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異世界魔刀士と七変化の眷属   作者: 来夢
第3章 王国の旅編
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第90話 ハーフエルフの村

―― シルバー・ノア ――


サバル男爵領を出て、エルフ達の住む森へと向かう道中で、ラルーラさんと話を詰める為に、インターフォンで連絡をして呼び出した。


ちなみに、このインターフォンは、3週間前に開発をした電話をシルバーノアの船内外にマジカルスパイダーケーブルを張り巡らせた物である。


実際に試験運用し始めると、受話器を取り無言のままいきなり笑いだしたりするのは不気味であったので、意味はまったくと言ってないが声に出して通話をするルールにした。内緒話をするのにはもってこいではあるが。


「コンコン」


「どうぞ、お入りになって下さい」


ドアをノックする音がしたので、そう言うと、ラルーラさんがやって来てたのソファーに腰掛ける様に促した。


「突然呼び出してすいません。少しでも情報が欲しいので……何か飲みますか?」


「いえ。喉は渇いていないので、また欲しくなったらお願いします。それで何を聞きたいのでしょうか?私に分かる事があるならお答えしますが?」


「今から行く、村についてですが、知っている事があったら何でもいいので、教えて欲しいのですよ」


「そうですね。まず村の名前はエスラ村と言って、以前にお邪魔した事があるのですがハーフエルフしか住んではいません」


「そうなんですか?ハーフエルフしか住んでいない理由とかはあるんですか?」


「それだけ、私の様な純血のエルフは希少なんですよ」


この後も話しを聞いたが、今から行くエスラ村について、そこまで重要な情報は得られなかった。


折角ここまで来て貰ったので、エルフについて詳しく話を聞こうとすると、フェルムからインターフォンか掛かってきた。間が悪い。


フェルムからの連絡内容は、間もなく目的地に到着をするとの連絡であったので仕方が無く、ラルーラさんと自室を出て艦橋へと向かう。また後日色々と聞いてみようと思う。


艦橋に戻ると仲間たちは、既に降りる準備が出来ているようで甲板に集まっていた。


フェルムとアイラに着陸を任せ、甲板に向かうと、雨が降った後のようで、山には大きな虹が掛かっていた。みんな、スマホで写真を撮っている。


「タクト!見てみて!凄く虹が綺麗だよ!」


『どの世界でも、みんなやる事は一緒だな』


と、思いつつ、みんなの見ている方向を見てみると、自然との調和が美しかったので目を奪われた。みんなが写真に収めたくなる気持ちも分かる。


そんな、イベントもあり、暫く経つと着陸ポイントである草原に着陸をした。


タラップを降り、草原に降り立つと夏草に水滴がついてキラキラと輝いていて、初夏の柔らかい風が気持ちよく感じる。


「みんな、雨が上がった後だから、滑らないように気をつけて歩くんだぞ」


大体こう言う注意喚起をすると、必ずといっていいほど、誰かがやってしまうものだが「おおっとっと!!」と、なんと自分が片足を滑らせた。


すっ転ぶという最悪の事態は免れたが、みんなは何も言わないが失笑している。穴があったら入りたい。


草原から、馬車道に出ると、アイテムボックスから馬車を出して、シェールさんが馬を繋げた。


いつも御者をしてくれている、フェルムとアイラはシルバーノアで待機して貰っているので、アルムさんとシェールさんが御者をしてくてる手筈となっていたので、お礼を言いつつ馬車へと乗り込んだ。


馬車に乗り込むと、思わず馬車にいるメンツを見て「は~」と溜息を吐いてしまった。


アイリーンが「どうしたのじゃ?溜息なんぞ吐いて。先ほどの事をきにしておるのか?」と、すかさず突っ込まれる。


「それもありますが、この状況を見て、溜息を吐くなと言う方が無理ですって。王子以外、全員が女性ばかりじゃないですか?」


「何が不服なのよ?女子に囲まれて、逆にテンションを上げて欲しいものだわ」


博士がこのハーレム状態を羨ましがったが、気がね無く話せる男仲間が早く欲しいと思っただけである。早く博士に来て欲しい。


そんなこんなで、10分程度過ぎると窓越しに村が見えて来た。


窓を開けて少しだけ身を乗り出して村の外観をみてみると、村らしく木造の高い柵が村を囲っていた。よく見ると門なども全て木造建築となっている。村の横には小川が流れ、その水を濠に引き込んでいるようだ。


