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チート無双など理想に過ぎない  作者: 叶井博徒
6/8

準備 前編

翌日、僕たちはそれぞれの役割に分かれて訓練をすることにした。

まず、司令塔になった僕は司令塔になったことをトールに言いに行った。

結論から言うとトールには馬鹿にされた。

「なにぃ?お前が司令塔になった?く、くははは‼︎お前戦闘の才能はないけど、笑いの才能ならあるぞ!」

流石に僕もイラっときた。

「いやいや、本当に司令塔になったんですよ」

トールのは笑うのをやめて目を点にした。

「冗談だろ?」

「いや冗談じゃなくて本当に司令塔になったんですよ」

「ま、マジかよ…」

トールは何故かこの世の終わりのような顔をした。

(うん、もし力がついたらこいつ殺そう。いや、殺しちゃいけないから半殺しにしよう)

僕は心の奥がそう決意した。もう一度トールを見上げると何故か納得したような顔をしていた。表情がころころ変わりすぎじゃないだろうか。僕は何故とーるが急に納得したような顔になったのか気になったからその理由を聞いた。

「あのトールさん」

「なんだ?」

「なんで急に納得したような顔になったんですか」

「あ、そんな顔してたか?」

「はい。そんな顔してました。それでなんでですか?」

トールは言いにくそうな顔をすることもなく

「いやだってあれだろ?お前が司令塔に指名されたのはお前はステータスが低いからモンスターと戦わせたらすぐに死ぬから司令塔っていう1番安全な役割にされたんだろ?」

(前言撤回だ。もしステータスが高くなったらモンスターよりも目の前のクソ野郎を殺そう。どこに隠れていようが探し出して殺そう)

「いや、そんなんじゃありませんよ。そもそも司令塔みたいな大事な役割をそんな理由で指名するわけないじゃないですか」

何故かトールは不思議そうな顔をしていた。

「大事な役割?司令塔ってそんなに重要なのか?」

(んんんんんんんん?)

「えっと、司令塔って役割はトールさんが決めるように指示したんじゃないんですか?」

「はぁ?何言ってんだ?俺が決めるように指示したのは前線と罠の特定役と後衛だぞ?人に指示を出す役割なんて初めて聞いたぞ?」

「えっと、ちょ、ちょっと聞いていいですか?」

「おう、なんでも聞いてくれ」

「魔族との戦争の時ってどのような戦略で戦ったのですか?」

トールはなんでそんなこと聞くんだ?と言いたげな顔をして

「戦略?そんなもんはねぇぞ。王が俺達騎士団に魔族が侵入してきたので殺せっていう命令を下して俺達は各自で魔族を殺していった」

「何も言えねぇ」

唐突にそんなことを言い出した僕を怪訝そうに見た。

(なんでこの国の人達は知能レベルがこんなに低いのだろうか。そもそも他の兵士達も教え方が酷いんだよな。効果音で説明されても何を分からん)

「ありがとうございます。それでは僕は今回は訓練はしないでみんなの訓練を見てることにしますね」

トールはまた不思議そうな顔をした。

そして、一言

「なんで、訓練に参加しないんだ?」

「それはみんなが今どのくらい強いのか1回見とかないといけませんからこれでも司令塔なんで」

「そ、そうなのか?」

「そうなんです」

トールはまだ不思議そうな顔をしていたがやがて

「わかった。じゃあ、今日の訓練は参加しなくていいぞ」

「ありがとうございます」

僕はお礼を言ってその場を去った。なんか、報告だけですごく疲れた気がする。

僕は最初に前線組のイケメン達が訓練しているところに向かった。

「何があったんだ?」

そこにはそう言わざるえない状況が広がっていた。何故か訓練を担当していた騎士達がみんなクラスメイトの前に倒れていた。僕がその状況が理解できずしばらく呆然としていた。僕がいることにイケメンが気付いてこちらに手を振りながら近づいてきた。めんどくせぇ。

「早坂来ていたのか」

「まぁ、一応司令塔だしみんなの実力も見ておきたいからな」

僕はなるべくめんどくさいと思っているのを顔に出さないように努力しながらイケメンと会話をした。

「それでこの状況どうなっているんだ?」

「あははこれはね。俺達はここで騎士の人達と1対1で模擬戦をやってたのは知っているだろ?」

「あぁ」

「この訓練を始まったばかりの頃の僕達は騎士の人たちに全く歯が立たなかったんだけど、訓練を続けるうちにいつ間にかトールさん以外の人達には簡単に勝てるようになってしまったんだ」

