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チート無双など理想に過ぎない  作者: 叶井博徒
2/8

召喚

「おぉ!遂に勇者様の召喚に成功したぞ!」と白い服を来た人たちは抱き合って喜び始めた。

「あ、あのすみません。状況が読めないんで説明してもらえませんか?」ととあるクラスメイトが白い服の人たちに質問した。質問した男の名前は新田裕也。まぁ、よくいるイケメンという奴である。爽やかな顔つきに、人を心から安心させるような声音、しかも運動神経が良い。短所を挙げるとしたら勉強が大して出来ないくらいか、出来ないと言っても普通くらいだから短所らしい短所ではないが、まぁ、そんな感じでクラスメイトはイケメンくんが纏めることだろう。イケメンくんの質問を聞いて白い服の人たちは申し訳なさそうな顔をして

「申し訳ありません。喜びのあまり周りが見えなくなってしまっていました。では、改めましてよくぞおいでなさりました勇者様。我々はこの国の信教であるシェアト教の幹部に近い者達です。」と自分達より自己紹介を始めた。

(ていうか、シェアト教ってなんだよ)

僕はこの国の信教のことを頭の片隅で考えながら、彼らの話を聞いた。

「まず、勇者様達が召喚されたこの国の名前はホルアドという名前でございます。そして、私達が勇者様達を召喚することにした目的ですが、この世界には大きく分けて3つの種族がおります。私達の人族、尻尾や耳などがある亜人族、そして、魔力が高い者が多く、浅黒い肌の魔人族があります。亜人族はあまり戦いを好まずほとんど森から出てくることがないのですが、魔人族はもともと好戦的な者達が多く、遂に我々に戦争を仕掛けてきたのです。最初の戦いではなんとか人族の数の多さで撃退することに成功しましたが、戦いに参加した人族の半数が犠牲になってしまいました。我々人族はどうにかならないかとシェアト様になにかしらの助言をしてもらおうと、何日も何日も祈りました。そして、私達はシェアト様から異世界の者を召喚すれば、その者達が我々人族を救ってくれると助言をくださいました。だから、私達は異世界の者達を召喚する儀式を行い、貴方方を召喚することに成功しました。突然召喚してしまったことは謝ります。ですが、どうか我々人族を魔人族から守ってください。お願い致します。」と言い、説明してくれた人をはじめ、全員が僕達に頭を下げてきた。これを聞いたイケメンくんは

「少しみんなと相談させてもらっても構いませんか?」と質問した。どうやらよくある異世界召喚系のラノベの主人公みたいに人の話を聞けないイケメンくんではなかったらしい。話したことがないから今初めて知ったが、

(まぁ、僕はそんなことよりもあの無能がどんな口調で助言したかのほうが気になるな)

僕はそんなことを思った。

「みんな、聞いてくれ!俺はこの世界の人たちを救いたいと思ってる!みんなはどう思ってるか聞かせてくれないかな?」とイケメンくんは早速クラスメイトを集めて、自分の意見を言い始めた。これを聞いたクラスメイト達は

「いいんじゃねぇか!」「私賛成!」とか口々に賛成意見を言い始めた。まぁ、そりゃまとめ役の奴が最初に意見言ったらそれに逆らう人などいるはずがないからな。そんなこんなで僕達ははこの世界の人たちを守るために魔人族と戦うことになった。僕達が魔人族と戦い旨を伝えると彼らは

「あ、ありがとうございます!これでやっと我々は救われる!」と泣き始めた。少し経ったら彼らは泣くのをやめ、

「では、とりあえず、私達と一緒王様に挨拶に行きましょう」と言って、その部屋から出て、右にあった部屋にある魔法陣に全員で乗った。すると一瞬のうちに僕達はたいそう豪華な扉の前に転移した。

「転移って便利なものだな」と一ノ瀬が僕に言ってきたので

「あぁ、そうだな」と言っているうちに

「シェアト教の者です。勇者様の召喚に成功して、召喚した勇者様をお連れしました」

シェアト教の人がそう言うと扉が開き始めた。

扉の先にはとても豪華な王座に座って少し太った王冠の被った人が座っていた。僕達は王様の前まで進むと、王様は僕達を見ながら

「よくぞ、いらしゃってくれた。我はこのホルアドの第33代目の王であるガリア=ホルアドだ」と軽く自己紹介をした。

「まず、我々の願いを聞いてくれたことを感謝する。それと我々は君達の支援を全力でさせてもらおう。よって、君達に教育係を付け、しばらくの間自分達の能力の強化に専念してもらいたいのだが?」とガリアは僕達に確認を取ってきた。

イケメンはクラスメイトを見渡し、確認を取った後

「わかりました」

「うむ。では、早速君達を教育する者を紹介したいと思う。入っていいぞ」とガリアが言うと、僕達の右側にあった扉が開き、鎧を纏った背の高い強面の男が入ってきた。男は僕達の前に立つと笑みを浮かべて

