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異世界魔刀士と七変化の眷属   作者: 来夢
第3章 王国の旅編
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第87話 王国竜騎兵団 誕生




―― 王都・貴族街 ――


昼食を久しぶりにサンドイッチ専門店で食べ終えると、全快復帰の報告と聖女誕生の報告をしに王城へと向かっていた。


出発する前に、既にクリスティーヌさんとは、スマホで連絡をしており、貴族門の前で待ち合わせをしていた。


貴族門に辿り着くと「皆様こんにちは」と、約束をしていた時間、5分前なのに既に門の前で待っていた。


「こんにちは。お待たせして申し訳ありません」


「いえ。まだ5分前ではないですか。それに私も今到着したばかりですよ」


と、なんだかデートをするカップルの様な会話をしつつ合流をすると、みんな揃って王城に向かい歩き始める。


「それにしても、この魔道具は素晴らしいですね。遠く離れた場所からでも、話が出来るなんて夢のような話しですよ」


「そうですね。これが今この世界にあれば、世の中が一変してしまう程の代物です。くれぐれも取り扱いには注意して下さい」


「もちろんです。最高神でいらっしゃるアイリーン様から直々にいただいた物ですもの」


クリスティーヌさんと、そう喋べりながら歩いると何やら後ろが騒がしい。


後ろを振り返ると、女性陣がスマホの画面を見て盛り上がっている。まるで女子高生のようだ。


「おいおい、歩きスマホは危ぶないぞ。転倒したりしたら怪我をするし、人にぶつかったら迷惑だろ」


「ごめん。だってさ、この写真いつ見ても素晴らしいもの」


全員が一斉に水○黄門の有名シーンのように、どうだ!とばかりにスマホ画面をこちらに向ける。


『なんで、このタイミングで、この前教会の前で撮った写真見てるんだよ!それにフィーナだけは、結構前に撮ったお姫様抱っこの写真じゃやないか!改めて今見ると恥ずかし過ぎる』


現在、男一人に女性5人と、どう考えてもおかしいこのこの比率に、これ以上何を言っても負けるだろうと諦める。


どうにかしてこの状況を打破したいと思うのだが、今のところその具体的な解決策は見つかっていない。


こうして、女性陣が写真の話で盛り上がっているのを余所目に、王城にに向けて歩いて行く。


暫く歩くき、王城へ辿り着くと、事前連絡をしていた王子が出迎えてくれた。


「王子、職務は落ち着いたのですか?」


「当然だ。明日からまた各地に向かうから、大体の仕事は終わらせておいたよ」


「お兄様は、仕事に関しては優秀ですから、心配なられなくても大丈夫ですわ」


「仕事に関しての部分は余計だって!」


相変わらずのアンジェの刺のある一言に、苦笑いをして対応をしている王子の姿を見ると、なんだかかわいそうに見える。


その後、いつもの会議室へと入ると、既に陛下、ロンメルさん、ゴルさんの3人は待機をしていて、中に入るなり歓迎を受けた。


「おお!タクトどの息災で安心をしたぞ!」


「まったくですな。印刷技術のお陰で仕事がかなり楽になりました。その感謝をしたかったのですが、この様な事態となり、何とお詫びをしたらいいのか」


「もう全快になったので、気にしないで下さい」


「そう言って貰えて助かるよ。ついでに言うとワーグと魔人の死刑が1週間後と決まった。タクト殿の殺人未遂と国家反逆罪の罪だ。同情の余地は無い」


仮にこの国が日本のように法治国家だとしても、やはり国家反逆罪となると死刑判決になる筈である。ましてや、私利私欲の為の犯行だったので、情状酌量の余地は無い。


「そうですか。私も仲間に手を出されたので、擁護する理由が見つかりません。せめて、苦しまずに逝かせてやって下さい」


「うむ。兵士からの報告を受けた限りでは、死すら生ぬるい罰を受けていると聞いている。許す事は出来ぬが、被害者であるタクト殿の頼みとあらば、慈悲を掛ける様に兵士に伝えよう」


