表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界魔刀士と七変化の眷属   作者: 来夢
第3章 王国の旅編
98/203

第95話 ゴードン伯爵領

―― シルバーノア・食堂 ――


自室で2人に好きだと告白をした後、休憩が終る時間なったので食堂へと戻った。


食堂に着くと、何事も無かったように椅子に腰掛ける。


「先程は、申し訳ありませんでした」


「何度も謝る必要はないです。それにもう過ぎた事ですから」


そう愛想笑いをしながら言うと、みんなは、ほっとした表情を浮かべる。まぁ、色々とスッキリした感じなのと、心なしか気が楽になった。


「それでは、さきほどの話の続きを始めしょうか?」


「ええ。宜しくお願いします」


「それでは、話を進めたいと思います。ご存知のとおり、既に北の領地では色々と生産を始めましたが、需要と供給のバランス考えると、車椅子のようなニッチな物は直ぐに過剰生産となるでしょう。それに、運搬に致しましても馬車では運べる量はごく僅かです。仮に、列車が出来たとしても、ガラスは割れ易いので現地生産をお勧めしたいのですが、いかがでしょうか」


「と、申しますと、ガラスは各領地で生産した方が良いと仰るのですね」


「はい。その方が早く家庭に普及するでしょう。素材や作り方は単純な物ですから、設備さえあれば簡単に大量生産出来るます、その方が効率もいいでしょう」


それからも、南の領地に到着する間に色々と話し合い、ガラスの原材料である珪砂が取れる場所を地図で選定した。


あくまでも推定ではあるが、北の領地でもラッフェル島でも簡単に見つかったのだ。何とかなるだろう。


そんな話になったので、ガラスは領内に新しい工場を設けて作られる事に決まり、北の領地と同様に鉱山からレールを敷く事となった。


そうこうしていると、フェルムから、もう直ぐゴードン伯爵領に到着するとの報告が入る。


「いくらなんでも早過ぎやしませんか?馬車なら飛ばしても、丸3日掛かると言うのに、まだ3時間程度しか経っていないじゃないですか?」


ゴードン伯爵がそう言うと、他の門閥貴族達も頷きながら顔をしかめた。


「空を飛んでいるので早くて当然です。それでは、私達とゴードン伯爵とで、ご家族の方々を迎えに上がるので皆さんは、この船でお待ちいただけますか?」


「直接屋敷に乗りつけはしないのか?」


「ええ。このまま何も連絡無しで町へと行けば、民衆がパニックになるのは確実です。ここは、ゴードン伯爵と私達で馬車で迎えに行くのが得策だと思います」


「私がついていかなくとも良いのか?」


「ええ。大型の馬車ではありますが人数制限もありますし、アポ無しで公爵殿下がお見えになるとならば、シルバーノア同様にパニックになるでしょう。お待ち頂いた方が宜しいのではないでしょうか」


「そうか。そう言う事であるなら待機をしていよう」


「それでは、残られる皆さんは、この船で自由にお過ごし下さい。分からない事があれば遠慮なく仲間にお申し付け下さい。それじゃ、みんな後の事は頼んだ」


「はい。お気をつけて」


仲間達は見送る為に立ち上がると、そのままでいいと遠慮をすると、今回降りるメンバーと共に艦橋へと向かった。


「ゴードン伯爵、町の近くにシルバーノアが着陸出来そうな、広い草原か川や湖はありませんか?」


「それならうってつけの場所があります。先程の地図を見せては貰えないでしょうか?」


地図を広げ、フェルムと一緒に位置を確認すると、町の横には大きな湖があった。なので、その場所へと着陸する事に決まる。


「しかしながら、これ程町に近いとなると町中がパニックになるやもしれませんな」


「そこらへんはご心配なく。隠蔽の魔法がありますから大丈夫ですよ」


「それじゃ何でまた、馬車で向かうのですか?そんな便利な魔法があるなら、直接屋敷に向かわれても、いんじゃないかと思うのですが?」


「それはそうですが。出来れば町を見ておきたいのですよ。そうする事で、今後何が必要なのか参考になりますから」


「うむ。ワシもその意見に賛成じゃ。各領地の特色を生かした物の生産拠点を作るには、自分の目だけが頼りだかからな」


「ええ。そんな訳でお願いがあるのですが、帰りは、時間の節約の為にシルバーノアを屋敷に呼ぼうと思うのですが、兵士たちに住民達が混乱しないように、伝令を出すように頼めないでしょうか?」


