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2. 戻って来た残念エセ女神と首斬りロゼ

「しくしくしくしくしくしく・・」

「主殿ひどいのじゃ!こやつ等の生け贄になった気分だったのじゃ!」

「マスター、この仕打ち、ニ度目ですよね?」

「アオイ様?こういう放置プレイはご褒美になりません。」

「アオイ、土下座はいいから、わたしからアーゼを引き剥がして」

「アリーたんも同罪だかんね。うりうりうり」

 

ああ、騒がしい連中が戻ってきた。

あのまま異世界に永住させておけば幸せだったな。

 

彼女達は美人過ぎて目立つ。

引っ越しの時、両親や妹に見付かる訳にはいかない。


その為、一度異世界に放り込んで、引っ越しが済んで、落ち着いたら呼び戻すように、約束していたのだ。

 

異世界には、何故か俺の机の引き出しから行ける。

どうしてそうなったのか、皆目見当がつかないので、そういう運命だったと諦めるしかない。

 

そこから出てきたのが、コイツらだ。

 

①アンドロイドの始祖 ロゼ


「しくしくしくしくしくしく・・」

「だー!しつこい!泣き止めロゼ!」

 

俺の太腿に顔を埋めて、ワザとらしい泣き声を上げ続けるロゼ。

徐々に股間に近付くのをやめろ。

 

「はい、泣き止みました。」

「急変し過ぎて恐い!」

 

何事も無かったようにパッと起き上がるな。

 

「では、どうすれば?」

「ぐすん・・謝って欲しいですぅ・・って、上目遣いで言ってみて。」

「ぐすん・・謝って欲しいですぅ・・」


おっふ、ものっそいかわいい。

 

ロゼは引き出しの奥に繋がってる異世界から、一番最初にやって来た問題児1号。

正体は、人類が絶滅した世界で、人類の復活を願うアンドロイド。

人間大好き。

 

超々々々々高度な技術の塊で、ナノマシンを駆使して様々な物を生み出したり、法則をねじ曲げたり出来る。

それを見た俺は、女神が降臨したと錯覚した。

中身は駄目で残念なポンコツアンドロイドだったのだが。

 

ちなみに俺は、何度か身体を改造されている。

もう半分人間じゃない・・。

 

また、スライムみたいな本体なので変身はお手の物。

だから性別は無い。

女性の姿をしているのは、俺に気に入られようとした結果。

俺の好みを100%反映しているので、ドストライク過ぎる。

かわいい。そしてあざとい。

 

ちなみにロゼを始めとするアンドロイドは、全て俺を主人としているが、嘘はつくし、言う事を聞かない。

ロボット三原則なんて全然守らないぞ?大丈夫なのかコイツ等・・。

 

 

②異世界の魔族 リア

 

「うう、怖かったのじゃー!」

「お前、相変わらずアイツ等が苦手だよな。」

 

2週間、俺という保護者を欠いて、ロゼ達と一緒にいたリアの心労は相当なものだった様だ。

 

「あんな恐ろしい力を持ったスライム軍団、恐れるなという方が無理じゃ!主殿の神経がどうかしておるのじゃ。」

「俺から見れば、お前も不思議生命体の一人なんだがな。」

 

このナイスバディな美女はリア。

本当の名前はクソ長い。

異空間を漂っていたのを救出したら、ウチに住み着いた。

 

種族は、サキュバスと樹木の精のハイブリッド。

頭に触手、背中に翼、尻に尻尾がある。

人や花や果物の精気を食べて生きている。

好物はベタにバナナ。

 

魔素という不思議粒子がある世界出身なので、魔法を扱う。

魔素はあらゆる事象を柔軟化するという特性があり、その特性を魔法として行使している。

 

実は眠ると意識が入れ替わる二重人格者。

裏の人格は、元サキュバスの魔王ラティア(仮名)

リアの世界では、お伽噺にもなってる有名人。

 

リアの本当の名前は、ハートエラルド・ハイデンキシル・コアニケルート・ミシェラルディア・イムオサイト・ナーバ・ヤタ・ヒクネ・ヘリカワンヌ・リアラティアフーマ・セオレンロニュート・ペイザンヌ

 

最初のハートエラルドからヘリカワンヌまでが魔王ラティアの転生歴史。

その文字数から魔王ラティアがどれ程長く生きてきたかを窺い知る事が出来る。

 

母親の名前がリアラティアで、フーマは配偶者の名前。

リアが今の名前を名乗ったのは、母親の名前を継いだから。

 

