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異世界魔刀士と七変化の眷属   作者: 来夢
第3章 王国の旅編
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第92話 ロマリア女公爵と門閥貴族

―― ロマリア女公爵・城門 ――


ロマリア女公爵の城へ到着すると、ロータリーとなっている中庭を馬車はゆっくりと走り、兵士に誘導されながら馬車は城の正面玄関で止まった。


馬車から一人づつ降りると、城の入り口に通じる階段から、グレーの短髪の50代後半に見える老紳士が階段から下りてきた。老紳士は兵士に馬車を預かるように指示を出すと、御者をしていたアルムさんと、フェルムが馬車を兵士に引渡した。


「それでは皆様、ようこそおいで下さいました。私は南の領地を任されている、ゴードン・フォン・ロワードと申します。爵位は伯爵を拝命しております。以後お見知り置き下さい。それでは、今から、皆様を城の中へとご案内しますので、私に付いてきて下さい」


老紳士はそう言うと、綺麗な身のこなしで半周くるっと回り、階段を上って行ったので、それに付いて階段を上って行った。


城の正面玄関を兵士たちが開けると、王城と色合いが多少違うが、同じような造りの城の中へと足を運んだ。


城の中の歩いていくと、王城とほぼ一緒の場所に会議室があった。兵士はゴードン伯爵の指示に従い扉を開けた。


「閣下、皆様をお連れしました」


「宜しい。入って貰いなさい」


そう返事が返ってくると、ゴードン伯爵に入る様に促されたので一礼をして会議室の中へと入る。


「タクト殿、久しぶりだな。話には聞いていたが、息災で良かった。ワーグの陰謀で刺されたと聞いた時は肝を冷やしたぞ」


「ご心配お掛けして、申し訳ございませんでした」


公爵殿下とは、以前に王城のプレゼンの時に、自己紹介をされたので面識はある。親し気に喋り掛けてくるのはデニス公爵と同じで、そう言うキャラクターなのであろう。髪の色は金色で、歳は30代後半と言ったところであろうか?


「そなた、今や時の人じゃ。細心の注意を払って行動するのじゃぞ。それと、カイルにアンジェ、ワーグをよく捕らえてくれた。やつについては、色々と黒い噂は聞いておった。いずれは何とかしないといけないとは思っていたのだが、中々しっぽを出さぬやつだった。改めて礼を言うぞ」


公爵殿下がそう褒めると、慌てて王子が立ち上がる。


「そう言って頂けるのは嬉しいのですが、実際活躍したのは、アンジェや勇者達、それに最高神であられるアイリーン様とタクト殿の眷属であるフィーナ様です」


「それも聞いておる。しかし最高神とは、初めて聞く」


「それはそうじゃろ。通常の人間には神としか名乗っておらぬからな」


「そちらの方が、最高神であられる方なのか?フィーナ様を初めて見た時も、その規格外の美しさに驚愕をしたが、それ同等の美女がまだいるとは……神の世界は恐ろしいな……」


女性から見ても規格外に見えるようだ。ここまで老若男女問わずとなれば、自分の目も間違っていないようで安心をした。


それからは、こちらのメンバーから正式に自己紹介を始めた。それが終わると今回集まった東南の貴族達の紹介が始まった。


「それでは、まず私から、私はロマリア領、中央の領地を任されている、ウォールズ・フォン・ロワードと申します爵位は侯爵です。以後お見知り置きを」


この中で、公爵に次ぐ爵位であるウォールズ侯爵は、白髪のオールバックで歳は60歳前後であろうか?


「私は、ロマリア領の東の領地を任されている、バッファ・フォン・ロワードと申します。爵位は伯爵です。以後お見知り置きを」


バッファ伯爵は、ゴードン伯爵と同じく伯爵位で、グレーの長髪を肩の位置で束ねている。歳は40代後半に見える。


「ゴードン伯爵は、先ほど紹介されたと、聞いているので、最後は私ですね。私は、東南の領地を任されている、メルフィーオ・フォン・ローワードと申します。爵位は伯爵を拝命しております。若輩者ですが以後お見知り置き下さい」


メルフィーオ伯爵も、やはりグレーの髪の色をしており、肩程度の髪の長さであり、歳は俺たちと同じ20代に見えた。


「皆さん、聞いての通り、この領地は門閥貴族である、ロワード家の支えによって統治をされています。何か地域ごとに質問や意見があるなら、後に個別で話し合って貰っても構いません」


