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とある貴族の望蜀  作者: 彼岸渡利
平穏という幻想
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戦後の喇叭

 また厄介な御仁が出てきいるようだ、宰相殿が動いているとなれば簡単に情報は出てこないだろうし、その辺は徹底させていそうだ。


 「宰相殿は中立派だったはずだ、どこかに鞍替えなされたのかな」


 「どうやら聖王国も絡んでいるようなのですが、顔無しどもが頻繁に国境を出入りしているようです。」


 「ということはあまり深入りすると不味いな、引き際を間違えると引きずり込まれかねない。今の糸は全て切れ、手繰られかねない」


 「かしこまりました、垂れ下がらせておきます。」


 ここまで盗み見しておいてどこまで許してくれるかはわからないが、国政について囀ってしまえばもれなく魑魅魍魎に目を付けられる。そんなのは領地のことを考えれば御免被る。


 「国の舵取りについてはお偉方に丸投げしてしまえばいい、聖王国に対してもどういう対応するのかも気になるが、あの戦地から逃げ出した魔族はどうなっている。何か手掛かりはあったか」


 「えぇ、えぇ、えぇ、それについてはほんの少しですが進展しましたよ。どうやら奴さんらは公国方面に逃げて行っているようなのですよ。」


 「公国となると少なくとも2度越境しなければならんだろう、どこかで網にかかれば良いが」


 公国というのは帝国内にある公爵が自治権を認められている領土のことで基本的に帝国の法が適応されるが、公法というものがある。原則として人に対して効力を持つものは禁止されているが、それ以外は自由に出来るようになっているが、現公爵はそれをしていないようだ。


 「気長にしなければいかんか、宝は気が長いものに集まるだ。連邦や聖王国、帝国からの「商品」はどこまで輸送出来ているんだ。」


 「はい、はい、はい、それについては恙無くと言いたいところですがそれについては少々問題が発生しておりますよ」


 「どういうことだ、各国の法に乗っ取って仕入れているんだろう。」


 「そうなのですが、仕入れではなく王国内での「販売」に問題が出ております。」


 「商品」内容があれだけに受けれ入れられるとは思っていないし、これは少数の中立派貴族と共にしていることのため、常に進捗を気にしなければならない。


 「はい、はい、はい、勇者御一行が手当たり次第に奴隷商人の店に捜索を入れていますので、すぐに動けない状態となっております。」


 各国が様々な手段で手に入れていた王国民を買い付けて、私であれば諜報や書類仕事が出来そうな人物であれば引き取り、他のものは武勇に優れたものを引き取ったりと出資者全員で人員確保の名目で奴隷商人を数名抱え込んでいる。

 こちらも利益があるからこの計画に参加しているが、まさか勇者御一行に睨まれることになろうとは…。


 「勇者御一行に奴隷というのは不評ということか?」


 「どうやらそのようですね、奴隷というのは御一行の世界では無くなっているもののようですね、頻りに人権がどうのというのを叫んでおられるそうです。嗚呼、ですが最近獣人の「元」奴隷の戦士を仲間にしたようですね。」


 決して奴隷というものが綺麗なものでないということは承知しているが、最前線の村落、親を亡くした者、敗戦国の兵士、町々の薄暗い路地で生きていくことも出来ずに野垂れ死んでいく者がいる中で劣悪な環境でも雨風をしのぐことが出来、最低限の空腹を満たすことが出来る場所があるというのは重要なことなのだ。

 もちろん商人たちも商売なので経費は少なくしようとするものもいる。そういう場所については勇者殿が動くまでもなく王国自身が動いているため、潜っているの以外は比較的綺麗に商売をしている。


 「そういうことなら協力者に早めに連絡をいれていやってくれ、別に元締めになったつもりはないが耳に入ってしまった以上知らせておかないと寝覚めが悪い。」


 「それについてはすでに動いておりまする。」


 「あまり派手に動けなくなってしまったな、しばらくは内政に注力するほうがいいだろう。」


 魔獣や魔族の脅威を表面上は退けて、中央が王国民にとっては不毛な暗闘を繰り広げ始め、それを勇者が更にかき回して上っ面のとてもとても聞き心地の良い政が蠢いているのを私は自身の領地を維持しながら傍観していた。

 事態が動き始めていることに気が付いて対応が遅れてしまったことに気が付いたのは冷える手を暖炉で温め、足跡を白い地にのこした冬を越え、新たな生命の萌芽を喜び、これからの繁栄を夢枕にしながら日々を迎えようとしていた時だった。

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