死すら生ぬるい罰とはどんな罰なのか、想像するだけでも身震いしてしまいそうだった。


その後も、冒険者や盗賊達が軒並み処刑になった事を聞かされ、王族に刃を向けた罪の重さを実感した。


重い話が終わると、明るい話題に変えたかったので、神様に聖女の紋章を与えて貰ったと報告をすると陛下達は笑顔になり喜んだ。


「そうか。聖女が正式に神様に認められるとはな。クリスティーヌとやら、神の使徒を支え精進するのじゃぞ」


陛下はそうクリスティーヌさんに言うと「勿体無きお言葉ありがとうございます。今の言葉を心に刻み、職務を全ういたします」と、頭を下げた。


それから、アイリーンは突然椅子から立ち上がる。


俺は知らなかったのだが、テイムのスキルが条件付で魔神族以外のも開放されたのだと報告を受けると、それから詳しい内容をここにいる全員に説明をした。


「それは、凄い!ゴルディル。今すぐ20名、高所恐怖症じゃない兵士を集めるのだ、竜騎兵隊を立ち上げるぞ!」


「はっ!私を含めても宜しいでしょうか?」


「当たり前じゃ。騎兵の騎は騎士の騎だ、お前が陣頭を執らずして誰が執るというのだ!」


「それでは、直ちに宿舎に戻り、該当する兵士を中庭に集めます」


陛下は結構真剣に叱責したのだが、当の本人はそんな事は気にもしていない様子で、笑顔を隠せずに、半笑いで会議室から飛び出して行った。


「まったく。ワシが怒っているのに、子供の様に嬉しそうにしよってからに」


「実は、お父様も乗りたいのじゃないの?」


「ん?分かるか?しかしワシは国王であるからして諦める他無い。残念じゃが、そこまで我が侭を言うほど、子供ではないから安心をせい」


「それでは、私たちも中庭に向かいましょうか?」


「うむ。参るとしよう」


そんな訳で全員で、中庭に行こうとするとアイリーンに引き止められた。


「タクトはワシとフィーナに付いてくるのじゃ」


「えっ、何故一緒に行かないのですか?」


「魔人からスキルを奪い、タクトにテイムのスキルを付与をしないと、魔人から取り上げたワイバーンが呼べぬからじゃよ」


それから、詳しい事情を聞くと、敵の魔人がテイムしていたワイバーンは20匹いるそうで、先ほどの話にもあったように、同じ魔人のフェルムならともかく、制約上の問題で他の人間には無理であるようだ。


そこで神の使徒は、その制約から外れているようなので、俺に白羽の矢が立ち、魔人から取り上げたテイムのスキルを付与すると言う話になっていたそうだ。


正直テイムのスキルは嬉しいのだが、スキルを既にテイムしているワイバーンを奪うと言う話を具体的に聞くと、なんだか罪悪感があるのも事実であった。


それでもスキルやワイバーンを奪う相手が、自分を刺した張本人だと知らされた以上、ここは冷徹に徹しなければならないと、自分の心に言い聞かせる。


「そう言う事らしいので、先に中庭に先に向かっていて下さい。用が済み次第直ぐ向かいますので」


「よし分かった。本来なら地下牢など行かせたくはないのだが、だからと言って別の場所に移す事も出来ぬ。申し訳ないが、言葉に甘えて先に行っているぞ」


「はい。すぐ追いつくと思うのでお待ち下さい」


それから、陛下達は中庭へと向かう事となり、クリスティーヌさんは、一度教会へと戻ると言う話になる。


「それでは、また夜にスマホの使い方を説明しますので、シルバーノアへと来て下さい」


「畏まりました。それでは皆さんごきげんよう」


「ごきげんよう」


なんだか使い慣れていない、ごきげんようと言う言葉に育ちの良さを感じる。


地下牢に通じる階段の途中で、それぞれが別行動になると、王子に先導をされて、地下牢がある扉に辿り着く。


「ワーグは尋問の為、今は特別房に入っているのですが、お会いになりますか?」


王子は、そう言ったのだが、会ったからと言ってどうこう変わる訳でもない。そんな事で遠慮をしておいた。


「恨み言の一言でも、言うチャンスなのにいいの?」


「死に行く者に掛ける言葉など持ち合わせてないよ」


「そうじゃな。じゃが、痛い目にあったタクトには悪いが、あやつのお陰でこうしてタクトとも知り合えたのじゃ、ワシは感謝をするがな」


「ひどいですよ。俺も死に掛けたのに~」


「冗談じゃよ」


冗談とは思えないが、特別房へとは行かない事が決定をすると、2つある扉のうちのひとつである、右の鉄格子の扉を開け、さらに頑丈に作られた扉を開けた。


扉から牢へと続く通路に入ると、薄暗く何とも言えない、カビ臭くじめっとした空気が流れてきた。


扉の付近にいた、敬礼をする兵士に「お疲れ様」と声を掛けると「お疲れ様です」と元気な声が返ってきた。


「それでは、フィーナ様、アイリーン様。私は案内をするよりここで見張りをしていますから、お二人にタクト殿を魔人のところへ案内してもらいたいのですが、引き受けて貰えませんか?」