ロマリア領を支える門閥貴族の紹介が終わると、改めてプレゼンをして欲しいとの申し出があった。


今回は、博士が絶対必要だろうとフィーナに持たせてくれた、簡易スクリーンとプロジェクターを設置すると、パソコンでプレゼンをはじめる。


「それでは、皆さん後ろの壁に据え付けたスクリーンと言う、紙?に映し出される映像をご覧下さい」


机の上自立式のスクリーンとプロジェクターをセットして部屋を暗くする。当然会議室は初めて見る映像にざわめく。リンクで映画の事を知っている、フィーナとアイリーン以外は驚愕の表情をしている。


その後、スクリーンに映し出された、北の領地の工場やレールを敷く作業を見て、ロマリア女公爵を始め、門閥貴族達も発言こそ控えていたが、映像が切り替わる度に唸りをあげていた。


それから20分間の映像を流し終わると、光の魔石が光りだして部屋を明るくした。


「この映像と呼ばれる、素晴らしい技術も然る事ながら、既に北の領地の開発がここまで進んでいるとは驚愕だ!」


「私も、話は少しは聞いていましたが、人の移動と物流関係が一気に解決され、それに治水工事もされているなんて、想像を遥かに超えていましたよ」


など、様々な意見を聞きくと本題に入る。仲間以外全員に王国の地図を配り、ルートの選定作業に取り掛かる。


ルートがほぼ決まり、話し合いの結果、まずは、門閥貴族の領地から工場を作り、線路をロマリアの町まで敷く事となった。


そして、工場は、穀物倉庫が沢山あるため、それを再利用して工場をリメイクする事になり、北の領地同様に、ミスリル鉱山の麓にプラットホームや、工場などの建物は、全面的にこちらでバックアップする事に決まった。


「…………と、言う事で決定をしました。技術指導については、北の領地のレッカ騎爵が、プラットホームと工場が出来次第、来てくれるそうなので、後の工程については、またその時に話をして下さい」


その後、バイオプラスチックの説明に入り、この地の産業にして欲しいと提案をすると、満場一致で可決された。


「次に、この地で生産可能な製品の生産なのですが、まずこれを見て下さい」


フィーナは事前の打ち合わせ通り、各化粧品を並べ、製品に必要な、この領地で取れる、大豆やオリーブオイルなどを使うと説明をしてから論より証拠と思い、公爵殿下のメイクアップをする事にした。


「只今から、休憩を挟むのですが、化粧と言う物がどう言った物かを見ていただくために、どなたか、今よりも美しくなりたいと思われる方はお見えになりませんか?」


当然の事ながらこれは出来レースである。仲間の女性達以外に該当する女性は公爵殿下しかいない。


「しょうがないわね。誰もいないみたいだから、私で試すといいわよ」


思わぬ斜め上の返答に唖然としながらも、結果オーライだと言い聞かせ、公爵殿下にお願いをした。こうした事から、休憩中に公爵殿下と共に別室に移動しメイクを施す事にする。


「それで、私はどうしたら良いのだ?」


そう問われたので、アイテムボックスから、理容室にあるリクラインイングチェアを模造した椅子を取り出した。


「それでは、こちらの専用席にお掛けになって、目を瞑ってお待ち下さい」


公爵殿下は、リクライニングチェアに腰掛けると、一緒についてきた、ファーナ、アイリーン、アンジェは興味津々で、椅子の周りを囲み、アンジェに限ってはスマホを片手に動画まで撮ろうとしていた。


「撮るのはいいけど、あまり近づき過ぎないようにね」


「はい、分かりました先生!」


「だ・だれが先生だよ!」


アンジェにからかわれながらも、カーゴ型トレイに必要な道具や化粧品を選別し準備をする。


『ついでだから、髪もセットしておくか』


アンジェ達に聞いた話しだが、この世界の女性は、ほぼスッピンである。口紅や白粉のような物も流通はしているらしいのだが庶民が買えないぐらい高価であるそうだ。


その上、汗や食べ物を食べると、すぐに化粧が落ちてしまうので、コスパつまり、効果+高価の割には面倒と言う事もあっては流行る訳が無い。


そんな理由もあるのか、化粧し自分を良く見せると言う文化は、この世界では皆無であり、ここで公爵殿下がメイクアップをして劇的に美しく変化をさせさえすれば、値段次第では、一石を投じれるのではないかと言う思惑があったりもする。


