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家ごと異世界転移!? ~家族と恋人とアイテムボックスな家で、元の世界に帰るまで~  作者: ねこあし


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第41話:虚無を識る力と、知識の浄化

黒いクレーターの中心、穢された知識の聖石を掲げるリーダーが放つ「虚無の知識」が、俺たちの精神を蝕んでいく。頭の中に響く無数の声、絶望と虚無の未来の知識。このままでは、俺たちの精神が崩壊させられてしまう。


「くそっ…! なにか…何か手はないのか…!」俺は頭の中で必死に打開策を探した。【空間支配者】、【強制収納】、【アイテムボックス】。この状況で、最も効果的なのは…。


俺は、自分の核となるスキル、【アイテムボックス】に意識を集中させた。そして、同時に【空間支配者】を最大限に発動させる。


「虚無の知識」は、情報として精神に直接流れ込んでくる。ならば、その「情報」そのものを、俺の【アイテムボックス】で「収納」することはできないのか?


これは賭けだった。これまで物質しか収納できなかった【アイテムボックス】で、「知識」という概念を収納できるのか。しかし、俺の【概念収納】はまだ覚醒していない。だが、俺は「家」という巨大な「空間」を収納できるのだ。ならば、この膨大な「知識」の波も、ある種の「情報空間」として捉え、収納できるかもしれない。


俺は、決意を固めた。


「【アイテムボックス:概念収納コンセプトストレージ】!」


俺がそう叫んだ瞬間、俺の身体から、まばゆい光が放たれた。光は、俺の頭の中に流れ込もうとする「虚無の知識」を包み込み、まるで渦を巻くように、俺の【アイテムボックス】へと吸い込まれていく。


『…な…なに…!?』リーダーが驚愕の声を上げた。


頭の中に響いていた無数の声が、ピタリと止んだ。精神を蝕んでいた重い圧迫感も消え去り、思考がクリアになる。


「健太くん…! 虚無の知識が…消えた…!?」美咲が信じられないといった顔で呟いた。


「すごいよ、お兄ちゃん! あの知識の魔力、全部お兄ちゃんのアイテムボックスに入っていく!」萌が興奮したように叫んだ。


俺の【アイテムボックス】の中に、「虚無の知識」という概念が収納されているのを感じる。それは、まるで無限の情報が詰まった図書館のようであり、同時に、全てが空虚な無の空間のようでもあった。


これで、俺は「知識」という概念を収納できるようになった。これは、俺の【アイテムボックス】が、【概念収納コンセプトストレージ】へと進化した証だ。


リーダーは、俺の予期せぬ行動に動揺している。その隙を、俺たちは見逃さなかった。


「今だ! 一斉攻撃だ!」父が叫んだ。


父は、自身の【地殻接続】と【重力制御】を組み合わせ、クレーターの地面から巨大な岩石の腕を複数出現させた。岩石の腕は、リーダーと周囲の黒ローブたちを拘束しようと襲い掛かる。


母は、生命力に満ちた光を周囲に放ち、【大地の巫女:生命のライフスプリング】を発動させた。倒れている人間たちの身体から、さらに強い生命力が戻っていく。彼らの顔色も、次第に生気を取り戻し始めた。


美咲は、【運命交渉】でリーダーの精神に干渉した。

「あなたたちの計画は…破滅へと向かうだけよ! その『知識』は…虚偽よ!」


美咲の言葉が、リーダーの精神を揺さぶる。リーダーは、一瞬だけ、その表情に苦痛の色を浮かべたように見えた。


萌は、【魔力演算支配者】で、リーダーの魔力構成の僅かな乱れを読み取った。

「お兄ちゃん! リーダーの魔力、不安定になってる! 今なら、あの黒い知識の聖石に、直接干渉できるかも!」


俺は、迷うことなくリーダー目掛けて突進した。リーダーは、岩石の腕と美咲の言葉に阻まれ、反撃が遅れる。


「【空間支配者:強制転移フォースシフト】!」


俺は、リーダーの目の前の空間を歪ませ、一瞬だけリーダーの動きを止めた。そして、その隙に、穢された知識の聖石目掛けて手を伸ばす。


リーダーは、自身の身を盾にして聖石を護ろうとするが、俺の【空間支配者】は、その動きを上回った。


「【概念収納:知識の解放(コンセプトストレージ:ナレッジリリース)】!」


俺は、聖石に触れた瞬間、自分の【アイテムボックス】の中に収納されていた「虚無の知識」を、聖石へと「解放」した。


まるで、嵐が過ぎ去ったかのように、穢された知識の聖石から放たれていた禍々しい黒い魔力が、一瞬にして消え去った。聖石は、その黒い輝きを失い、本来の清らかな、知性を象徴する青白い光を放ち始めた。


「な…馬鹿な…! 我らの…知識が…!」リーダーが絶望に満ちた声を上げた。


知識の聖石の浄化と共に、クレーターの中心から天へと伸びていた黒い光の柱も、急速に縮小し、やがて完全に消滅した。空を覆っていた黒い靄も晴れ、陽光がクレーターへと降り注ぐ。


リーダーは、浄化された知識の聖石を見て、呆然としていた。彼を操っていた黒い魔力も、その勢いを失っている。


俺は、リーダーの顔を覆っていたフードを剥がした。そこに現れたのは、疲弊しきった、しかしどこか見覚えのある顔だった。


「お前は…!?」


俺は驚愕した。その顔は、この異世界で何度も耳にした、そして歴史の教科書にも載っていた、この世界の「古き英雄」の一人にそっくりだったのだ。


「そんな…まさか…」


リーダーは、その虚ろな瞳で俺を見つめ、力なく呟いた。


「…真理を…識らぬ…愚かな…」


彼の身体から、黒い魔力が完全に抜け落ちていく。そして、彼は、意識を失ってその場に倒れ込んだ。彼の支配下にあった黒ローブたちも、同様に意識を失って倒れていく。


この世界の異変の元凶は、かつての英雄だったのか?


俺たちは、浄化された知識の聖石を【アイテムボックス】に収納した。七つの聖石全てが、再び俺たちの手元に、清らかな輝きを放っている。


しかし、戦いはまだ終わっていなかった。この英雄を操っていたのは誰なのか。そして、彼らがこの世界を破壊しようとした本当の目的は何だったのか。


俺たちの、新たな謎を解き明かす旅が、今、始まる。

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