『へ~。さすがはエルフ、自然を愛する民族のような感じがする』


馬車はそのまま進むと、エルフの門兵に、馬車置き場へと向かう様に指示をされたので、アルムさんとシェールさんに馬車を任せて、先に入門の許可手続きをする事となった。


王子が代表で手続きを行っていると、アルムさんとシェールさんとも合流をして、門から村へと入村した。


「へ~、これがエルフの村か」


エルフの村は、樹齢が分からないほど太い樹に幹が家を支えるような構造になっており、凄くファンタジー感を出している。ファンタジーとは違うがトムソーヤの冒険を思い出した。


「これって、樹の上に家が建っているけど、老人に上り下りはきつくないか?」


「心配後無用ですよ。エルフは長寿ですが、老人になって足腰が悪くなる前にぽっくり死にますから」


「えーー!そうなの?」


「むしろ知らなかった方が驚きですわ!」


この後、歩きながら、さらっと話を聞くと、この世界のエルフは20歳~200歳までは容姿はさほど変わらず、その後は人間とほぼ一緒のペースで歳をとっていくらしい。200歳以上になるとその後の人生は30年~50年となっている様だ。


こうした事から、足腰が弱くなる前にエルフは皆死んでしまうので、このような樹の上に建物を建ててもあまり影響は無いと説明をされ納得した。


そんな中、エルフの村を歩いていると、全ての住人がハーフエルフと聞いているが、見た目は変わらず、純血のエルフと同じ特徴で、細身で髪の毛の色は、金色を中心とした者ばかりであり正直ハーフと言われなければ気づけない。


もっとも、俺からしてみれば、純血だろうがハーフだろうがエルフはエルフ、多少の誤差など良く分からないので、その辺は取るに足りない。ようは耳が長ければエルフなのだ。


それから、町並みを見ながら歩いていると、住民の住まいは9割と言っていいほど木の上に作られていた。


ちょっとした雑貨屋などその他店などは、景観を壊さない程度の商店街が形成されていた。例えるなら長屋っぽい。帰りに覗いてみよう。


それから道なりに進むと洋館が見えて来た。テレビで見たことのある明治時代の木造校舎の様な外観をしている。ガラスが無いので窓は全開だ。


「さぁ、ここが長老の屋敷となります」


木造の屋敷に到着をすると王子は立ち止まり、そう案内をすると玄関口に歩き出した。


「王子、なぜここが長老の屋敷って知っているんですか?」


「この村は王都の管轄ですからね」


これを聞いた瞬間、ラルーラさんに話しを聞くよりも王子から話を聞いた方が早かったのかも知れない。


『それはそうか。王都からさほど距離も離れていないようだし』


そんな事を思っていると、アンジェが横から口を挟んだ。


「お兄様、アポは取ってあるんですか?」


「無論だ。数日前にロンメルが書簡を送ったと聞いているよ」


「それなら、タクト様にちゃんと報告しないと駄目じゃない?」


「すまん。そう言う訳で、タクト殿申し訳ない。連絡不足であった」


「もう過ぎた話だからいいですよ」


そう話をしながら屋敷の前まで行くと、王子はドアノッカーを「コンコン」と叩く。


すると、人間の執事だと直ぐ分かる老紳士が、屋敷の玄関扉を開けて対応をしてくれるようだ。


「これは、王子殿下ようこそおいで下さいました。さぁ、皆様も揃って中へとお進み下さい。長老がお待ちです」


アポを取っていた為か、すんなりと屋敷の中へと案内された。玄関ホールから短い通路を歩いて行き、会議室と書いてある部屋に到着すると、執事さんがドアをノックして開ける。


「村長、宰相から届いた手紙のとおり、王族の皆様方がお見えになっています」


すると、入り口付近で、見た目は若いがエルフの長老と思われる人物が慌ててこちらへやって来た。


「ようこそおいで下さいました。さぁ遠慮なく椅子に腰掛けて下さい」


椅子に腰掛ける様に促されたので腰を下ろすと、ラルーラさんは椅子には腰掛けず何やら小声で話し出した。どうやら約束を果たしてくれているようだ。


それから、ラルーラさんと村長の話は、1分と掛からず終わり、ラルーラさんは空けてあった、俺の隣に腰掛けた。


「ラルーラさん、ありがとう。約束を覚えてくれていて嬉しいよ」


「そう言って貰えると嬉しいです」


長老が席に戻るまでの短い時間だったので、この程度の感謝の言葉しか言えなかったが、伝えられただけでも良かったと思う。


「それでは、皆様お初にお目に掛かります。私はこの村の管理を預かる、ハーフエルフのレイニーと申します。以後お見知り置き下さい」


それから、面識がある者は自己紹介を省き、簡単に自己紹介を終えた。


「宰相からの、書簡には目を通しましたが、今話題の飛空挺でいらっしゃられたとか。まさかこんな小さな村に足を運ばれる理由は、ただの観光目的の訪問だけだとは思いません。一体どのようなご用件なのでしょうか?」


