【第11話】服と防具を揃える
「まいどあり~」
俺は頭を下げてから服屋を出た。
部屋着ならぬ街中着を買ったのだ。
ちなみに街の外で着る服は冒険者の装備となる予定だ。
「いい買い物ができたな」
宿屋のお姉さんから教えてもらったのは街の古着屋で、
買い取った古着を針子さんたちが修復して売っているところだった。
俺はそこで1着1,200ゼニー、3着で3,000ゼニーになるお得なコーナーでシャツとズボンを買った。
母が縫ってくれた服はボロボロだったので買取は出来なかったが端切れにはなるとのことで無料で引き取ってもらった。
それはまあ、次に村に帰ったときにでも報告しよう。
お支払いは現金のみだった。
3,000ゼニーを支払い、財布の中身は1,200ゼニーとなった。
さて、冒険者用の服はここでは売っていないとのことで、今度はそちらへ行く。
今手にはシャツとズボンがある。
ちょっとかさばるかもな。
ポシェットを展開し、リュックの形になったインベントリの空きスペースに、買ったばかりの商品を突っ込んでみる。
しかし入る感じがせず、素通りした。
やはりこのインベントリは、こちらの世界のものは入れられないようだ。
なんかもったいない。
◇◆◇◆◇◆
「いらっしゃい」
古着屋の紹介でたどりついた防具屋に入ると、おばちゃんの定員さんが声をかけてきた。
「どんなものが欲しいの?」
「ええと、森とかダンジョンとか、ある程度どこでも行けるような上着が欲しいです。
ズボンは、今はいてるこれで行こうかと」
「あら、そのズボンも穴が開いてるじゃない。
魔物相手じゃ素材がちょっと貧相かもね」
「素材からダメでしたか」
「あんまりお金かけたくないのはわかるんだけどねぇ」
「・・・わかりました、死んだら元も子もないですからね」
「・・・予算はいくらぐらいかな?」
「手持ちだと1,000ゼニー、ギルドカードで支払いできるなら、・・・1万ゼニーくらいかな?」
俺は片眼をつむりながら、苦しい感じの声を出す。
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残高: 18,500
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「あら、1万ゼニー出せるなら、この辺りで通用するのはあるわよ」
「本当ですか?」
「ええ、上下で1万ゼニーで探してあげるわ」
「お願いします」
「そうね・・・ちなみに剣? 魔法? 弓?」
「魔法とか弓の系統です」
「え? まあいいわ。じゃあこれとこれね」
おばちゃんは上着とズボンを持ってきた。
「上着の下のシャツは古着とかでもいいけど、上着はこれぐらいはないとね」
「おお、堅そうな上着ですね」
「これは革のジャケットよ。
革の鎧よりは劣るけど、薄い鉄の板もここと、ここと、あと背中のここにも入っているから安心よ」
「重くないですか?ちょっと着てみても?」
「あなた男の子でしょ。まあいいわ、どうぞ」
おばちゃんが広げてくれた上着を羽織ってみる。
まあ、重いけど、鉄の板で守られるならいいかな?
それに、レベルも上がってそこまででもない。
デザインはちょっとカッコつけすぎかなという感じはする。
これだと僧侶よりは、ガンマンって感じかもしれない。
俺の持っているギフト的にも、時代が違うガンマンって感じで合わないな。
「これにします」
「ああ、じゃあズボンも試しておいで」
「はい」
俺はおばちゃんが指さした方向にある試着室に入る。
うん、サイズもぴったりのようだ。
「サイズぴったりでした、この2つ買います」
「あいよ! じゃあおまけでぴったり1万ゼニーにしとくよ」
(1万オーバーの品だったのか)
「ありがとうございます、ちなみに靴ありませんか?」
「靴もあるよ、でもどうする?予算だけど」
「いくらぐらいあれば、この服と同じぐらいのランクのものになりますか?」
「2,500・・・いや、長く使うことを考えたら5,000かな?」
そういいながらおばちゃんが靴を持ってきた。
「ほら、こっちなら金属の板で指先から足の甲まで保護されるし、色も合ってるよ」
「おお、かっこいいですね、じゃあ・・・買います」
「ほんとかい、じゃあ14,000ゼニーでいいよ」
俺はギルドカードで支払いをした。
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残高: 4,500
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残高が1日でかなり心もとなくなってきた。
でも宿屋にはすでに支払済みだから当分は大丈夫・・・。
明日からはさっそく依頼を受けないとね。




