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異世界魔刀士と七変化の眷属   作者: 来夢
第3章 王国の旅編
92/203

第89話 3週間後……

―― シルバーノア・自室 ――


翌朝、目が覚めると身動きが取れない……


『ん?これが噂の金縛りか?』


それにしては、両隣から寝息が聞こえるので、恐る恐る感触を確かめるように両手を動かすと、今は決して触れてはならない、とても柔らかい双丘の感触がある。


「うわ!何で二人とも俺のベッドで寝てるんだよ!」


突然のこの状況に、慌てて足の方からベッドから抜け出した。


「うーーん。どうしたのじゃ?」


「そうよ、いきなり大声で叫んだりして。タクトの好きなサプライズよ。サ・プ・ラ・イ・ズ」


二人ともが起き上がると、うろたえる俺を見てほくそ笑みながらそう答える。


「うむ。これは、ご褒美じゃよ。ワシらへのな」


「そうよ。ちょっと待って。鼻血が出ているわよ?」


先ほどの感触は明らかに、二人の高くそびえる大きな双丘であったので、刺激が強すぎて、鼻血もさる事ながら息子も爆発しそうになっている。


「や・やばいよ。ちょっと行ってくる!朝ごはんをついでに作ってくるから、まだ寝てていいよ」


「ん?何がやばいの?」


「色々と男には事情があるんだってば!おさらば!」


きょとんとしている2人を残し、息子を慰めに艦橋の仮眠室に飛び込んだ。


数分後


「おーやばかった!うなぎの効果抜群って!このままだといつか何かが爆発しそうだ」


美人美女に囲まれ、贅沢この上無しと言う事は分かっているのだが、誰にも手出し出来ないない。仕方が無いとは言えマジできつい。まさに蛇の生殺し状態とはこの事だ。


神様から許しを得たものの、何も成し遂げていない自分に対して、何か行動に移す資格は何もない。いつしか相応しい男になるまでの辛抱すると決めたんだから、耐えるしかないのだ。


こうして、何かモヤモヤと言うか、やりきれない虚しさを感じながら、朝食を作りに食堂へ行く。


「カタ、カチャ」っと、食堂では既にセリスとラルーラさんが、朝食を作る準備を始めてくれていた。その姿を見ると、なんだか物凄く申し訳ない気持ちになる。罪悪感が半端ない。


「おはよう。朝早くから手伝ってくれてありがとう。感謝するよ」


おはよ(セリス)うございます。いつも言いますが、これは自分の為にやっているのですから、お礼はいらないですよ」


そうですよ(ラルーラさん)。旅をご一緒にさせて頂いているのですもの、やって当然です」


「それでも、感謝はするよ」


毎度の事ながら、みんながそれぞれ、得意分野で色々と助けてくれて心の底から感謝をしている。


その後は、いつもの様に食事を済ませると、先日の約束通り、今日から再び北の領地の各都市に向かい、各都市に施工技術や工場を建てに行く事となる。


今日は珍しく、王都は雨に見舞われていていた。本来なら王城に挨拶をしに行く予定であったが、陛下とクリスティーヌさんには、昨日のうちに別れを済ませていたので、無理をせずにスマホで連絡を取って、今から出発すると挨拶をした。


クリスティーヌさんについては、博士がこの世界に来たらまた迎えにくる約束になっている。無論、ジャスティン最高司祭には許可を貰っている。3が月後に再び合流する予定だ。


シルバーノアが王城の広場から飛び立つために上空に上がり始めると、雨が降っているににもかかわらず、陛下達はバルコニーから出て手を振っていた。こちらも手の空いている仲間は手を振り返していた。


それからシルバーノアは既定高度の1万メートルまで上昇をすると、次の目的地であるデニス公爵領を目指した。


自動航行となったので、デニス公爵領に着くまでに、フェルムを自室に呼んでテイムについて話し合う事にした。


フェルムがソファーに腰掛けたので、大まかに内容を話すと「なるほどです。それなら私の従属してあるビッグハンドモグを、タクト様が従属されるまで貸ししましょう」と、提案をしてくれた。


