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閑話 その頃の聖女

 聖都ホシガタの中枢である“カトリーヌ様が御和おわす難攻不落にして雅やかな聖なる五色ごしきの宮殿”通称五聖殿のある一室でカトリーヌは頭を抱えていた。


「ああああ! 大変よ! 大変だわ!! なんてこった!!」


「落ち着いてください、カトリーヌ様」


「姉さま、取り乱しすぎ」


 カトリーヌの側近であるロアイトとマリンがなだめるが、二人の表情も曇っている。


「これが! 落ち着いてられるかってのよ! ああ、どうして! なんで!」


「今、探索部隊を派遣していますから……」


「奴らの居場所なんて今までずっと分からなかったじゃないのよ!」


「それは姉さまが本気で探す気がなかったから」


「くっ……」


(今まで問題を放置していたからだ)


「うるさいわね! あんたは黙ってなさい!」


「姉さま、怖い」


「マリンにあたらないでください」


「別にマリンに言ったわけじゃないわ!」


「じゃあ誰に言った?」


「誰でもいいでしょ!」


「とにかく」と言ってカトリーヌは机を思い切り叩いた。


「カミヒトにも伝えないとまずいわね。ちょっくら行ってくる!」


 カトリーヌはそう言うと側近の言葉も待たずに部屋を出た。向かう先は超越神社につながる鳥居。五聖殿の中庭にそれはあった。白く悠然と佇む鳥居は入口が淡く光っている。この先に“伝説の神社”がある。


 カトリーヌはいつものように鳥居を潜り超越神社へと来た。すぐに探知魔法を発動する。


「カトリーヌ・サーチ!」


 カミヒトがいないか超越神社を隈なく探したが見つからない。


「やっぱりあっち(ニホン)にいるのね」


 カトリーヌは境内けいだいを突き抜け本殿の裏庭まで走る。そこには日本側と異世界側をつなぐ朱い鳥居があり入口がほのかに光っていた。


「おっ? やりぃ! つながってるじゃない! さてはカミヒトがオフにするの忘れたのね」


 普段はカトリーヌが勝手に日本に来られないように入口を閉じている。繋がっていないときは鳥居の入口は光っておらず背景の木々が見えるばかりであったが、このときはなぜか日本側へとつながっていた。


 カトリーヌはそんな異変に気にもとめずカミヒトのミスだと決めつけ鳥居に勢いよく飛び込んだ。彼女はくれぐれも勝手に日本に来ないようにと、カミヒトから念を押されていたが全く守る気はなかった。

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