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駅員

作者: もじ

俺は怪談話が好きで飲み屋で出会う客にはいつも話をねだっていた。

その日は廃村で駅員をやっている男でその駅というのがまさかの俺の地元、さらに以前仕事で訪れた所で不思議な縁を感じた。


「へえ、うちの駅を知っている……珍しいこともあるもんだ」


「へへへ、とはいえ覚えてるのは酔っ払って駅前でねっ転げてたことぐらいだけどねえ」


駅員と二人がははと笑い合った。

白髪頭に眼帯をつけている彼は還暦前くらいの年齢に見えた。


「まあ怪談話というか……私の体験したことなんだけどねえ」


その日もいつものように終電の時間になって駅を閉める作業をしていたんだが。


女の子、がいたんですよ。


セーラー服を着ている。

こんな時間だ、私は駆け寄って事情を尋ねたんだ。

そしたら親と喧嘩をして家を飛び出したと言うじゃないか。

警察に渡すべきだったんだろうが同じ年頃の娘がいてね……放っておけなくて駅員室にいれることにした。


で、喧嘩の原因ってのが恋人との子を妊娠してしまったことらしくてね。

恋人っていうのが悪い男で妊娠の話を聞かされるや否や別れ話を持ち出してきたとか。

親御さんの気持ちもわかるが体のこともあるし私はお嬢ちゃんをお宅に送り届けようとしたんだ……。


…………。


そこまで話した後、駅員は急に黙ったかと思うとビールを一気飲みしけらけら笑い出す。


「やめた、こりゃ怪談じゃねえ」


「何だい気になるなあ」


俺が続きをねだると駅員はお詫びとばかりに別の話を始める。


そうそう、これは何年か前の話だがその日も終電を終えたころベンチに一人の酔っ払いを見つけてね。

叩き起こそうとしたんだけどね……。


…………。


また駅員は話をやめる。

俺はまたかよと抗議するとまたけらけらと笑う。

その時、何故か眼帯を誘っていた。


とはいえ駅員とは話が弾みお互いの連絡先を交換した。

そして早速連絡があり今度女性を紹介してくれるそうだ。


独身の俺にはありがたいことこの上ない。

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