悪役令嬢、クズ王子、恋愛脳ヒロイン(笑)の源流のひとつを見付けた気がしているという話
一部で「乙女ゲームのひと」として有名な弓良 十矢です(そんなにいばれる程やってない(..;))。
「またお前か」と思ったかた、今回はひとあじ違うのですよ<(`^´)> いばりますよ(`・ω・´)!
昨夜高血圧すぎて耳鳴りやら眩暈やらで眠れなくなった時に、ちょっと前に書いた「正ヒロイン殺す二次創作世界に正ヒロインとして転生してどうしよ?」的な小説あの部分がこうだったほうがよかったかなとかでも夢で大筋決まってるし自分の一存であんまりかえられないんだよなとかむにゃむにゃ考え、ひょいっと「悪役令嬢が「結局はいいひと」なのって、あれも原因のひとつじゃね?」と思い付いたのです。
そこから連鎖的に、クズ王子や恋愛脳ヒロインの源流もここに多少あるのでは……? と考えがすすんだので、今回はそのエッセイです。あ、そのあとしばらくしたら落ち着いてちょっと寝ました。大丈夫です。
さてちょっと自分語りです。
わたしは腐女子です。メインで連載している作品も片方はBLです。
が、男女カップルや百合カップルにはまることも多々あります。BL過激派の腐女子ではないということをご認識ください。
で、はまるカップリング(音楽の話じゃないのです。AちゃんとB王子が結婚したらいいのにね! そしたら万事解決だよ! と小説やらまんがやらを読みながら妄想するあれですよあれ)ですが、まあ世間さまと意見が合わないというか、二次作品をさがしても見付からないことがほとんど。
BLや百合カップルなら「そ、そういうジャンルじゃないんだきっと!(そのジャンルの人気同性カプばかり検索にひっかかりつつ)」と自分を落ち着かせることもできるのですが、男女カップルの場合感情がどうにもならない時があります。
しかも人気の男性キャラとサブヒロインだったりすると、それが酷い。原作でも絡みあるじゃん! ○話でふたりきりの描写あったじゃん! 別行動時に凄く心配してる描写あったじゃん! 視聴者の目は節穴か!? と部屋でじたばたします。それなのに兄妹カプが人気だったりすると血反吐はきます。自分でも書いてるけど他人の書いたこのカップリングを見たいんだよお~! とだだをこねます。
わたしと同じような情況に陥るかたにおすすめの方法がひとつ!
それは、「夢小説」。
わたしが書いてるみたいな「夢にあったことを書いた小説」ではなく、「原作に登場しない正式な名前の決まっていないヒロインを登場させてキャラと絡ませる小説」です。
よくわからんというかたはググって。あ、混同されますがオリジヒロインはまた別物です。オリジヒロインはしっかり名前が決まっていて、設定もがちがちにかためてあり、その名前で読むことが推奨されていますし、そもそも名前変更できない場合もあります。
もとはとあるまんがのキャラと恋愛したい! というご友人を持つかたがはじめたらしい夢小説。目新しいし面白いしで、一気に市民権を得ました。今でも書いているかたはいらっしゃいますし、読めます。
自分で好きな名前を入力して、本文を表示すると、ヒロインがその名前に。キャラが名前を呼んでくれます。
もうお気付きですね?
そうです。マイナーカプにはまったら、その男性キャラの夢小説をさがし、自分のなかでのヒロインちゃんの名前を入力するのです。
勿論「なるたけ全キャラ出します!」みたいな原作愛の強い書き手さんだと、主要キャラと同じ名前をつかえないようにされていたり、つかえても作中でふたりヒロインちゃんが出てきたりしますが、前者の場合はヒロインちゃんにちなんだちょっとかえた名前にしてしまえばいい(別作品の同じ声のキャラ名にしてしまうとか、別作品のよく似たキャラの名前にしてしまうとか)。後者は「同姓同名なんて世のなかになんぼでもある」と思いましょう。
これで自分で書かなくてもマイナーカップリングの小説を読めます。ヨカッタネ!