「それは有難いけど、さっき話したとおり、マジカルスパイダーとワイバーンも手に入れておきたいんだ。ラッフェル島の迷宮で戦った事があるからあの迷宮にいる事は確かだし」


「ちょ・ちょっと待ってよ。この忙しい時期にタクトが迷宮にまで行くわけ?なんならフェルムを連れて私が行ってくるわよ!」


フィーナは言葉を遮るように割って入った。


『ん?……あの迷宮に何かあるのか?まぁいいか……』


「しかし、他の連中にはどう言うのじゃ?フィーナとフェルムが、毎日いなかったら、おかしく思われないのか?そろそろ旅の仲間にも転移魔法の事は告げてはどうじゃ?」


「そうだな~。アルムさん達は知ってるし、その他のメンバーにも、そろそろ本当の事を話してもいい頃かもしれないな。フィーナはどう思う?」


「そうね。この先、毎日一緒にいる以上、隠し続けるのも難しいかもしれないわね」


「よし、決まったな。それじゃ仲間達を集めて転移魔法の事を説明するとしようか」


そう決まると、食堂に全員集まって貰らうと、転移魔法の件を説明をすると驚いた表情をするのだが、普通に受け入れた。


それもこれも、何に於いても規格外の2人を見てきたからであろう。完全に常識がマヒしている状態である。


そんな訳で三人には転移魔法があれば、暗殺がたやすく出来てしまうので、もし何か起これば真っ先に疑われると説明をして他言無用と釘を刺した。


「それはそうですよね。そんな魔法があるとバレでもしたら、何かあったら真っ先に疑われるでしょうし」


「それじゃ、この件に関しては決して誰にも喋らないと誓ってくれ」


ここにいる全員が転移魔法について、他者にはバラさないと誓うと、アンジェが「はい!」と手を上げた。


「んっ?何か質問でも?」


「私たちも、その迷宮に行きたいです。タクト様がみんなに技術を教えている間、いつも何か手伝える事はないかと思っていたんです」


「私もです。今回タクト様が刺されてから、私自身が強くならなければならないと、ずっと考えていました。私も少しでも戦えるようになり、皆さんの役に立ちたいです」


アンジェとセリスは真剣な目でそう言うが、王女や貴族の大切な娘を危険に晒すのはどうかと思ったので、それを断る。


「駄目だよ!迷宮は危険なモンスターで一杯だ……大事な君たちを危険に晒すなど出来ませんっ!」


それなら(フェルム)、私に良い考えがあります。迷宮からワイバーンをテイムしたら、私と一緒に、王都に行ってもらう連絡役になって貰うと言うのはどうですか?それなら危険も無いですし」


「え~!私達も協力したいです」


「我侭を言っても駄目ったら駄目だよ。それに君たちの事を思って言っているんだ、分かってくれないか?」


「分かりました。タクト様がそこまで言うなら我慢します」


それから、今後の仲間達の役割分担を告げる。


工場と技術は俺とアイリーンが受け持つ事になった。フィーナは少し拗ね気味ではあるが、アイリーンは地球の物に詳しいので反論の余地は無い。本当は傍に居て欲しいが、こればっかりは仕方が無い。


次に王子とアイラはシルバーノアの管理を頼んだ。本当ならフェルムなのだが、今回は迷宮に行って貰わないといけないので外れてもらった。


アンジェとセリスは先ほど言ったように、シルバーノアと王城の連絡係をして貰い、残りのメンバーで、迷宮に行って貰う様に指示をだした。 


役割分担が終ると。それぞれが自分のやる事の準備をして各持ち場へと向っていった。




※ ※ 3週間後  ※ ※ 



アイリーンと一緒に北の領地を一つづつ巡りながら、次々と工場を建てから技術を教え回るといつのまにか予定の3週間が経った。


作り教えた工場は全て稼動を始め、列車に於いては、プラットホームからレール作りも本格的に工事が進められていた。


「やっと、北の領地から離れられそうですね」


「そうじゃな。大きな問題もかったし、予定通り滞りなく進んで良かった」


驚く事に、既に貧困層の村と、ザバル男爵が住むクロードの町と繋がったので、後は駅を作るだけとなっていた。そんな事もあり、今後どうするかをクロードの町まで来て、ザバル男爵と話し合う事になっていた。