そう、聞かれたので、俺は立ち上がり、王国だけの拡大した地図を村長に渡して、今後の列車の通るルートを説明をした。


「なるほど。それにしてもこんな精巧で立派な地図があるとは驚きました。列車との話がありましたが、一度どんな物かを見せて頂く訳には参りませんでしょうか?得体のしれない物が森を通る事になれば、この村の住民は納得出来ないでしょうから」


「そうですよね。それでは、こちらをご覧下さい」


こうなる事は、当然織り込み済みだったのでこちらも準備万端である。こっそりノートパソコンを立ち上げてくれていたアイリーンが、俺にノートパソコンを手渡してくれると、完成した線路と列車を走らせた動画を村長に見せた。


動画を見て驚いたのか、列車の事で驚いたのかどちらか分からないが、村長は動画を驚愕したままの表情で真剣に見ている。


動画なら、いちいち現場に足を運ばなくてもいいしわざわざ説明をする手間も省ける。一石二鳥だ。


「いや~。色々と驚きました。こんな画期的な魔道具を初めて見ましたよ。それにまさか、人の移動と物資運搬を同時に行う乗り物が作られる時代がくるなんて、今まで想像すらしていませんでしたよ」


村長は、ノートパソコンに映し出された映像は、どうやら魔道具だと勘違いしてくれたようだ。面倒なのでそう言う事にしておこう。


「そうですね。この列車がこの世界を走るようになれば、盗賊に襲われる事も無く、馬も必要としないため、安全且つ、スピーディーに世の中が回るでしょう」


「なるほど。それでは条件があるのですが、我が村にも駅なる物を作って頂きたいのですが、ご検討願えませんでしょうか?」


「分かりました。列車は必ずこの森を通りますから、陛下に相談をしてみます。私が勝手に約束をするなど出来ませんが、おそらくは交換条件と提示をすれば陛下も無碍には扱わないでしょう」


「陛下に、交換条件を出すなど恐れ多いですが、村全員の賛同を取ろう思うと、こうでもしないと難しいのです。ご理解をして頂く様お願い申し上げます」


「分かりました。その旨を陛下に報告しておきます」


「よし、それでは決まり次第、王都から使者を派遣して貰おう。また契約書の関係はロンメルから指示があるだろう。それまでに住民の説得を頼んだぞ」


「分かりました。そうと決まれば全力で説得に当たります」


こうして、村長との会談も話がこじれる事もなく終った。ラルーラさんの口添えの成果もあるだろう。じゃないと、森と共に生きるエルフとの交渉がこんなにスムーズに進む訳はない。


村長の屋敷を出ると、村の中を少しの時間だが見学をする事になった。


今後の参考の為に村の建物の写真を撮りまくりながら歩き、先ほど見た商店街があったので物色をしたいので立ち寄った。


店には木で作られた工芸品、主にチョーカーなどが売られていて、食べ物に関しては山菜やキノコ類、それに色々な果物が売っていたので買いあさってから、シルバーノアに戻った。


自室に戻ると、スマホで陛下に今回の会談の内容を伝えると、村長の提案はあっさりと許可が下りた。今後のエルフとの付き合いもあるからとの話であった。


「はぁ~。何とかこれで目処がついたぞ。これでようやく、次の東南の領地に行けるよ」


「お疲れ様ね。癒してあげようか?」


「そうじゃのっ!この前みたいに添い寝をしてやろうか?」


「勘弁して下さいよ!余計に神経を使って倒れますってば!」


「なんじゃ。つまらぬヤツじゃな」


「つまらぬヤツで結構です。少し仮眠を取るので悪戯はしないように」


「仕方が無いわね。それじゃ私たちは、次の領地で化粧品を作るって話だから、化粧の勉強でもしてくるわね」


「了解だよ。また着く15分前になったら、起こしてくれないか」


「分かったわ。優しく起こしてあげるから安心していいわよ」


「絶対の絶対に悪戯だけはよしてくれよな!」


「分かったわよ」


「うむ。約束しよう」


子供が両親に約束をする様に、悪戯好きの二人に釘を刺した後、ソファーに寝転んだ。


「あ~、やっとかよ」


これで北の領地でやる事は全て終えたので、次の目的地であるロマリア女公爵領へと向かうまで休息を取る。







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