「な、なるほど、この状況を見る限りすぐに模擬戦を再開するのは無理そうだな」

「いや、すぐにできるよ」

「ん?いやだって騎士の人達とみんな倒れてるが大丈夫なのか?」

「大丈夫だよ。もう1戦お願いできますか?」

イケメンがそう聞くと顔を上げた騎士達は絶望の表情を浮かべた。

(なんか、うちのイケメンがすみません)

「お願いできますか?」

イケメンがもう1回聞くと騎士達は渋々と立ち上がって頷いた。

「ありがとうございます。それじゃあ、それぞれの相手のところに戻ってください」

騎士達はとぼどぼと各々の相手の元に向かった。そして、模擬戦が開始された。模擬戦の内容は圧巻だった。騎士達はクラスメイトに触れることすらできずに次々とやられていった。イケメンに至っては5秒も経たずに騎士を倒していた。

「どうだ?」

イケメンはみんなの実力が分かったのかと言外に聞いてきた。

「あ、あぁ、分かったよ。ありがとう」

(うん。実力云々を聞く前にまず騎士の人達に謝って欲しい)

僕はそんなことを思いながら選抜組以外の人達が訓練をしているところに向かった。

正直に言うと選抜組以外の人達の訓練は選抜組に比べると相当楽なものである。

しかし、今日に限っては違ったらしい。何故かみんな倒れていた。いや、ただ1人倒れていない人がいた。僕達の教育係であるトールだけは地面に剣を突き刺して立っていた。

「だから、何があった?」

とりあえずこの状況でわかることはトールがみんなを倒したんだろう。

「あのトールさんこれはどういう状況ですか?」

「おう!こいつらも模擬戦くらいやらしたほうがいいと思って全員で俺にかかってこさせたんだけどよ、まぁ、流石にお前らはみんな能力ぶっ壊れだから本気出したんよ、そしたら案外みんな弱くてこうなっちまった」

「は、はぁ」

(僕達って僕以外を除いてみんなこの世界の人達の平均を超える初期能力と成長速度のはずなんだけどそれを簡単に倒したトールって一体何者なんだ?)

僕はふとそんな疑問が湧いたので聞いてみることにした。

「あのトールさん。トールさんのステータスプレートを見せてもらっていいですか?」

「おう、見せてやるぞ」

トールさんはそう言って僕にステータスプレートを渡してきた。

トール=コリジョン

職業:騎士

筋力:5000

体力:5000

耐久:5000

敏捷:5000

魔力:3000

スキル

剣術の極意、体術の極意、魔法の極意、気配遮断、抜き足、

魔法

初期魔法、下位魔法、中位魔法、上位魔法、強化魔法

「あ、あのトールさん?」

「なんだ?」

「もしかして、トールさんってこの世界で1番強かったりします?」

「いやいや、確かに俺はこの世界じゃかなり強いほうだが俺より強い奴なら何人もいるぞ?」

その答えに僕は驚いた。トールのステータスはチート能力持ちの僕達とタメを張るほどの高さだ。それなのにトールより強い奴がまだ何人かいる。僕はそれが知りたくなりトールに尋ねた。

「じゃ、じゃあ,トールさんが知ってる中で自分より強い人で知ってる人がいたら教えてくれませんか?」

「おう!もちろんいいぞ。まず、シェアト教に属するおよそ5万人の騎士を束ねる4騎士といわれる騎士がいる。その4人を俺は見たことがないがどのステータスにおいても世界トップクラスの高さを誇るらしいぞ。そして、さらにその4人のトップに立つ騎士がいる。こいつも見たことはないが二つ名だけなら聞いたことがあるぞ」

「その二つ名はなんですか?」

「えーと、確か『万能』だったかな」

「ば、万能ですか…」

「あぁ、なんでもあらゆる武器、あらゆる魔法を使いこなす。『万能』の二つ名に恥じない完全無欠な騎士らしいぞ」

「な、なるほど、他にはいますか?」

「いるぞ。俺があと知ってるのは五勇教という過去にこの世界を救った5人の勇者を神として信仰する教派に属せる騎士達だ」

トールは何故か深刻なそうな顔をしてそう言うのであった。


準備は前編後編にする気は無かったのですがテンション上げて書いてたらこれ長くね?ってことになってわけることにしました。後編の方もなるべく早く投稿したいと思っています。

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