クロードの町に到着をすると、ザバル男爵の屋敷に赴き、アイリーンと共に客間へと通されると、ザバル男爵とレッカ騎爵が待ち焦がれるように、屋敷の周りをうろうろとして待っていた。


「お待たせしたみたいで申し訳ないです」


「バレていたようでお恥ずかしい。お二方とも、この度は我が領地の為に尽力を尽して頂き、本当にありがとうございました。お陰様で各地工場も稼動したようで安心しました」


「うむ。そなた達が、がんばったお陰じゃな」


「そのとおりですよ。それにしても、もうクロードの町と貧困層の村が繋がるとは、私の予想を遥かに越えるスピードですね」


「これも、魔力量が豊富な人材を王都から回して貰えたからですよ」


この後、今後の話をした結果、立派な駅を作るより、早く町と王都を結びたいという話をされた。そんな話になったので、人材は全てそちらの方へ投入する事が決まる。


「それで、タクト殿たちは、これから東南の領地へと向かわれるのですか?」


「ええ。今からエルフの村に森の開発許可を貰いに行った後、陛下の妹君でいらっしゃるロマリア女公爵領へ向おうと考えています、デニス公爵殿下の話によれば、かなり心待ちしていると言う話なので」


「そうか。それで東南の領地では、どんな技術を教えるつもりなんだね?」


「聞く話によれば、東南の領地は、毎年穀物を廃却しなければならない程大量に取れると話を伺っております。なので、バイオプラスチックと言う素材と、女性の肌に関係する化粧品や美容品関係の工場を作ろうと考えています」


「なるほど。何か力になれればと思って聞いたのですが、どれも初めて聞く名称ばかりで何がなんだか分かりません」


「それでは、これをどうぞ」


少し前に実験で作った、バイオプラスチックをアイテムボックスから取り出し、ザバル男爵とレッカ騎爵に手渡すと、二人は興味津々な顔をして、バイオプラスチック指で弾いたりして、素材の強度を確かめていた。


「ほう。これは軽くて丈夫な素材ですね。これが穀物から作れると言うのですか?」


俺は、食材から取れるデンプンの説明から始め、バイオプラスチック作り方を簡単に説明をすると、二人はどんどん驚愕した顔つきになる。


「まさか、食材がらこんな良質な素材が作れるなんて夢にも思いませんでした」


「これが科学の力なんです。私のいた世界では、これら物質と呼ばれる物の研究が盛んであるからこそ、便利で豊かな生活が送れているのです」


「なるほど、納得しました」


この後、少し世間話をして、シルバーノアに戻る事になると、ザバル男爵が個人的に話しがあると言うので、アイリーンとレッカ騎爵には席を外して貰った。


「ザバル男爵、話と言うのは何でしょうか?」


「うむ。前から思っていたのだが、あのアイリーン様と言う規格外な美人は、タクト殿のなんなのだ?」


「前も説明しましたが、アイリーンは、私が元いた世界の最高神ですよ。それ以上でもそれ以下でもありません。でも今更なぜそんな質問を?」


「いやな、アイリーン様のタクト殿を見る目が気になったんだ。あれは、恋する乙女の目じゃないのかとな」


「まさか。最高神と言えば神様の中でも最高位の偉い方ですよ?そんな事あろう筈がありません。それに仰られたとおり、あのような人外な美しい神様が、私のような平凡な人間に惚れる要素なんかありやしませんよ」


「そうか?タクト殿がそう言うなら、この件は忘れてくれ」


ザバル男爵は娘のセリスの気持ちを察しているのだろうか?ただでさえフィーナでも規格外なのに、更に規格外が増えて心配なんだろう。自分の気持ちは?と問われれば迷いはあるが。


