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異世界魔刀士と七変化の眷属   作者: 来夢
第3章 王国の旅編
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第94話 叱責と決断

ロマリア公爵からロマリア女公爵に名称を変更しました。

勉強不足で申し訳ありません。


―― シルバーノア・艦橋 ――


ロマリア女公爵の城から出発をすると、王子とアンジェの案内が終わるまで、艦橋で待機する事にする。


「何んだか元気が無いわね。ほらこれでも飲んで気分転換しなさいよ」


「つめたっ!」


頬に日本で購入してきたコーラを当てられ、突然に冷っとして驚いた。素直に礼を言って受け取ると、少し懐かしさを感じながら、キャップを開けて一口飲んでみる。


『やっぱ美味いな!でもゲップが出そう……』


「どう?お味は?」


「美味しいよ。買ってきてくれてありがと。まだ、こっちに来て4ヶ月足らずだけど、懐かしさを感じるよ」


「喜んで貰えて嬉しいわ」


喋りながらゲップをなんとか堪えた。


なんだかリフレッシュしたので、今後の事について考え出すと、艦橋にインターフォンのベルが「リーン・リーン」と鳴り響いた。


フェルムがインターフォンの近くにいたので、電話を受け取ると、王子から電話だと言うので電話を代わる。


「もしもし、お電話代わりました」


「お忙しいのにすいません。ほぼ船内の案内が終わりました。その言い難いのですが、今から会議の続きがしたいと、叔母が申しておりまして……お疲れのところ申し訳ないですが、食堂までご足労願いませんか?」


王子なのに敬語なのには違和感を覚える。このままでいい筈はない。


「分かりました。今すぐ行きますが、王子はもう少し堂々として下さい。アンジェたちに舐められますよ」


「すまん。迷惑ばかり掛けておるのでな。ついつい、下でに出てしまうんだ」


『そうだよな。自分も人の事言えないし。境遇が似ている部分があるから、王子には、もう少し強くなって欲しいと思うんだろうな』


そう思いながら自分も舐められないようににしようと思う、インターフォンを置いて立ち上がると、フィーナとアイリーンに声を掛けて一緒に食堂へと向う。


「タクト大丈夫?何だか疲れてない?」


「大丈夫だ。少し思う事があって考え事をしていたんだ」


「うむ。あまり無理をするではないぞ。相談ならいつでも乗るからな」


二人のその言葉に少し救われる。食堂に到着をすると、大方の予想通り、公爵閣下にインターフォンの事をひつこく聞かれたので、テスト中だと説明をした。


「それなら、我が城でそのテストをしたい」


「申し訳ありませんが、テストの方も先約があります。ですからもし設置するなら、その後となってしまいます」


「その先約とは誰じゃ」


「陛下ですよ」


「兄上か……そう言う事なら、今は我慢しよう。だが次は私の番だぞ」


アイリーンとフィーナは、ほぼ同時に机を「バン!」と叩き立ち上がる。


「ちょっと待つのじゃ。我慢じゃと、もはや聞き捨てられん」


「そうよ。王族か公爵かは知らないけど、黙って聞いていれば、我儘にもほどがあるでしょうが!タクトが優しいからと言って、何甘えてんのよ!いいかげんにしなさい!」


「お主達は、何か勘違いをしているのじゃないか?タクトは神の使徒であり、あくまでも技術や知識を伝えに、この世界に来たのだ。お前たちたかだか人間の言いなりの道具ではない」


二人は、そういいながら激昂する。口を挟める状況ではない。


「アイリーンの言うとおりよ。今まで、仲間割れや雰囲気を壊したく無かったから黙っていたけど、これだけの技術や知識を全て無償で与え続けいるのは知っているわよね。その優しさに付け上がるなんて最低よ。それに、例えばこのインターフォンにしても、どれだけ考えを練って試行錯誤して開発をしたか。その苦労をあなた達は分かって言っているの?」


「この異世界の技術もタクトが幼い頃から勉強をして、青春を捨ててまで得た物だと聞いておる。知識や技術を蓄える為にじゃ。全ての異世界人がタクトほどの技術や知識を保有している訳ではない。そなたから要求するとは、身勝手過ぎるのではないか」


