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【第12話】地図を見て怖がる

「おはようございます」


「おはよう、ユージ君、朝食持っていくから好きな席に座ってね」


「はい」


昨日はあの後宿屋に戻ってきて夜ご飯を頂いてからすぐ寝た。

地図を開いてパラパラとめくっていたところで、疲労の限界が来たからだ。


ヒーリングでいくら体力を回復しても、失った血やたまった疲労は消せないようで、脳が強制シャットダウンをかけてきたのだ。

俺は何とかベッドへもぐりこみ、掛布団を掛けたところで意識を手放した。


一応食堂に地図を持ってきたので広げてみる。


大まかな都市やダンジョンのマークが書かれたツクシ大陸全体の地図、

次に王都を中心にしたこの辺の地図だ。


この周辺にあるダンジョンの大まかなMAPもある。


(魔物的には、どれも問題なさそうだな。

 あとは時間当たりの狩れる数ってところだよな)


サルの魔物に襲われたときに思い出した記憶の中に、

物事を進めるために必要なちょっとした考え方などの知識も入ってきた。

それが冒険者としてやって行くのに、ちょうどよくはまった感じがする。


「はい地図しまってね~」


「あ、おいしそうです」


「いっぱい食べるでしょ?大盛にしておいたから」


「ありがとございます!」


俺は声量を抑えつつも、声を弾ませるようにお礼を言った。


「食べ終わったら食器はあの台にトレイ(ごと)置いてから上がってね」


「わかりました」


「ごめんね、テーブルに置かれたままだと食べ終わったのか、

 トイレに行ったのか、部屋に物を取りに戻ったのかがわからなくて、何度かトラブルになっちゃってね」


「な、なるほど・・・」



◇◆◇◆◇◆


「ごちそうさまでした」


俺は返却台にトレイを置く。


「お粗末様でした~」


他のお客さんの朝食を運んでいたお姉さんがにっこり笑って返事を返してくれたのを聞きながら自分の部屋へと戻る。


「さて、地図の確認を終わらせて、狩りに出ないとな」


テーブルに地図を広げる。


王都から見て、

北は山エリア、中腹にダンジョン


西は我が村のアルク村方面。

この地図で初めて知ったが、アルク村と王都の中間くらいにダンジョンがあるようだ。


東は地方都市のハルベンへと続く道と、深い森、いくつかのダンジョンがある。


南は内海とぶつかり行き止まり。


その代わり東南、西南へ陸地が続いている。


東南は、丸太のバリケードの絵が長い距離描かれており、その絵の上に文字で「未開の地」と書かれている。


未開の地の文字の下には注釈があり、

何度か開拓のために人を送ったが、どこかにあるであろうダンジョンでスタンピードが発生したようで、たくさんの魔物が徘徊しているため行かないように。

的なことが書かれていた。


ちなみに西南は高い山が遮って進めないため、こちらも未開の地だ。


内海には、巨大な蛇の絵と半分に割れて沈む船が書かれている。

内海から見に行くのも無理みたいだ。


「怖っ・・・」


たくさんの魔物、銃があれば倒せるだろうけど、数が多かったら弾の問題がある。

未開の地に行ってソロでレベル上げって訳にはいかなそうだ。


今のところは。


「今日は初日だからな。

 一番近い、東のダンジョンの下見にでも行ってみるか」



◇◆◇◆◇◆


「お前ひとりか? 気を付けてな」


「ありがとうございます」


来た時とは違う東門の冒険者用の出入り口から出る。


目の前には草原、少し先に雑木林(ぞうきばやし)といった風景だ。

この辺は西とあまり変わらない。


ちなみにお弁当は、東口の横にあるお弁当屋で大きなサンドイッチ2個入り250ゼニーを買ってきた。

水筒も持っていなかったので買って、サンドイッチを買った人だけ使っていい、すぐ横にある冷たい井戸水を入れた。


この季節は朝とても寒いが、歩いているうちに体も熱くなるから平気だと言われたが、こぼれた水で悲鳴を上げたぐらいに冷たかった。

どうなんだろう。



地図の方向と、時々ある立て札を頼りに1時間ほど進むと、ダンジョンの入り口と、その周りにたむろしている冒険者たちが見えてきた。


入り口の横ではポーションを売っている露店もあった。

ちょっと、割高かもしれない。


-------------------------------

HPポーション(小) 700ゼニー

MPポーション(小) 1200ゼニー

携帯食 各種     700ゼニー

水入りすいとう   700ゼニー

-------------------------------


+200ゼニーかな?

まあ需要があるからここで商売しているんだろう。


俺は露店を素通りしてダンジョンの中に入った。


一人入っていく俺を見て、近くにいた男性が舌打ちをする。


「あいついつになったら来るんだよ!」


少しして後ろから聞こえた会話によると、遅刻者がいるらしくダンジョンに入れないようだ。

俺が気に入らなくてという事ではなかったようで胸をなでおろした。



◇◆◇◆◇◆


東のダンジョン1


入り口に入ると、明るいのは入り口付近だという事が分かった。

奥の方は真っ暗だ。


ランタンや松明(たいまつ)なんて持ってない。

昨日巡ったお店のどっかで売っていたか?


普通ならここで涙を流しながら1時間の道のりをUターンするしかない。

何しろ真っ暗だから。


しかし俺は。


「ぽちっとな」


頭についている半透明のLEDライトを点灯するだけだ。

真っ暗だったダンジョンが、昼間のように明るくなった。


明るさを下げて電池の消耗を軽減する。


「これぐらいでいいな。

 っと、すぐ目の前は壁になっているのか」


目の前は壁で、横に通路が伸びているようだ。


俺は立ち止まったまま右手で銃を実体化させる。

うむ、ちゃんと今日も使えそうだ。


「あ、回復してるやん!」


右手のハンドガンに視線を移した瞬間、(100/100)という文字が見えた。

素晴らしい。


「寝たら回復するのか?」


問題は0まで撃ち尽くしてみて、100まで回復するかだ。

1日で10発かも知れないからな。


「まあさっさと先に進むか。後ろから人が来るだろうからね」


俺はハンドガンのレーザーサイトをONにしてから歩き始めた。

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