「分かりました。門に入る時にでも、兵士達もそう指示を出す事にします」


「ご協力感謝します」


「それじゃ、フィーナ、隠蔽魔法を展開しつつ着陸準備をしてくれ」


そう指示を出すと、着陸準備に取り掛かり湖に着陸をした。


湖に着陸すると甲板に出て、降りる準備をするとラルーラさんが艦橋から出てきた。見送りに来てくれたようだ。


「ラルーラさん。俺達が居ない間、後の事は頼みます」


「本当は、私も護衛に付いて行きたかったのですが、双璧がいるので大丈夫でしょう」


「なんだ?双璧って?初めて聞いたぞ?」


「フォーナ様とアイリーン様の呼び名ですよ……意味は分かりますでしょ?」


「なんとなくだけど」


「お二人が居る限り、タクトさんには虫一(女性)匹近づけないですからね。タクトさんは双璧がいるおかげで難攻不落だと女性の中では既に周知されています」


『虫よけスプレーかよ!でも分かる気がするよ……こういつも一緒にいたら』


こうして、難攻不落?らしい双璧を従えて、フェルムの用意した馬車に乗り込むと、ゴードン伯爵の案内で町へと向かった。


町が見えてくると、漆喰を塗られた高い壁が町を囲んでいた。異世界系の漫画やアニメでよくある箱庭のような設定のように感じるが、盗賊、野党、モンスターなどがいる世界なので、大切な住民を脅威から守るのにはこうするしか無いのであろう。


それから、貴族専用門に到着すると、ゴードン伯爵は、お願いしていた事を門兵に伝え、民衆が混乱をしないように伝達するように指示を出す。


「それでは、30分以内に頼んだぞ!」


門兵が「仰せのままに!」と返事をし敬礼をすると、馬車は町の中へと入る。


町から町並みを覗いて見ると、南の領地らしく家は白を基本とした家が並び、海も近いためか外壁の素材は白い漆喰の家がほとんどであった。話を聞くとこの産地の漆喰には、特産品である麻や海草が混ぜられているようだ。ラッフェル島と条件がとても似ているので参考になる。


そらから、町を行きかう人々を見てみると、まだ6月と言うのに、ほとんどの人々が通気性を重視した麻で作られた半袖シャツを着ている。日焼けをしている者もちらほらいて、麦わら帽子を被っている人々も多く見られた。


「流石は南の領地ですね。この領地は6月と聞いているのですが、もう毎日暑いのですか?」


「そうですな。6月~10月の半ばまでは、大体30度を上回るかどうかと言うのがこの領地の特色です。冬でも平均気温は18度前後と過ごしやすいのですよ」


どうやら気候としては沖縄より涼しい程度のようだ。日本、いや地球は地球温暖化と言う問題に直面している事を思えば、この世界を発展させる時に、環境を破壊を出来るだけ避けながら、作業を遂行していこうと心に誓うのであった。


そんな中、ふと窓の外を見て見ると、店が立ち並ぶ一角に入り、見慣れた果物がところ狭しと並んでいた。


「あれはパイナップルとバナナだ!後から買って帰ってもいいかい?」


「それなら、屋敷に売るほどありますので、是非お持ち帰り下さい」


ゴードン伯爵は、ケーキのお返しのつもりなのか、嬉しそうにそう言ってくれた。


「それにしても、公爵閣下をあの様な形ではありますが、叱責していただいたお陰で、休憩時間に今までしてきた我儘について謝罪を受けました。あんなにも反省をしている公爵閣下を見たのは初めてですよ。何とお礼を言ったらいいのか分かりません。門閥貴族全員を代表して厚く御礼申し上げます」


「私とカイル王子と一緒ですよ。地位や声が大きいものたいして弱いというか、これは事なかれ主義とい言うのでしょうか?今の現状に慣れてしまい、悪いことを悪いと言えなくなったりすると、相手は何を言っても聞いてくれると勘違いをして助長してしまうのです」


