魔獣討伐隊
第一魔獣討伐隊、うちの領に存在している対魔獣専門に近い隊で全部で3つ編成されている中で最も戦力となる隊だ。他2隊は人数としてはそこまで多いわけではないが、非戦闘員等も合わせると軽く100名は超える隊で、正直に言えばかなりの財源を食っている隊である。
このような隊を抱えているのにはもちろん訳があり、単純にこの領には魔獣が多いのだ。森林が豊富であり、木材資源に困ることはすぐには無いのだろうが、森林を無暗に開拓していくと魔獣とこんにちはというわけだ。
最近は亜人と魔獣の中間のようなものも多く報告されていることから、簡単に財政が苦しいからと解散をさせられない状況にはなっている。先の戦争でもちらほらいたが、「ゴブリン」や「オーク」というものがこの中間のようなものに該当する。
学者たちの中には今までこのような中間物が見つからなかったのが、我々人が開拓するよりも奥深くに出来た独自の亜人コミュニティであるという解釈でもって、あれらを亜人種とすべきという者もいるが、人とはまた違う衛生概念を持っているのか常に泥がどこかについており、腰巻のようなものを捲いてはいるものの、およそ洗うことはされていないのだろうという臭いを放っている。
そのため、一般的には亜人種ではなく魔獣という括りの中に入れられており、人里付近に目撃されれば山狩り等をして対応している。
そんな魔獣討伐体の中でも第一は私がこの領にきてからすぐに作り出した隊であり、最も規模が大きく軽く200名以上はいたはずだ。
それを束ねている女隊長がこちらに来たので、手をあげて存在をアピールする。
「勇者御一行には先に紹介しておきましょう。我が領の最大戦力といっても過言ではない第一魔獣討伐隊を束ねる女傑、クラリス・エーバイン殿だ」
金髪の長髪を後ろで束ね、少し釣り目になっている瞳、すっとした鼻立ち、黙っていれば美人といえる顔立ちの彼女が私の言葉をうけて勇者殿たちに話しかける。
「うむ!紹介に預かった、クラリスである!貴君らが噂の勇者達であるか!結構、結構!戦地では平時のような新兵として扱うことはできないであろうが、そこは留意されよ!」
声が大きいのだ…近くにいると耳が痛いほどに声量があるのだ…それゆえ、戦場でも隅々まで声が届くのは良いことなのだが…。ちなみに既婚者である。
「む!今何か失礼なことを考えなかったか、シャル!」
「何も考えてないし、そんなに大声じゃなくても聞こえるよ。それは旦那さんに常々言われてないのかい?」
「ツバァイにそのようなことは言われたことは無いぞ!」
彼女の旦那であるツヴァイズ・エーバインは闇魔術の天才的な使い手なのだが、あくまで自分は魔術師の枠組みであると言い張っている変人である。彼も同行している筈なのだが、どこだろうか…どうやら魔女殿に興味を持ったようだ。彼女の影の中からぬるりと出てきた真っ黒のローブを目深に被った長身の男が彼女を見下ろしている。
「これが我が国が切望していた勇者だというのか?・・・あまりにもではないか」