「はじめまして、今日付けで君達の教育係を務めることになった。トール=コリジョンだ。一応、この国の近衛騎士の団長も務めている。気安くトールと呼んでくれ」と自分の自己紹介をした。

「お前達には今日は自分達の部屋で休息を取ってもらい、明日から本格的に訓練を開始する。教育係は私以外にも近衛騎士が何人かいる予定だ。細かい説明は明日する。とりあえず、今日からしばらくの間よろしく頼むぞ」と言って、王室を出ていった。ガリアはトールが出ていくのを見送ったあと

「では、さっきトールが言った通りお前達きはこの後自分達の部屋に行ってもらい、今日は休息や状況の整理などを基本自由に過ごしてもらって構わない。おい、彼らを部屋に連れて行け」とガリアは近くの部下に命令した。部下は

「わかりました」と短い返事を返すと

「では、部屋までお連れするので付いてきてください」と僕達に言い、僕達はその人に連れられて王室を出た。

程なくして、僕達はそれぞれの自分達の部屋に到着した。部屋は1人1部屋だが、1人で使うにしては広かった。しばらく、ベッドで横になっているとドアをノックする音が聞こえてきたので、ドアを開けると部屋の前にいたのは一ノ瀬だった。

「少し話さねえか」と言ってきた。僕も1人でいるのが退屈になってきたので一ノ瀬を部屋に入れた。一ノ瀬は部屋に入ると暖炉の近くにある椅子に座り、

「なんか、すげー大変なことになっているが、お前は俺達が飛ばされたこの世界についてどう思う?」

「どう思うと聞かれても、あんな無能神が信仰されてるような世界だからな、正直まだ、どう思うも何もねぇよ

「そうか、お前も俺と同じ考えか、そもそも状況の整理とか言われても、あそこまで説明されてほかに整理することもないと思うんだよな」

「まぁ、明日になれば印象も変わると思うし、大人しく明日を待とう」

「そうだな!じゃあ、また明日な!」と言って、部屋を出ていった。その後、僕達は夜飯を食べ、風呂に入った後、再び部屋に戻った。流石に夜飯を楽しく食べる空気にはならなかった。

僕は寝る準備が出来たのでベッドに入って寝ようと思ったがベッドに入ろうと思った時にまたドアをノックする音が聞こえ、僕はドアを開けた。部屋の前にいたのは花蓮だった。花蓮の服装は白いネグリジュだった。僕は男の部屋に来るときに着るような服ではないと思った。花蓮は僕を見ると目を逸らしながら

「少し話さない?」と言ってきた。寝ようと思っていたから断ろうと思ったが、断るとまた突っかかってきそうなので僕は花蓮を部屋に入れた。花蓮は暖炉の近くにある椅子に座った。

「ね、ねぇ、晃樹は今の状況についてどう思う?」

「かなりヤバイ状況だと思う。このせかいのしくみが何もわかってないし、元の世界に帰れるかもわからない。これだけでもやっぱり相当ヤバイ状況だと思う」

僕は花蓮の考えもきになったので

「そういう花蓮はこの状況のことをどう思ってるの?」と聞いた。

「確かに晃樹の言う通りヤバイ状況よね。でも、私はそれよりも怖い。魔人族って種族と戦うということはつまり死ぬ可能性があるということなのよ。だから、私は怖い」と答えた。僕は花蓮のその話を聞いて、

「そう、だよな。なんで忘れてたんだ。僕達は戦争をするんだったな。思い出させてくれてありがとう花蓮」と僕は戦争をするということを思い出させてくれた花蓮にお礼を言った。花蓮は僕のお礼を聞くと軽く頰を染めながら

「べ、別にあんたのために言ったんじゃないんだからね。た、ただ、あんたに聞かれたら言ってあんたがたまたま思い出しただけよ」

「なんていうか、やっといつもの花蓮に戻ったな」と僕はいつもの調子に戻った花蓮に言った。花蓮はもともと赤かった頰をさらに赤く染めて

「べ、別に私はいつも通りよ!ただ、ちょっと晃樹が心配なったから部屋に来てあげただけよ!」

「心配してくれてたのか、ありがとうな花蓮」と花蓮に言った。花蓮は

「ちょ、ちょっと心配したって言ったでしょ!ちょっとよちょっと!」と言い返してきた。僕はそろそろ寝たほうがいいと思ったので

「そろそろ寝ようか」と言った。花蓮もそう思っていたのかこくんと首を前に倒した。花蓮は僕の部屋の前で振り返って僕に向かい合う形になると頰を赤く染めながら

「お、お願いだから死なないでね…」といつもの花蓮では想像もつかないような小さい声で言った。僕は花蓮のそのお願いを聞いて

「うん。約束するよ。絶対に死なないと。だから、花蓮も約束してくれ、絶対に死なないって」と花蓮と同じようにお願いをした。花蓮は頰を赤く染めながらも笑顔を浮かべて

「うん!」と返すと花蓮はそのまま部屋に戻っていった。僕も部屋に戻り、ベッドに入って眠りについた。


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