「なるほど、事なかれ主義ですか?とても分かりやすい表現ですね。それを神様であるお二方が言ってくれて、なにやら申し訳ないですが、スカッとしましたぞ」


「それも、虎の威を借る狐と言う言葉があります。立場の強い者を利用すると言う表現方法なのですが、使い方を間違えれば、相手が拗ねたり恨んだりすると、手に負えなくなる諸刃の剣ですけどね」


「なるほど、参考になります」


こうして、馬車を走らせる事15分、伯爵と言う身分に相応しい、大きな屋敷が見えて来た。


「門兵に告げるので門前で、止まって下さい」


「あっ!窓を開けますね」


そう言いい、窓を開けるとゴードン伯爵は窓から顔を出し、門兵に門を開ける様に指示を出した。


「それにしても、この馬車は大変な代物ですな。揺れは極小ですし、このガラスの窓のお蔭で、気持ちが悪くなる事など皆無に等しい。デニス公爵閣下の領地で作られるとあらば、引く手も数多でしょうな」


「そうですね。以前お披露目会をしたら、既に、半年間予約が一杯らしいですよ」


「うはぁ!それは凄い!それでは、いつ私の手に入るのか分かりませぬな」


「それは心配無用ですよ。国王陛下名義で貴族全てに改良を施す様に指示を出されていましたから、近日中には連絡が来ると思います」


「それは助かった!国王陛下万歳ですな!」


『貴族達の忠誠心を維持する為に先手を打つとは、陛下は凄いと思うよ』


ゴードン伯爵と笑顔を絶やさずに、話をしていると、いつの間にか屋敷の玄関前へと馬車は止まり、扉が開いた。


「皆様、お疲れ様です。到着をいたしました」


「フェルム、お疲れ様。直ぐ出発をするから、シルバーノアに連絡を取って来る様に言ってくれないか?」


「分かりました。直ちに連絡をいたします」


「頼むよ。それまで、この馬車で休憩していてくれても構わないよ。それで、シルバーノアが到着したら、馬車をアイテムボックスに収納し、馬を家畜層に頼む」


「分かりました。それでは、お言葉に甘えてシルバーノアが到着をするまで、休憩させて頂きます」


そう告げた後、ゴードン伯爵に案内をされて、玄関の扉にあるドアノッカーでノックすると、執事さんが驚きの表情をして出迎えてくれた。


「こ・これは旦那様!連絡がありませんでしたので、お迎えの準備が出来なくて申し訳ございません」


「それは良い。急いで家族の者を集めてくれないか?」


「畏まりました。早急に声を掛けに行って参ります。それでは失礼します」


執事さんは一礼をして、階段を駆け上がって行った。


「慌しくて申し訳ない。私しめは、少し席を外しますので、そこのソファーに腰掛けてお待ち下さい」


「ちょっと待って下さい。家族の方々がこられたらどうすれば……」


去り行くゴードン伯爵に、慌てて声を掛けたのだが、声が届かなかったようで、伯爵は廊下の角を回って見えなくなってしまった。


「もぅ、みんな本当にそそっかしいわね」


「本当じゃのぅ。伯爵があれではちと心配じゃな。タクトの心労も分かる気がするわい」


「まぁ、遠慮せずに座ってまっていようか」


「そうね」「それでいいじゃろう」


こんな感じで、ソファーに腰掛けると、執事さんが女性を2人連れて戻って来る姿が見えた。


「ちょっと、パパはどこなのよ?急に呼び出したりして何の用なの?」


「本当よね。帰ってくるなら連絡ぐらい寄越したらいいのに……」


そう喋りながら、階段から降りてくると、2人はこちらの方を見る。


「あら、お客様?」


「ええ。旦那様が一緒に連れてこられた方々です」


「初めまして。私はタクトと申します。以後お見知りおきを」


そう挨拶をして、フィーナとアイリーンも普通に挨拶をした。


「あら、これはどうもご丁寧にって、ひょっとして、あなたが今噂のタクトさんなの?」


「どんな噂かは存じておりませんが、恐らくはそうだと思います」


「それにしても、フィーナさんとアイリーンさんでしたっけ、2人ともとてもお美しくて、羨ましい限りですね」