魔王が中の人になっているせいで、大変な人生を歩んできた。

本人に自覚はないが、リアの世界ではどうやら規格外の魔力量らしい。

いつもロゼと仲良く喧嘩してる。

出会った当初、大変イカ臭かった。

 

 

③競馬狂いの借金アンドロイド セラ


「マスター、わざとですか?わざと忘れましたね?」

 

セラが責任追及してくる。メンドイ。

  

「違う、能動的に忘れた訳じゃない。マジでスッカリ忘れてた。つまり不可抗力だ。」

「まるで反省の色がない!?」

 

「ああスマン、反省するのも忘れてた。」

「深刻な認知症!?」

 

人間大好き迷惑居候アンドロイド2人目、セラ。

ポニーテールが似合う健康的美人。

真面目で真っ直ぐな性格なのは良いが、自由過ぎる3人衆のロゼ・アーゼ・ライアより立場が弱く、リーダーシップが発揮できずにいる可哀想な子。

 

その反動か、競馬好き。

競馬新聞とスルメとワンカップがあれば一日過ごせる。

だが、全く当たらない。驚くべき才能の無さ。

お陰で借金がどんどん膨らみ、預金管理者のアーゼに頭が上がらない。

 

実は中の人は、()()。地球の魂が入ってる。

たまに現世の地球と喧嘩して、地震を起こす災害原因。

 

 

④残念宇宙管理者 アーゼ


「アオイ様、この過失に対する謝罪を要求します。」

「却下だ。」

 

「あれ?全然悪いと思われてない?」

「違う、どうせ碌でもない要求だろうから、予め拒否した。」

 

「ローラちゃんをメチャクチャにしたいだけなのですが?」

「それを許可すると、後で俺がローラにイビられるから嫌だ。」

 

人間大好き迷惑居候アンドロイド3人目、アーゼ。

ストレートのロングヘアがキマッている、知的な麗人。

情報収集と分析統合のエキスパート。

保有エネルギー量は最強だが、裏方に回る役回りが多い。

 

中の人は()()。銀河どころか、宇宙の魂が入ってる。

宇宙の創始者。偉い、超偉い。

なのにマゾっ気が強い。残念。

 

宇宙管理者は、各異世界に居て、皆さん太陽と月と地球を沢山創って、何とか人類が生まれる事を願っている。

人類が居る世界は、宇宙管理者のステータスらしい。

人類が居ないと、生み出される情報量が簡素で、死にたいくらい暇らしい。

だから彼女達は、人間大好き。

人間の為なら、靴でも悦んで舐める・・・ダメだろそれ・・。

 

ローラが大好物。

 

 

⑤月のゲーム廃人 ローラ

 

「アオイ、アーゼを素粒子レベルにまで分解したい。」

「欲求がストレートに言葉に出てる!」

 

先程からローラは、アーゼから抱き付かれていた。

本人は逃れたいが、動けない模様。

 

「アーゼを分解して、うんこにしたらアオイにあげる。」

「要らねえよ!」

 

人間大好き迷惑居候アンドロイド4人目、ローラ。

ゆるふわウェーブロングヘアの無表情お嬢様。

中の人は月。月の魂が入ってる。

 

オンラインゲームにハマった廃人。

無休憩10日間ブッ続けでゲームして、全身に埃が積もっていた事があり、ホコリさんという別称がある。

チート無し無課金のプレイヤースキルだけでノーミスノーダメージを続けており、一部に熱狂的ファンがいる。

本人自体がチート存在なので、詐欺だと思う。

 

アーゼが苦手・・むしろ嫌い。

アンドロイドのクセに、異常に勘(第6感)が鋭い。

ちみっこくて、ぺったんこなのだが、子供扱いされるとキレる。

キレると手加減しないので危ない。

 

 

⑥太陽のあーしさん ライア

 

「あーしはまー、どーでもいいんだけどね。」

「お前が一番マトモに感じると、もう終わってるって色々諦めたくなるな。」

「え?まだ終わってないって思ってんの?ウケるーw」

「お前に言われると腹立たしい!」

 

人間大好き迷惑居候アンドロイド5人目、ライア。

セミロングメッシュの自由奔放系美人ヤンキー。

自由奔放な性格で、ロゼとコンビで放置すると、碌でもない結果しか生み出さない。

常識外れな言動で、おバカと思われているが、意外と鋭い核心をついて来る一面がある。

 