と、そんな経緯で夢小説をばんばん利用していたわたし。
勿論、ほとんどの夢小説が原作リスペクト、この出来事をこう解釈してこう利用するのね! 成程、夢主(夢小説の主人公のこと。デフォルト名がこれだったりする)が裏でこんなふうに動いていたからここでこうなったってことか! と感心することもしばしば。自分と違う解釈を読んだ時は、原作のその部分を読み直し、めちゃくちゃ原作読み込んでるやん……と呆然となることも。
なのですが、勿論そういう神みたいな書き手さんばかりではありません。
ただただ、自分の好きなキャラと夢主の絡みを見たい、というかたもいます。
そこまでは健全です。スポーツもののキャラなら試合と試合の合間にデートするとか、バトルものなら戦闘が落ち着いている時に部屋デートするとか、ファンタジーならふたりでモンスター退治に行ってレベル上げという口実でデートとか、ふたりきりの場面をつくる方法は(多少無理すれば)幾らでもあります。原作のほかのキャラ達がそれに協力してくれている、なんて描写もいいですし。
ところが、一部には暴走するひとも居ます。
原作改変、というか改悪というか、日常系のストーリーなのに突然戦闘が始まったことにして推しキャラと夢主をふたりきりにする(そして夢主はやたら強い(~_~;))、原作キャラを(それが見せ場ということではなく)殺す、原作キャラの性格を悪くする、ばかにする、クズにする……など。
それなのに推しキャラは夢主が大事、俺がまもるよ、みたいな感じだし、夢主は夢主でお花畑だし。
これってどこかで見たことありませんか?
クズ王子と恋愛脳ヒロイン、これに近い気がするんですよね。
さてもうひとつ、自分の失敗というか、やらかしというか、でもどこにも公開してないからセーフでしょ、な例をひとつ。
とある作品が好きなわたしは、その作品の公式カップルに納得がいかず、二次創作をちまちま続けています。
わからないように細部を変更しつつ書こうと思いますので、感想欄に「あの作品ですよね?」など書かないように。反応できません。
作品のヒロイン候補は、初期から出ていた正ヒロイン(以下ヒロインA)、やはり初期からでていたサブヒロイン(以下ヒロインB)、序盤の終わり頃に仲間になったサブヒロイン2(以下ヒロインC)。
主人公は最初、ヒロインBといい感じでしたし、半分くらいのファンが彼女とくっつくのだろうと思っていました(弓良 十矢調べ。周囲でその作品知ってる人間に訊いた。そこでは全員がヒロインB派だったが、自分の周囲が偏っている可能性とネットなどでの人気も加味して半分に修正)。
その後、途中参入したヒロインCが、参入時から主人公の憧れのひとになり、ぐんぐん距離がつづまっていきます。
ところがとある失敗で、ヒロインCは仲間を離れることに。みんな別れを惜しみます。
そのあとから、ヒロインAが台頭しはじめ、最初は控えめだったのが最後には主人公に自らアタックする程に。結局主人公はヒロインAとくっつきます。
作品自体素晴らしいのですが、ヒロインAのことはわたしは未だに納得がいっていなかったりします。ヒロインAの設定的に、そこに手を出すか主人公よ、という感じになってしまうのです。
で、数年前たまたま、「物語の大筋はかえていないけど、主人公がヒロインBとくっつく二次創作」を発見します。それも、物語の最初から最後までをしっかりなぞった大長編。最初のとあるきっかけが違うだけで、その後の話が徐々にずれはじめ、原作とは展開がちょこっと違うけれど、ヒロインBが正ヒロインになっているのです。
それを発見して衝撃をうけました。それまで、「何巻の何話と何話の間にこんなことがあったかも」くらいのあっさり目な二次創作しか見付けることができなかったからです。
そこから、そういう長編の、主人公×ヒロインBの二次創作をさがしはじめます。すると、出るわでるわ、結構存在していたのです。
ところが、断筆しているものも多数。という訳で、ちまちま、自分が読む為だけの二次創作を開始しました。そのジャンルの二次創作はしたことなかったから、資料集めに相当時間がかかった覚えが(^◇^;)
そこでわたしのやらかし。まあ、どこにも公開していないし、自分しか読んでいないのでセーフだとは思いますが、ヒロインCに「とある行動」をとらせたのです。たとえですが、原作では居ない彼氏を出す(主人公の友人キャラにその役割をあてはめる)、など。
