しかけてきた。


「はい、平気です」


「そうか、じゃあ入ってゆっくり休んでくれ」


「ありがとうございます」


俺は村に帰るとすぐ右にあるギルドに入り魔石を提出した。


「ユージはそうとう強力なギフトを持っているんだな」


(かご)の中の魔石の小山を見て受付けのおじさんが方眉(かたまゆ)を上げた。


今日倒した魔物の数は40だ。


「あと2日で60を超えれば依頼達成だな」


「何とかなりそうです」


「何とかなるか。

 1日でこの数は普通4人パーティーで出す数なんだよな」


「あはは」


「よし、おい、ユージの魔石だ」


「はいよ、おお一杯だ~」


カウンターの後ろ経由で受付けのおじさんが、

魔石の入った(かご)を買取カウンターのお兄さんへと渡す。


ビッグショウリョウバッタ 4000ゼニー×6

ビッグキリギリス 4000ゼニー×6

ビッグいもむし 3500ゼニー×5

ビッグアゲハ蝶 4000ゼニー×8

ビッグモンシロ蝶 4000ゼニー×15


ドローン索敵の結果だが、飛んでいる蝶がとても目立った。

後は地道に目視で探したのだが、動いてないことが多くて上からは見つけづらく、

蝶は上空から、それ以外は地上5mほどの高さで高速ドローンをとばし探すのが楽だった。

時々ドローンに反応して振り向く魔物が居てそれは分かりやすかった。


-------------------------------

残高:6,986,000

入金:157,500

-------------------------------

       ↓

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残高:7,143,500

-------------------------------


700万ゼニーの大台に乗ったぞ。

特に、だから何かあるわけではないけどね。



「ごくろう。じゃあ明日も頑張れよ」


「はい、それでは」


俺はギルドを出ると、ほぼ目の前にある防具屋に入る。


「よう、ユージか」


「こんにちは。手袋ありませんか?」


「ああ、グローブだな。ここではこの3種類しかないが」


店主のおじさんが引き出しを開けてそのままカウンターに乗せた。


「一応どれも性能は同じで、オールマイティに使える。

 まあ剣士でないならこっちの2つのどちらかだな」


「つけてみてもいいですか?」


「いいぞ」


残った2つを試着した結果、薄手の革のグローブが気に入って買った。


「一応どれも魔石で強度を上げているが、結局は消耗するから使い捨てになる。

 それでもいいか?」


「はい」


俺が購入のためにギルドカードを出すとおじさんは、あっという顔になった。


「ああ、ユージはCランクだったな、悪い。

 子供に見えてつい余計な説明までしてしまったよ・・・」


「いえ、よくわかっていないことも結構あるので助かります」


装備は基本全部そうだ。

手入れをしても使っていくうちにへたってしまうのだ。


-------------------------------

残高:7,143,500

支払:50,000

-------------------------------

        ↓

-------------------------------

残高:7,093,500

-------------------------------


グローブは使用者の活動のスタイルによるが、大体数年は持つらしい。

ツタを掴んで上り下りすると確実に寿命は短くなりそうだ。


「明日も頑張れよ」


「ありがとうございます、それでは」

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