他のアンドロイドが、壊滅的な料理の腕の中、唯一マトモな料理が出来る。

 

中の人は太陽。太陽の魂が入ってる。

太陽だからなのか、焚き火が大好き。

けしからん乳しとる。

 

 

「とにかく、この家に引っ越したのはお前らのせいだからな。キビキビ働いてくれたまえ。」

 

俺は偶然にも、()()()()()()()()()()()を所持してしまった。

こんな物がある事が、もしも公になったら、マトモな生活は送れない。

国に問い質され、マスコミにデタラメ書かれる事だろう。

俺の生活の安寧の為にも、絶対に隠し通して、封印するつもりだった。

 

だが、ロゼが出て来てしまった。

彼女の懇願に負けて、迷惑かけないなら滞在を許可した。

すると芋蔓式にリアやアーゼ達が出て来て、住み着いてしまった。


現在進行形で、盛大に迷惑をかけられており、今すぐ元の世界に返品したい衝動に駈られるが、お陰で刺激的な毎日を送っており、何だかんだと可愛い奴らなので、踏み留まっている状態だ。

 

 

人間を見るだけで大興奮するアブナイアンドロイド達。

 

自分達の世界では、人類が絶滅してしまったので、暇。

すっごい暇!

暇過ぎて死にたくなるレベル。

 

人間面白い。人間がいない世界はつまらない。

それが宇宙や星が抱く感覚らしい。

 

この世界「現世」は人類が発展してて、羨ましい。

どう導けばこうなるのか?知りたい。

私達の何が悪かったのか?分からない。

だからこの世界に滞在して、ヒントを掴みたい。

というのが、彼女達(正確には性別はない)の希望。

 

俺は人類が絶滅した原因は、コイツ等のせいではないかと思ってる。

人間が大好き過ぎて、過保護にし過ぎて絶滅させて来たんじゃないかと思うんだが・・。

 

ちなみに、この世界「現世」も、あと500年後には、ロゼのような超高度なアンドロイドの基礎を生み出す技術レベルに到達するらしい。

その際は、開発者にロボット三原則を徹底させるように、未来の誰かが伝えて欲しいものだ。

 

「ダンナダンナ、焚き火しよう!」

「キビキビ働けって言ったの聞いてなかったのか?」

 

ライアが早速自由過ぎる。

俺はこめかみを押さえて、怒りを抑えた。

 

「だって燃やすヤツが沢山あるじゃん!」


どうやら薪棚を見たようだ。


「あれは冬に使うんだよ。遊びで燃やすものじゃないの。」

 

足りなくなったら困る。

 

「じゃあ今からダンナが作って、あーしが燃やす係でどう?」

「作った端から燃やされると腹が立つ!」

 

何だその掘った穴を埋めるような、不毛な作業は!

 

 

「アオイ、早くアーゼを剥がして。」

 

ローラから救難要請。

先程からアーゼがローラに抱き付いて離れないのだ。

 

「アーゼ、いい加減にローラを離せ。」

 

「・・・・。」

 

「無視か!」

 

このアンドロイド、アンドロイドのクセに主人である俺の言うことを聞かない。

実に面倒臭い。

設計開発者に盛大なクレームを入れたい。

 

尚、ローラがアーゼのハグから脱出出来ないのは、アーゼの髪の毛がローラを束縛しているからである。

彼女達アンドロイドは、髪の毛を自在に操って、様々な事が出来る。

髪の毛一本で、かなりの重量を持ち上げたり出来る。

 

目に見えない強化した髪の毛を、ローラの全身に巻き付けて固縛しているのだ。

無論、同じアンドロイドであるローラも、同様に抵抗をするが、アーゼの方が一枚上手らしく、勝てないそうだ。

 

「ロゼ、アーゼを・・」

「了解ですぅ。」

 

俺が指示を言う前に快諾したロゼ。

やり取りを見ていたのだろう。

それ以上言わなくても分かってくれた。

 

しかし、ロゼはその場からは動かない。

何もしていないように見えるが、実は違う。

 

何もしていないように見えて、不可視の世界で超高度な攻防を繰り広げているのだ。

今もアーゼに自分の髪の毛を送り込んで、ローラを救出している筈である。

 

・・・。

 

「ロゼ、変化が無いんだけど?」

「え?()()()()()()()()との指示ですよね?」

 

うん、

何もしていないように見えて、マジで何もしてなかった・・。

 

俺 の 信 頼 を 返 せ !

