【第21話】到着、アギリ大陸!そして第一冒険者発見!
-メモ--------------
レオン(格闘家)
グレイ(剣士)
ユミル(狩人)
ボタン(僧侶)
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「んで、ユージ、お前ひとりなのか?」
レオンたちは俺の後ろをチラチラと見ながらそう聞いてきた。
「うん、俺はソロの冒険者で、ここにもひとりで来たよ」
「はぁ・・・マジかよ、そんなに強そうには見えないんだけどなぁ」
「失礼なこと言うなよレオン、人は見かけによらないだろ」
「まあ、そうなんだが」
ふと横を見ると僧侶のボタンが狩人のユミルの口を後ろからふさいでいた。
もしかしたらユミルは失言系狩人なのかもしれない。
まあ僧侶がソロだからな・・・
「えと、ここってアギリ大陸で会ってますか?」
「あってるよ」
「ここは街ではないですよね、近いですか?」
「ん、一番近い街はここから歩いて3日くらいだな。」と格闘家レオン。
「村だと、こっから1日くらいだけどな」と剣士のグレイ。
「村」と吹き出す狩人ユミル。
「どっちの方向ですか?」
「ん~でもお前その前に、こっちでやっていけるのか?」
格闘家のレオンが頭を書きながら俺の目を覗き込んできた。
「魔物が倒せるかって事ですか?」
「そうだよ。ほら、そこにちょうどいいのが居るからやってみろよ」
「おい、お前何様だよグレイ」
「いや、何様ってわけじゃないんだけど」
「魔物を倒せばいいって事ですか?」
「ユージ君ごめんねレオンがバカいっちゃって」
狩人のユミルがそう言った。
「まあ、道を歩いてたらどうせ倒すんだし、私たちも安心したいから・・・ね?」
僧侶のボタンが申し訳なさそうにそう続けた。
「いえ、こっちもどんな魔物が居るのかは知りたいので
俺たちが話し込んでいた場所から外がしっかりと見える位置に来るまで30秒ほど歩いた。
「え、でかっ!!」
穴から外に出ると、そこは巨大な世界だった。
その辺の木さえも、一軒家ぐらいの太さがあるし、幹に沿って見上げるも、もはや木の先っちょがかすんでいて分からない。
「ほら、あいつでお前の力が通用するか試してみなよ、何かあったら俺たちが守るからさ」
レオンが指さした先を見ると・・・
「でっか!」
そこには180cmくらいの伸長をした、緑色の幼虫がぼんやりと佇んでいた。
よく見ると口からは葉っぱが飛び出しており、食事が終わってまったりしている最中のようだ。
「まあ、ここはでかいよな」といいながら剣士グレイが腕を組む。
「ブヨブヨだけど、皮めっちゃ固いよ」とモンスターの情報を教えてくれる狩人ユミル
格闘家レオンも腕を組み、僧侶ボタンはじっとこちらを見ていた。
巨大な幼虫との距離は200メートルほどか。
俺はライフルを手に取り、実体化させる。
「え?」
タァン!
ビスッ
ドサリ
的がデカいうえに止まっていたので狙いを付けすぐに撃った。
「おおっ、なんだそれ。もしかしてギフトか?」
「はい」
俺は手のひらを広げ、ライフルの実体化を解除、ライフルは半透明になって俺の右肩のホルダーに戻っていった。
「ヒュウ、やるじゃん、ユージ!」
レオンは嬉しそうに近づいてきて俺の肩を叩いた。
「痛った・・・ところで4人はここで何してたんですか?
俺みたいな人が来たときに、今みたいに試して、
ダメだったら帰らせるような仕事をしてるんですか?」
そういうと4人は苦笑した。
「違う違う、俺たちはちょうどここで休憩していたんだよ」
「ここね、強力な結界が張られてるから、休憩するのにとっても便利なの」とユミル
「まあ、数日拠点にするぐらいは許されてる」と剣士グレイ。
「私達はギルドの依頼でここに居るの」と僧侶ボタン。
つまりこの4人はたまたまここにいて出会っただけだった訳か。
「ところでそのギフト、人にも攻撃できるのか?」
「え? それはやったことがないから分からないけど」
「じゃあさ、ちょっと俺を攻撃してみてくれよ」
「え、なんでですか」
「なあボタン、回復してくれるだろ?」
「え、いいけど・・・」
「よし、ほら」
「え、嫌です、怖い」
「じゃあ、手だ、ほら、俺の右手の、手のひらを攻撃してみてくれ」
俺が助けを求めるように周りを見るが、だれも止めようとはしない。
ちょっと申し訳なさそうな顔はしている。
人を撃つ?
そう考えて一気に心拍数が上がった。
そんなこと考えたこと・・・はあったけど、本気じゃなかった。
VRゲームでは、人に撃っても、何事もなかったかのように無反応だったが、これは現実だ。
「大丈夫だ、回復ならできる。なんならポーションもあるし」
レオンはポシェットからポーションを取り出した。
あれは中級HPポーションかな?
「俺を犯罪者として捕まえるとか、しないですよね」
「それは絶対しないよ。あほだろそんな事したら」
「そうだな、それだけはない、大丈夫だ」と剣士グレイ
「うう・・・じゃあ、手をやればいいんだな?」
「おう、来い!」
俺はハンドガンをホルダーから取り出し実体化させた。
みんなの視線が俺の右手に集まった。
(まあ、言いがかりをつけられたらさくっと俺が回復すればいいか?)
俺はこの時、ある意味追い詰められて正常な判断が出来なかった。
安易に人を撃ってしまったのだ。
タン!
「うわっ」
「おお」
「・・・どういうこと?」
俺が撃った弾丸は、レオンの右手の中で高速で回転して、10秒ほどしたらフッと消えた。
「レオンのスキル?」
遠距離攻撃無効という言葉が頭に浮かぶ。
「違うよユージ」
レオンは右手の手のひらを、左の親指でごしごしと擦りながらそう言った。
むずがよそうな顔をしている。
「じゃあ・・・フレンドリーファイアなしってこと?」
「ふれ・・・よくわからないけど、ユージのギフトは、
人間には攻撃ができない、しても、今みたいに意味がない、
その代わりその制約で、魔物に攻撃した時の威力を上げているんじゃないかな」
レオンはしたり顔でそう言った。
「・・・人に効かない気はしてた。
でもそれで威力が上がってるかは分からないけどね」
「まあ、そっか」
「・・・でも、それだと俺は、人間相手にはただの僧侶ってことで、悪意のある人間への対抗手段がないことになるのか」
「そうだな。こっちの大陸だと、1つの力だけでやっていこうとするとどっかで足をすくわれる。
だからユージはギフト以外の戦い方を学んでいくといいかもな」
「ううむ・・・レオンありがとう」
「おうよ!」
これがレオンの意図だったのかな・・・
「まあ、威張らなければ大丈夫!ね?」
狩人のユミルがそういって笑いながら他の3人に同意を求めた。
「そうだな。目立たないことが一番かもな」と剣士のグレイ
「謙虚が一番」と僧侶のボタン
「わかった、謙虚で、威張らずに活動するよ。 あと第二の戦い方も」
そういうと4人は笑ってうなずいてくれた。