そういった思惑もあり、準備が整うと、メイクアップ作業などした事などある筈もないが、仲間には女性が多いし、この時の為にと色々調べたり、下準備した甲斐があって手順?や化粧の効果の知識はバッチリ頭の中に入っている。


まず、フィーナが日本に行った時に手に入れてきた、ピーディングパックを施した。海草由来の成分ばかりなので、研究次第では量産も可能だ。


その間に髪の毛をブラシで整え、ミスト付きのヘアアイロンで、艶のある綺麗なストレートにする。


『よし、髪に艶が出て纏まったぞ』


それから、ピーデングパックを丁寧に外し、角質や産毛などの処理をする。


「髪に艶と張りが出たのも驚いたけど、肌も凄くつるつるになったわね」


「私も見てみたいけ気持ちで一杯だけど、楽しみは最後までとっておくとするわ」


「そうして貰えると助かります」


それから、オリーブから抽出される、スクアレンと言う素材をスクアランへと化学変化させた化粧水を、パフに染み込ませ、顔全体に染み渡らせると、吸収される様に肌に消えていき肌が瑞々しくなる。


オリーブオイルから取れるスクアレンは微量なので、深海鮫の肝臓由来のスクアレンを是非手に入れたいものだ。


仕上げに大豆のレシチンを主材料とした乳液も同じ様に塗り、眉毛はムダ毛を剃ってからライナーで整え、まつ毛はビューラーで上向きに修正をする。


ちなみに、公爵殿下のまつ毛は、濃く長かったので、マスカラは控えた。


そして、初夏らしく、汗に強いウォーターファンデーションを塗り、最後にピンク色のルージュを塗るとリップグロスで締めくった。あくまでも俺の好みだが、出来るだけ、ナチュラルに仕上げたのだが気に入って貰えるだろうか?


「さぁ、出来ましたよ。みんなどうかな?男だからあまり詳しくないけど、精一杯がんばったつもりだ」


「凄いじゃないのタクト!あなたこれだけで食べていけるわよ」


「本当じゃな。ワシらが雑誌を見てやったのとは、雲泥の違いじゃわい」


「私もタクト様にして貰いたいな」


当の本人を差し置いて盛り上がっていると「早く見せてくれないか?」と催促をされたので、トレイに用意してあった、ハンドミラーを手渡す。


すると、自分の顔を見たロマリア女公爵は、あまりにも自分の変わり様に感激をして「まるで数年若返ったようだよ!いやそれ以上に衝撃だ!」と、俺に抱きついてきた。


「ちょっと!何ドサクサに紛れて抱きついてんのよ!」


「叔母様やり過ぎです!」


「ワシかて躊躇する事を、よくもまぁ抜けぬけと!」


三人は目の色を変えてそう言うと、公爵殿下を無理やり引き剥がされた。何とも笑えない結末である。


「私としたことが、喜びのあまり、つい我を忘れてしまった。すまない」


三人は、煮え切らない表情をしていたが、罰することなど出来やしないので諦めたようだ。後が怖い。


「それじゃ、私たちはついでだから、この領地で作られるかもしれない下着の説明をするわ。タクトは先に戻っていて」


「了解だよ」


そう答えると、一人で会議室へと戻る。


『はぁー。何だかどっと疲れたよ……甘い物が欲しくなってきたから、久しぶりにケーキでも振舞うとしようか……』


そう、考えながら会議室に戻ると、フェルムとセリスが財閥貴族に向きあって、何かを熱弁をしていた。


「ん?何があったんだ?」


苦笑いをしていたローラさんに尋ねる。


「今までのタクトさんの功績を讃えるチャンスだと、張り切って行ったと思ったら、こんな感じになっちゃったんです……」


そう言われると、俺はこの場から逃げ出したくなるが、このまま放置するわけにもいかず、二人に近づき肩を叩く。


「もう、その辺にしといてくれると嬉しいんだけど……」


「あっ!タクト様。この方達も、タクト様を讃える会に入会されるそうですよ!」


「も、って何だよ!それにそんな会は、絶対認めないからな!」


「そう仰らずに、認めましょうよ!」


「悪ふざけはこれぐらにして解散だ、解散!」


「ちぇ、つまんないの」


無理やり解散させて終わらせると、二人は貴族から離れた。少しこの場を離れただけで、こんな展開になるとは思ってもみなかった。


俺の心労はますます増すばかりである。







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