それがあるので、主人公はそうそうにヒロインCを諦め、ヒロインBを見る時間が長くなる。
更に、ヒロインAは、原作とは(設定的に齟齬が出ないように選びながら)所属先をかえてしまい、主人公と長時間過ごせなくする。当然、ヒロインBの登場比率が上がりますし、主人公とヒロインAは所属が違ってお互いをくわしく知らないので、恋愛に発展しようがない。そのかわり、ヒロインBとヒロインAは女の子同士ということで知り合って親しくなり、ヒロインAがヒロインBの恋愛を応援するという立場になる。
その上で、原作でもあった戦闘の規模を大きくして怪我人を増やし、ヒロインBの医療担当的側面を際立たせ、活躍の場をつくり、知識や賢さをそれとなく披露させる。その場面では主人公にも怪我をさせて、ヒロインBに泣かせ、鈍い主人公にヒロインBの気持ちを推し量らせる、そのことで周囲が主人公とヒロインBをカップル扱いしはじめ、ヒロインAが諦める……など。
その課程で、とある女性キャラに、ヒロインBと対立するような言動をとらせています。原作では途中で裏切り、ヒロインBが大怪我をする原因をつくっているキャラなので、最初のほうで悪役として出してしまえば裏切りもうまくいかない=ヒロインBちゃんが怪我しないですむ! という思考です。ついでに、主人公がヒロインBを庇うシーンにもなって見せ場じゃん? と、
でもこのキャラがいなかったら、ヒロインA・Cのどちらかに、ヒロインBに意地悪する役割をあてはめていたかも……?
思い返すと、公式で相手が居るキャラの夢小説、うまいひとは円満に別れさせているか、そもそも公式のカップルが誕生する前に夢主を出現させているか、公式カップルがその二次創作内ではお互いに気持ちが最初っから欠片もない、など、穏便な方法で公式カップルの存在を抹消しています(抹消しといて穏便もないか(;´Д`))。
ところがなかには、本当にごく一部ですが、正ヒロインを悪役に据え、夢主にあらゆる意地悪をさせ、原作主人公がそれに気付いて正ヒロインに幻滅&夢主がけなげで可愛いと気付く……みたいなやつもあるのです。
これって、「王子が許嫁である身分の高い令嬢の悪事に気付いて、身分の低い女性との真実の愛を見付ける」ってやつですよね?
原作リスペクトが感じられない二次創作の夢主やオリジヒロインは、なにかしらのチート(その世界を作品として知っている知識チート、ほかのヒロイン達の能力をあわせたような力がある、内政に異常な手腕を発揮するなど)であることが、個人の感想ですがほぼ確定です。
誤解のないように書いておきますが、チート持ちの夢主orオリジヒロインだからその二次創作がクソだということではありません。それは順番が逆です。
夢主やオリジヒロインにとんでもない比重を置いて物語をすすめようとするので、まずその作品内では絶対に誰にも負けないだろうという絶対的超越的な能力を与え、そこからストーリーを制作するのです。なのでストーリーが原作からかけはなれたものになることが多い。
結果として、原作キャラの活躍はほぼ夢主orオリジヒロインに奪われ、正ヒロインは夢主orオリジヒロインの恋路の邪魔なので、主人公から絶対に好かれないように、ばか&欲深&性悪に改変される。
やっぱり、悪役令嬢もの(悪役令嬢がガチの悪役の場合でも、そうでない場合でも)によくある設定のような気が。悪役令嬢のほうに本当は理がありますよという話だと、お花畑ヒロインの能力はにせものだった! なんてことになるのでしょうが。それだと、悪役に改変されている正ヒロイン、が悪役令嬢な訳です。その手の夢小説やオリジヒロイン小説に対するカウンターだったりして。
昨今よくある悪役令嬢もの、この辺りに源流のひとつがあるのかも? と思った、という話でした。
書いてて思いましたけど、能力が高いほうが正しいことしてるっていうのもどうなんですかね(; ̄ェ ̄)?
別に、能力高くてもチートでも、それ悪用しようと思えばできるし……実は悪役令嬢のほうが真の聖女だった! 力があるほうが正義! みたいなやつ多くないです? すげえディストピア。
結び・推しキャラ愛、自キャラ愛強すぎ注意。自分も肝に銘じます(;´Д`A