「タクトがどれだけ毎日疲れているか想像してごらんなさいよ」


「うむ。それでもタクトの優しさに付け込むと言うなら、例え王族や公爵が偉かろうと、それは人間社会の事であり、神やその使徒には関係ない事じゃな」


「そうよ!それでも寄こせと言うなら、この世界もろとも見捨てて神界に帰るわ!」


二人は怒涛のように、今まで溜めていた不満を一気に捲くし立てる。


「二人とも。それぐらいでいいよ」


「タクトも言ってやりなさいよ!」


フィーナは興奮が冷めやまぬようだったので「もう、いいって言っている」と、少しきつめの言葉で言うと「ごめん」と一言だけ言って、二人とも椅子に腰掛けた。


「俺の為に言ってくれてるのに、きつく言ってごめん。みんな充分に分かってくれているみたいだからさ……」


公爵閣下は涙を溜め、涙声で謝り、頭を下げると涙がぽたぽたと机の上に零れ落ちた。


「タクト殿……すまなかった。今までの無礼、非礼を詫びる。許してくれ……」


「分かってくれたなら、それでいいです」


自分が心の中で思っていたとしても、決して言えない言葉を、ここにいる誰よりも立場が上である、2人が言ってくれた。お陰で、少し気持ちが楽になった。


「タクト様ごめんなさい。タクト様の優しさに甘えていました。心の底からお詫びします」


旅の仲間達も、全員が立ち上がり頭を下げる。


「君たちの場合は、自分自身が率先してやった事だから頭を下げる必要はないって。ですが皆さん、突然で申し訳ないですけど、特別な事が無い限り、一個人の為に何か物を作る事は止めにします」


「では、もうこの世界の為に、物を作ったり、開発をして頂けないと言うことですか?」


「いえ、そうじゃありません。必要な技術や知識を教える事には労を惜しみません。ただ、私の考えて作り出した製品については、今後は各領地で作られた物を手に入れて下さい」


今後、同じ事が起こらないように、はっきりと意思表示する。


これは、今まで創作した物が、少しづつではあるが、この世に生み出され始めているからだ。少し待ちさえすれば、手に入れられる物ばかりになる。


「分かりました。我儘な振る舞いを改め、タクト様が教えた技術が伝わり、流通をするまで待つ事を、お約束します」


そう、公爵閣下は口約束をする。我儘だった自覚はあったようだ。それにしても、いつの間にタクト殿から様に変わったのであろうか?


それから食堂は、まるでお通夜のように静まり返る。この調子では話にならないと思い、30分間の休憩を挟む事にした。


「それでは、私たちは自室で休憩を取りますので、皆さんも休憩を自由に取って下さい。飲み物やお菓子は保冷庫に入っているので、ここにいる仲間の誰かに言ってくれれば、自由にしていただいても構いません。それでは失礼します」


そう言って立ち上がると、フィーナとアイリーンに声を掛けて、自室に向かって歩き出した。


「タクト、余分な事言っちゃってごめんね」


「すまん。ワシも謝る。ついつい、あやつの我儘に限界が来た。神として失格かもしれんな……」


「そんな事ないよ。これは、今まで良かれと思って甘やかしてきた自分の責任だ。それに、本来なら自分の口から言わなくちゃならなかったんだ。二人には感謝しかないよ……」


「そうだ、精神的に疲れたでしょ。たまには一人になる時間も必要だわ。私たちは艦橋にでも居るとするから、必要なら呼んでちょうだい」


「気を遣わなくてもいいのに」


「まぁ、たまには良いのじゃないのか?思う事もあるじゃろうて」


自室のドアの前でそう喋ると、二人は手を振りながら艦橋へと歩いて行いった。自室に入ると久しぶりに一人となる。


『本当に久しぶりに一人だよな。いつ以来か思い出せないよ。でも、フィーナはいつもだが、最近はアイリーンまでくっついているな……』


そうは思ってみたものの、嫌な気持ちと言うよりは好きな気持ちが勝っている。唯一、フィーナ以外で心が許せるし相談にも気軽に乗ってくれる。いつも隣に居てほしいと思う女性に変貌しつつある。


そう、考えていると、なぜかアンジェとセリスの事も考え始める。


『あの二人にもそろそろ、答えを出してあげないと気の毒だよな』


それから、出会って、一緒に旅している事を思い出し、自分の心を確かめてみる。


二人とも可愛いとは思うけど、どちらかと言えば妹のような存在だ。今の気持ちを正直に言えば、恋愛対象には入っていない。好みの問題もあるだろう。


それにアンジェは、本来なら王子をサポートをしなければならない立場だ。酷く扱き下ろしている姿が印象的しかない。王子にしっかりして欲しいと言う気持ちはわかるが、もう少しやりようがあるだろう。


セリスについてもそうだ。地球では、君主専制制度はとっくに廃れていて、爵位の事に関しては馴染みはない。爵位の中でも一番位が低いとされる男爵の娘が、王族に対してあれでいいのかと何度か思った事もある。控えめに言ってもやり過ぎである。


それに、俺の事に関して言えば、アンジェもセリスも、俺に好かれようとガツガツし過ぎて、周りから呆れられているほど酷い。アイリーンが現れてからは多少はマシにはなったようだが。


俺は女性にたいして、何を求めているのだろうか?