こうして、話は終わり、アイリーンの待つ玄関ホールの待合に行くと「早かったな。もう良いのか?」と笑顔で出迎えてくれた。


『言われてみれば、この笑顔は凄く可愛いな……って、まさかな。からかわれているだけだ。と・取り敢えず意識をするのはやめよう。心が乱れる……』


ザバル男爵に思わぬ指摘をされ、アイリーンの事を妙に意識をしてしまう。なんだか顔が熱い。取り敢えず冷静になろうと深呼吸をする。


「ん?どうしたのじゃ?赤面などをして?」


「いえ何でもないです。少し胸に引っ掛かりがあって、深呼吸したら治りましたよ」


「そうか。なら良いのじゃが」


この場をなんとか誤魔化しきり、ほっとすると、ザバル男爵とレッカ騎爵に別れを告げる。


「それでは、また数日後にお目に掛かるとは思いますが、それまで息災で」


「うむ。くれぐれもセリスの事を頼んだぞ」


「タクト殿達も、息災でな」


こうして、シルバーノアに戻ると仲間達は、既に迷宮から戻ってきていて、いつもの様に、今日の戦果を報告された。


「今日は、早めに切り上げたから、ワイバーン5匹しかテイム出来なかったわ」


「十分じゃないですか?短時間でしたし、ワイバーンだけでも、今日までで累計70匹も従属させたんですよ」


そう、結果から言えば、これまでの3週間で、今日までに、マジカルスパイダー6匹、ビッグハンドモグ3匹、ワイバーン70匹と、本来ならありえない程の成果を挙げていた。


勿論、ワイバーンは王国竜騎兵団に残り30匹を提供した。これで王国竜騎兵団は計50匹の軍団となった。


この3週間の間に問題があったと言えば、マジカルスパイダーをテイムした時に「それでは、名前はどうしましょうか?」と、フェルムが女性陣に尋ねた時だけであった。


「それなら、リーンと言うのはどうじゃ、タックとフィーがいるなら、構わぬじゃろうて?」


「おいおい、オスもメスも関係なく、勝手に名前を付けるのは駄目だよ!」


と、こんな具合であった。


「そう言えば、クリスティーヌさんに連絡はちゃんとしてあげたの?」


「勿論したよ。嬉しそうにしているのが、声から伝わって来たよ」


そう、昨日アイリーンは、博士と一緒に神様の所へ行き面談を行ったと言う事だ。


本来なら2週間前に、行く予定だったのだが、博士がパソコンのデータを1週間では集めきれなかったので、話し合いの結果、昨日と言う事になったそうである。


アイリーンが、博士から直接渡してくれと頼まれた物を受け取ると、ノートPC3台に、外付けのSSD、プロジェクターに何故か高級マッサージチェア、それに、どこからこんなに集めたのか分からないが、建物や乗り物のプラモデルが所狭しと並べられていた。


『やっぱり親友だな!俺が欲しい物がピンポイントでクリティカルヒットしてるよ。でも手紙とかは無いのか……両親の事知りたかったんだけどな。まぁ、直ぐに会えるんだ楽しみはその時まで取って置こう』


その後、アイリーンに、神様との話合いの結果を聞いてみると、神様は俺の意見の大部分を取り入れてくれた様であった。


体の方は、肉体はそのままで魔臓を新しく体に作られると言う話になったそうである。まるで人造人間だ。


それに、これも予想通りで、神の使徒として、医療を発展させる事を条件に医療系のスキルを与えられる事になった。更に、年齢を俺と同じ18歳にして貰い視力の落ちた目は、魔眼と呼ばれる物に変わるらしい。


『なんだよ魔眼って言う、厨二設定は!絶対博士が無理やり頼んだんだな!』


魔眼と聞いた瞬間はそう思ったのだが、医療関係で発揮をする物だと聞き、それならばと、無理やり納得をしたのだが、ファンタジーぽくて羨ましい。オッドアイなら尚更だ。


こうして、いつものルーティーンを行い、今からエルフ達が住まう場所である、王都とデニス公爵領の中間地点の山の麓にある、エルフの村へと向かう。





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