「本当ですわ。同じ人間だとは思えません」


「まぁ、その意見は正しいな、ほれこれを見ろ」


アイリーンはほんの少しだけ、神々しく光ると、2人は驚きのあまり口が開いたままであった。


「このとおり、ワシらはちょっとした神じゃからな。人間ではない」


「ちょっとしたじゃありませんよ。もろ神様じやないですか!折角この前、自重と言う言葉を教えたでしょうが!」


「そ・そうじゃったのぅ。調子に乗りすぎた……すまん」


「に・人間が神様を叱っているなんて……タクト様とお呼びした方が宜しいですね」


「それが良いわよ。タクトは神を超える存在なのだからね!」


「こら!何、悪乗りしてんだよ!誤解されてるじゃないか!」


二人の悪乗りを注意していると、ワゴンにこの地の名産品を大量に積んで戻ってくる、ゴードン伯爵とメイドさんが視界に入る。


「すまん、すまん。待たせたな……急に社交パーティーが開かれる事となった。無理を言うが、今直ぐロマリア女公爵閣下の城へと向かうぞ!早急に用意をいたせ」


「あなた、一体自分が何を言っているのか分かっているの?それにまだ自己紹介も終わってないわ」


「それりゃすまなかった。改めて自己紹介をします。こちらが、我が妻であるジュリエッタと、娘のエリーゼです。略式で申し訳ない」


「ジュリエッタです。以後お見知りおきを」「エリーゼです。以後お見知りおきを」


二人は、ロングドレスの裾を摘み挨拶をする。


「話を元に戻すけど、ここから公爵閣下の城へ行くのに、どれだけ時間が掛かると思ってるのよ!それに直ぐに用意するなんて、あまりにも急すぎるわ」


「心配はいらん。タクト殿の飛空挺なら3時間で着く。ドレスならロマリアの街の別邸にあるじゃろう。今直ぐ行くぞ!」


「外を見たら大きな馬車が停まっていたので、馬車での移動だとてっきり思っていましたが、まさか!町の中で噂で持ちきりだった、飛空挺に乗れるのですか?」


「ああ。だから間に合うと言ったであろう?」


それを聞いた、二人は目の色を替え、慌てて自室に戻り用意をしに行った。


「それにしても、飛空挺の威力は絶大ですな!」


「ええ。いつの間にかこんな南の領地にまで噂は広がっていたのですね」


「近年稀に見る、大事ですからな。今や民衆の中でタクト殿の名を知らぬ者はいないでしょう」


「そこまでですか?」


「ええ。既にこの街にも、タクト酵母を使ったパンとハンバーグが出回り始めましたからな。今では取り扱う店では凄い行列が出来ていますよ」


「自分のしてきた事が、どれほど世界に影響し、民を幸せにしているのか分かった?」


「分かった様な気がするよ」


こうして、伯爵夫人と、娘さんが準備をしている間に、アイテムボックスに果物やワインなどを収納をすると、二人は急いで戻って来た。


「パパ!屋敷の裏手が急に暗くなったわ。ひょっとして到着したんじゃないの?」


「そうかもしれんな。それじゃ向かうとするか?」


「はい」


そう話しが決まると、忘れ物が無いかを確認して、従者に指示を出すと裏手の勝手口から外に出る。


「す・凄いわ!こんなに大きな金属で出来た船、初めて見るわ!」


「パパ!あれに乗れるのよね?」


「ああ。勿論だとも」


「パパの子供で良かったと、改めて思うわ」


「中に入ったらもっと驚くぞ!」


3人が手放しで喜ぶ姿を見ていると、何だか家族の温かみを感じる。


「ほら、タクト。あなたの技術や知識はこんなにも人を幸せにするわ。もっと自信を持ちなさい」


「本当じゃとも。胸を張って誇るがよい」


アイリーンはそう言うと、俺の背中を「パン」と叩いた。


こうして、タラップを繋げて、いつもの様にシルバーノアに乗り込むと、ゴードン伯爵の家族にセキュリティーカードを渡した。


フェルムが馬を収納してから艦橋に戻ってくると、シルバーノアは、東南のメルフィーオ伯爵の領地を目指す。








評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