そう思うのは、地球では死んでしまい、このアノースに来て、家族、友人、知り合いでさえ、誰一人として居なくて、不安や寂しさを少しでも解消したかったのかもしれない。


それは、自分自身が人間として未熟なのか、単なる寂しがりやなのかは、自分の事なのに分からない。


それから、その事を考えていると、一つの結論が出た。


フィーナとアイリーンに癒しを求めているのに、アンジェとセリスには癒しを求められていると言う感じなんだろう。


それにフィーナとアイリーンに頼れるのは当然だろう。神と言う立場もあるし、そもそも生きている年数が違う。そう考えると、お互いに求める物が違うのだろう。


こうした事から、出した答えは、2人には、きっぱりと諦めて貰うとしか選択肢は無かった。


「はぁ。二人は悲しむだろうな……でも、二人はまだ16歳!これからまだ沢山出会い、恋の勉強をしていくだろう。俺の様な優柔不断で情けない男よりも、きっと見合う男性が現れる……と思いたい」


今回の王国を周る旅が終わる前までには告げようと決める。


そう決断をすると、居ても立っても居られなくなり、フィーナに連絡を取ってアイリーンと一緒に自室へと来て貰った。


「もういいの?一人にしてあげたのに?」


「それに、何の用件じゃ?ワシらが恋しくなったのか?」


「ははは……まぁ、そんな所です……はい」


「それで、話って何?」


「今さっ、ある決断をしたんだ……その答えを言う前に、二人の気持ちを確かめておこうと思って呼んだんだよ……」


そう言うと、二人は驚いた顔をした。


「えっ・えっ!急に気持ちって何よ?」


「いつまでも、このままだといけないと思ってさ」


「どうやら、答えが出たようじゃのぅ」


「ええ。実は二人の事が好きなんだ。フィーナは、このアノースに来てからずっと孤独な俺を支えてくれいるし、常に俺の事を最優先して考えてくれている。アイリーンは、いつも親身に相談に乗ってくれて、こんな頼りない俺の為に尽くしてくれている。そんな君たちに、いつのまにか惹かれていたんだ」


本当はもっと伝えたい言葉が一杯あったが、そう簡単に上手くは言葉には出来なかった。


「あ・ありがとう。そう面と向かって言われると何だか感動をするわ。私もタクトの事、女性として大好きよ」


「うむ。ここだけの話、実はな、気付いていたとは思うが、ワシもタクトを好いておる。LikeじゃなくLoveの方じゃ。勘違いするなよ」


二人は、嬉しそうにそう言うと、照れ笑いをしていた。


「二人ともありがとう。人間の俺を好きになるなんて、神様の世界から見ると有り得ない話だと思う。だから、今直ぐには無理だけど、いずれは、二人に言われたとおり、神になろうと思うんだ」


「そ・そうか。それをタクトの口から聞けて安心をしたぞ!」


「ええ、それなら色々と、弊害は無くなるでしょうね!」


「そう決断をすると、アンジェとセリスの事をどうしようかと悩んだんだ」


それから、二人に先ほど、悩みぬいた自分の結論を伝えた。


「なるほど。その気持ちは痛いほど分かる。もし、ワシ一人で、見知らぬ異世界に飛ばされた事を想像すると、頼りたいのに頼られて、癒されたいのに、癒しを求められる。それは、異世界人……いや、人間であるタクトにとっては辛かろうな」


「取って付けたようで申し訳ないけど、私自身がタクトの事が好きだと気付いて、色々と迷惑を掛けた事もあったのは反省してる、けど、それはタクトの寂しさを紛らわせる為でもあったのよ」


言われて見れば、このアノースに来て、初日から一緒に寝る事になったり、一緒に温泉に入る事になったのも、そう言う思いでやってくれていたんだと思うと感謝の気持ちしかない。


「そっか、そのおかげで、このアノース来てから、孤独な思いをした事が無かったんだな。ありがとう」


「いえ、どういたしまして」


フィーナは、そう答えると照れ隠しなのか顔を横に向けた。


「今の話を聞いて分かったよ。だから……その……二人とはこの先、命ある限り一緒にいて欲しいんだ」


「それは、結婚も踏まえてって事?」


「そう捉えて貰って構わない。でもここで、正式に決めるには時期尚早だと思う。この世界の最高神である神様の望みを叶えるまではね」


「分かった。こうしてタクトが思ってくれているのであれば、ワシらも、ちょっかいを掛けるのは控えよう」


「ええ。いくら何でも、アンジェとセリスの二人には申し訳ないしね」


「それじゃ、二人とも今後とも末永く宜しく頼むよ」


「こちらこそ、不束者者ですが宜しくお願いします」


「うむ。生涯ワシもタクトの為に尽くすと誓おう」


こうして、俺の決意と二人の意思を確認すると、二人はこの事を実感したのか、互いに手を取り合って喜んでいた。










いつもお読み頂いてありがとうございます。


この話により、閑話 you're my only shinin starは無かった事となります。


以前書いた内容を、変更して申し訳ありません。

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