 

「あの流れで何でそうなるんだよ!?見ろよローラの非難の視線!」

「ロゼも分解したい。」

 

恨みを込めた視線を送るローラ。

 

「ではアーゼを無視しなければ良いのですか?」

「無視するとか、しないとかの問題じゃねぇ!」

  

「じゃあどうすれば良いんですか?」


逆ギレされた。

 

「アーゼをローラから引き剥がせ!」

「じゃあそう言って下さい。」

「言う前に了解って言ったのはお前だろ!」

 

「・・・。」

「なんだその不満気な顔は!俺なの!?まさかこれ俺が悪い流れなの!?」

 

あーもーイラッとくる!

 

「分かりました。可及的速やかにローラを解放します。」

「早くしてやってくれ。ローラが憐れだ。」

 

「ふふふ、わたくしはそう簡単に離れませんよ?」

 

いや、ここまで言われて何故自主的に離れないのか。

空気を読め宇宙管理者!

アーゼもその天元突破した無神経具合をいい加減・・

 

ザン

 

ボトッ

 

「は?」

 

 

アーゼの()()()()()()()()()()()

 

 

アーゼの長く綺麗な髪の毛が、パラパラと床に散った。

アーゼの頭が床に転がり、無表情に俺を見詰めていた。

目が合った。

 

「ぎゃーー!」

スプラッター!

「ふう、ロゼ、グッジョブ。」

 

解放されたローラが、何事もなかったかのように・・いや、ちょっと嬉しそうな顔で立ち上がった。

そして、床に落ちたアーゼの頭を一瞥し、無造作に踏みつけた。

 

それメインキャラが、やっちゃ駄目なヤツ!

 

「ミッションコンプリート。」

 

ロゼ、やりきった、いい笑顔。

いや、違う違う違う!

仲間の首が落ちた!

恐い恐い恐い!

 

「さすがはロゼ、相変わらず見事な切断面です。」

「ロゼっちの首斬りカッター、エグいよねー。」

 

そこの二人、感想がおかしい!


「首斬りを評価をするな!もっとマトモなやり方出来ないの!?」

 

「「「!?」」」

 

「その不思議な生き物を見る目をやめろ!」

 

その目をしたいの俺だから!

 

 

俺もコイツらとそれなりに付き合ってる。

アンドロイドは、首を落とされたくらいでは死なない。

だから俺はアーゼの事を何も心配はしていない。

 

だけど、映像的にはかなりクるからね。

リアなんて、恐がってカーテンの裏に隠れて蹲っているが、全然隠れられていない。

隠れるのが下手な小動物の様だ。

 

「いえ、あの方法が最適解です。正攻法でアーゼを攻略すると時間がかかります。有無を言わせずアーゼの束縛糸(髪の毛)から解放させるには、物理的に両断が最速であり、効率的でした。」

 

セラが落ち着いて解説した。

説得するより、髪を切れば早いと。

 

「髪の毛だけじゃなくて、首ごと斬ったけどね。」

 

要するに髪だけ切るのは面倒だから首ごと斬った。え?何が悪いの?

そう言いたいと。

 

「ダンナはそう言うけど、アーゼの首、一撃で飛ばせるのは、ロゼっちくらいだかんね。あーしでも三回くらい斬らないと落とせないし。」

「ライアは分かってるですぅ♪」

「首斬りの技術を認め合うな!首じゃなくて髪の毛だけ落としてね!」

 

まずは首を斬らずに済む方針を語るのが本筋じゃないかな?

平和的解決策をガッツリ省いてませんか?

 

それから、ここ俺の自宅なんだけど?

戦場とか斬首台じゃないからね!

首を斬るのが当然の殺伐とした場じゃないからね!

 

「スカッとしたから、グッジョブ。」

「頼むから首斬りを推奨しないで!」

 

ローラ、ロゼを弁護するな!

 

「アオイ様、首を斬られたくらいで大袈裟ではないですか?」

「普通は首斬られたらアウトだから!それ、首斬られた本人の言動じゃないよね!?」

 

アーゼは胴体から離れた首を、自分で持上げてくっつけながらそう言った。

何でもアリだな、コイツ等は・・。

 

 

このように、コイツらと居ると、自分の常識が非常識に思えてくるから恐ろしい。

何気ない日常が、マトモに過ごせないのだ。

心労が絶えない。

 

俺が存在を忘れたくなるのも、理解して欲しい。

 

 

そんな日常が1ヶ月程過ぎた。

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