準備 後編
3ヶ月ぶりに更新しました。やっぱり書くのは楽しいですね!
「まぁ、どうでもいいや」
「ど、どうでもいいって何よ!?どうでもいいって!」
何故か花蓮は僕に突っかかってきた。
「それで晃樹は今まで何してたのよ?」
「あー、ホルアド迷宮で出てくるであろう魔物のことを調べてたんだよ」
「そ、そう。でも調べてもすぐには覚えられなくない?」
「いや、覚えられるぞ」
「はぁ、それは晃樹だけよ」
(なんか、一ノ瀬にも同じことを言われたな)
「それよりさっき晃樹私に聞いてたわよね。なんでここに1人でいるのかって」
「まぁ、確かに聞いたがもうどうでも…いやぁ〜とても興味あります!是非教えてください!」
身の危険を感じたので僕は花蓮がなんでここにいたかを聞くことにした。花蓮は満足気に頷きながらこうなった経緯を話し始めた。
「ということなのよ」
「なるほど、つまり全ての原因は真鍋か…確かにあいつの性格ならやりかねないことだな」
「まぁ、原因とかそういうことの前にまずご飯を食べない?晃樹だってここにご飯を食べに来たんでしょ?」
「そうだな。とりあえず飯を食うか」
「そ、そうね」
僕と花蓮は適当にご飯を頼むと同じ席に戻った。
「そういえば他のみんなはどうしたんだろう?」
「うっ…」
「なんか知ってそうだね」
「い、いや何も知らないわよ!遥が人払いの魔法を使ったなんて知らないわよ!」
「嘘下手かよ」
「あ…」
「うん。とりあえず飯を食べたら真鍋とOHANASIしたほうがいいね」
「そうね。私も遥とOHANASIするわ」
僕達は昼飯を食べるとすぐにイケメン達が訓練を受けているところに向かった。
「いやだぁぁぁぁぁ!だれかぁ助けてくれぇよ!」
「ほら立て!まだ始めてから1時間ほどしか経ってないぞ!」
イケメン達のところに向かう途中に一ノ瀬の悲鳴とエルドの叫び声が聞こえた気がするが聞こえなかったことにした。何も聞かなかった。
「ほらいくぞ!」
「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
僕達は一ノ瀬の悲鳴が聞こえなくなるまで超早歩きで歩いた。そして、悲鳴が聞こえないところまで来ると
「あれは助けなくて大丈夫だったの?」
花蓮がそう心配そうに聞いてきた。
「いいんじゃない。ほとんどあいつの自業自得だし」
「自業自得?」
「…そんなこと言った?」
「言ってたわよ!さぁ話してもらうわよ!」
そう言って花蓮は物凄い勢いで詰め寄ってきた。しかし
「あっ」
訂正しよう。詰め寄って来ようとした。ただ途中で石につまづいた。
そのまま勢い余って僕の方に倒れてきた。
「痛ぇ」
「なんでこうなるのよ…」
僕が目を開けると目の前に花蓮の顔があった。花蓮も僕の顔があるのに驚いたのかしばらくぽかんとした顔をし、その後現実を認識したのかずくに顔が赤くして僕の上からどいた。
僕達の間にはしばらく重い沈黙が流れたがやがて
「そ、そのごめんなさい…」
の花蓮が誤ってきたことにより沈黙から解放された。
「いや、僕の方こそ最初から話していればこうならなかったかもしれないからお互い様だよ」
僕がそう返すと花蓮は笑いながら
「そう言うなら話して」
と何故一ノ瀬がエルドにしばかれてるかを聞いてきた。
「あー、実はなかつ
「あー、実はな…」
そうして僕は何故一ノ瀬がしばかれてるかを花蓮に話した。
「確かにそれは一ノ瀬が悪いわね」
「まぁ、そういうことだからあれはほっとこう」
そう言って僕と花蓮は真鍋とOHANASIするためにイケメン達が訓練しているところに向かった。
僕達が訓練場に着くと花蓮は真鍋を見つけるや否やすぐに詰め寄って行って、首をロックして真鍋を木の裏へと引きずって行った。僕も真鍋とはOHANASIするつもりだったので花蓮の後を追いかけて木の裏に向かった。
「ちょっとあれはどういうこと!?」
木の裏に着くと予想通り花蓮が怒鳴っていた。真鍋は花蓮のその怒鳴りを物ともせず
「いや、どういうこともなにも後押しをしてあげただけよ。あら、早坂君も居たのね。なら、私は訓練に戻るわ。あとは若い2人でごゆっくりどうぞ!」
お見合いをさせてる親御さんみたいなことを言って真鍋は何事もなかったかのようにその場を去ろうとした。しかし、それを花蓮が許すはずもなく真鍋はすぐに花蓮に首をロックして木の裏に戻された。
「はぁ〜、なによ?」
「いや、なによじゃねぇよ」
流石に僕も突っ込んだ。
「なんで食堂に人払いの魔法をかけたんだよ?」
「え?なんでそれ知ってるの?花蓮に内緒にしてって伝えたはずよ?」
そう言って不思議そうな顔をして僕を見た。僕はすぐに視線を花蓮に移した。それに釣られて真鍋の目も花蓮に移る。当然花蓮は目を逸らす。そして、真鍋は全てを察する。
「嘘下手かよ」
真鍋は呆れた顔をしてそう言った。
「べ、別に私は遥が人払いの魔法を使ったことを晃樹に言ってないわよ」
「誰もそんなこと聞いてないけど」
「「「…」」」
おかげさまで気まずい沈黙がその場に満ちた。
「はぁ〜、まぁいいわ。とりあえず今は訓練に戻りましょう。なんだって明日は初めての実戦形式なんだから」
気まずい沈黙を破ったのは真鍋だった。花蓮は納得いかないような顔をしていたが真鍋の言ってることにも一理あったので大人しく従った。訓練を再開するなら僕もこの場に留まる意味が無くなったのでその場を離れることにした。
その後、クラスメイトは各々の訓練を終えて、寝室で眠りについていた。
ある1人の人族を除いては
「いよいよ明日ですが準備は整いましたか?」
「当然です。ただ…」
「ただ?」
「1つだけ手伝って貰いたいことがあるのですが」
「ふむ。まぁ、いいでしょう。それで私は何を手伝えばいいのですか?」
「それは…」
カールはその人族に作戦の内容を耳打ちした。
「わかりました。そのくらいなら容易いです」
「ありがとうございます。それでは明日のことよろしくお願いします」
「私も貴方がどれだけの人数を殺せるか、楽しみにしていますよ」
「必ずやご期待に応えて見せます。我主に誓って」
そう返すとカールは一瞬で姿を消した。1人残った人族は
「さて、勇者一行のお手並み拝見といきましょう」
そう言って姿を消した。
「このあとどうなるんだろう?」「誰が裏切るんだろう?」と思った人!
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