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家ごと異世界転移!? ~家族と恋人とアイテムボックスな家で、元の世界に帰るまで~  作者: ねこあし


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第25話:炎の鎮魂歌と、目覚める守護者

炎の荒野。灼熱の熱波が揺らめく中、萌の【魔力演算支配者】が、暴走する炎獣フレイムビーストの魔力構成を書き換えようとしていた。彼女の身体から放たれる青い光は、炎獣から放たれる灼熱の炎と拮抗し、まるで炎の中に青い螺旋が描かれているかのようだ。


「クソッ…! 萌、急げ!」父が叫びながら【地殻接続】で巨大な岩壁を作り出し、炎獣の猛攻を防いでいる。岩壁は炎獣の火の玉によって次々と溶かされていくが、父は諦めずに新たな壁を生み出し続けた。


母も【大地の巫女】で、父の体力と岩壁の耐久力を回復させようと努めている。美咲は、炎獣の攻撃の隙を縫って【運命交渉】を試みるが、暴走した魔物には、その言葉は届かないようだった。


俺は【空間認識】と【強制収納】を駆使し、炎獣が放つ火の玉を次々と消し飛ばしていく。だが、炎獣は休むことなく炎を吐き出し、その熱気で周囲の空気は歪み、視界さえも霞んでいた。


萌の額には、大粒の汗が流れ落ちている。その小さな身体は震えているが、瞳の輝きは、まるで燃え盛る炎の中心を見据えるかのように、揺るぎない。


「もう少し…! あと少しで…!」萌が苦しげに呟く。


その言葉を聞いた瞬間、炎獣の身体を覆っていた炎の色が、大きく変化し始めた。灼熱の赤から、次第に穏やかなオレンジ色、そして最後には、まるで夕焼けのような、温かい光へと変わっていく。


炎獣の咆哮が、次第に鎮まっていく。その巨大な身体を覆う炎も、勢いを失い、ゆっくりと収束していった。


やがて、炎が完全に収まると、そこに立っていたのは、もはや凶暴な魔物ではなかった。炎獣は、巨大な火蜥蜴サラマンダーのような姿に変わり、その瞳は、赤い炎ではなく、穏やかな黄金色に輝いている。


「グオォ…」


火蜥蜴は、もはや攻撃しようとはせず、ただ静かに俺たちを見つめている。その身体からは、強大な魔力が放たれているが、それは荒々しいものではなく、どこか優しく、そして荘厳なものだった。


「やった…! 止まった…!」美咲が安堵の声を上げた。


「萌…お前、本当にやったのか…!」父が驚きに目を見開いた。


萌は、その場にへたり込み、息を切らしていた。その魔力は、ほとんど空っぽになっている。


「うん…この炎獣は…もともと、この地の守護者だったんだよ…だけど、何かの理由で…魔力が暴走して…苦しんでた…」


萌の【魔力演算支配者】は、炎獣の魔力構成を書き換え、その暴走を止めるだけでなく、その本質、そして「心」さえも読み解いていたのだ。


その時、火蜥蜴が、ゆっくりと首を垂れた。そして、その口から、一際大きな火の玉が吐き出された。火の玉は、地面に落ちると、溶けるように形を変え、一つの輝く石へと姿を変えた。


それは、燃え盛る炎のような赤色を帯びた、美しい宝石だった。その石からは、温かく、そして力強い炎の魔力が放たれている。


「あれは…まさか…!」


俺はすぐにその石に【鑑定】スキルを試みた。


【炎の聖石:灼熱の紅玉】


・種別: 聖石(七大聖石の一つ)


・特性: 燃え盛る炎の力を司る聖なる紅玉。熱を操り、錬金術や鍛冶にも応用可能。その力を完全に引き出すには、内に秘めた情熱と、燃え尽きない強い意志が必要となる。


・解説: 古代の炎の民によって崇められてきた聖石。火蜥蜴はこの聖石の守護者だった。


「これだ! 五つ目の聖石だ!」俺は興奮を抑えきれずに叫んだ。


俺は、聖石にそっと触れた。すると、灼熱の熱が指先から身体中に流れ込んできたが、それは不快なものではなく、まるで身体の奥底から力が湧き上がってくるような感覚だった。そして、俺が「収納」と念じると、灼熱の紅玉は、まばゆい光を放ちながら、俺の【アイテムボックス】の中へと収まっていった。


聖石を収納すると、火蜥蜴は、満足げに俺たちを見つめた後、ゆっくりと炎の粒子となって、荒野の風に溶けて消えていった。


「これで…炎の荒野の異変も収まるだろう」父が静かに言った。


母は【治癒の加護】で萌の魔力を回復させ、萌も次第に顔色を取り戻していく。


俺たちは、五つ目の聖石を手に入れた喜びに浸った。そして、改めて萌の【魔力演算支配者】の力の偉大さを実感した。彼女は、単なる魔力の制御を超え、魔物の「心」にまで働きかけることができるのだ。


炎の荒野を後にし、俺たちは次の目的地を探す旅を再開した。聖石の力と、家族それぞれの能力が進化していくことで、俺たちの旅は、より困難な試練へと導かれていく。


五つの聖石を手にし、残りは、あと二つ。


次に待ち受ける聖石は、一体どんな力を秘めているのだろうか。そして、その聖石を護る者は、どんな存在なのだろうか。元の世界へ帰るための道は、いよいよ終盤に差し掛かろうとしていた。

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