「ええ。分かったわ」


王子がそう言うので、受付名簿に名前を書いて、地下牢の通路を歩いて行くと、二人は急に立ち止まる。


「タクト、この先は感情的になるといけないから私達が行くから、そこで待ってて」


沈着冷静だとは自負しているが、何が起こるか分からないのでその指示に従う。


5メートル位離れた場所から、2人の様子を伺っていると、突然、アイリーンは神々しく光り「スティール」っと短く唱える。


すると、牢の中から先ほど見た、金の粒が牢に入って行き今度は「ほい」と言うと、アイリーンの手のひらに金の粒は集まった。


「よし、終わったぞ」


「えっ!もう終わったんですか?」


アイリーンは、こっちに向かい、歩きながら「なんじゃ、不服か?」と笑顔で質問をしてきた。


「そう言う訳じゃないのですが、あまりにも簡単そうに見えたもので……」


「ご覧のとおり簡単じゃよ。まぁいいから手を出すのじゃ」


アイリーンが笑顔でそう言うので、何も考えず言われたとおりに右手を差し出す。


アイリーンは差し出した手を握り「ほい」と唱えると、金の粒は俺の体に吸い込まれる様に吸収され消えて行った。すると、スキルを習得した時と同じく薄っすらと発光をした。


「うむ。上手く行ったようじゃな。これでタクトは自由にテイム出来る様になった。後からでもいい。ギルドカードで確認すると良い」


こうして、スキルの付与はあっさりと終わり、フィーナも戻って来たので、地下牢の部屋を出ようとすると「まて!こんな事をしてタダで済むと思うなよ!」と、声が聞こえた。


「タクト、耳を貸すな。所詮は罪人の戯言に過ぎん」


「ふっ!それならそれでいい!お前達は、封印が解かれるまでの命だ!精々残りの少ない時間を楽しむのだな。わははは……」


本当は話の続きが気になるが、アイリーンが制止をしているので、諦めて地下牢を出た。


「やつは魔人であり、堕天使でも邪神でもないのじゃ。話しは気にはなるじゃろうが、ヤツ自体何者かに操られている可能性がある。分かってくれ……」


地下牢を出るとアイリーンが、そう説明をしてくれたので信用した。


「アイリーンがそう言うなら従いますよ」


そう答えると、アイリーンは嬉しそうな顔をして俺の手を握った。


「あっ!アイリーン、さり気なく手を握るなんて卑怯じゃない?それにスキルを授ける時、本当は手を握る必要は無いって知ってるわよ!」


「ちっ、バレたか。そこまで言うなら、フィーナも繋げばよかろう?減るもんじゃないんだ。仲間なんじゃろ?」


「ははは……仲間ですからどうぞご自由に」


この、強引なやり口にも、アイリーンの美しい容姿と何も悪気のない笑顔で掻き消された。美しいというのはなんて得であり罪なんだろう。


「それじゃ……遠慮なく……」


フィーナも贔屓目なしに美人なのに、照れるとかわいい。これはこれで反則である。


フィーナは、ぎゅっと俺の手を握ると「二人とも、流石に大勢の前では恥ずかしいから、広場までって約束してよ」と、お願いをした。


「そうね。大勢の前だと、照れるわね」


「うむ。了解じゃ」


前を歩く、王子は見て見ぬ振りをしてくれ、両手を美女二人に握られたまま王城の広場へと出た。


広場に出ると、騎士や兵士、総勢20名は既に整列していて、呼んだ覚えがないフェルムが俺たちを出迎えた。


「お待ちしておりました」


「なんでフェルムか?まぁいいか。テイムの事を聞きたかったから助かるよ」


すると、フィーナはスマホを取り出し「ふふふ。こんな事もあろうかと、スマホで連絡しておいたのよ」と、大きな胸を張ってドヤ顔でそう答えた。


「流石だよ。いつの間にかスマホを渡したんだな……」


「そうよ。アルムさん達の分はラルーラが渡しておいてくれたわ」


「シェールさんの分はどうしたんだ?」


「メールなら出来ると思って渡したわよ」


こんな所で、差別をしたく無かったので、良かったと胸を撫で下ろす。スマホ画面にメールが届いている、通知マークがついていたので開いて見る。


【タクトさん。こんな素晴らしい物を頂いて、本当にありがとうございます。喋りは苦手ですが、これなら何とか皆さんと意思疎通が出来そうです。感謝します。シェール】


と書いてあり、「えっ!え~」と叫んでしまい仰天をした。


「どうしたのよタクト!」


「こ・これを見てくれ!」


スマホの画面をみんなに見せると、全員が同じ様に仰天をしていた。中でも勇者の仲間であるラルーラさんは「ありえない……嘘でしょ!」と未だに信じられない様子であった。


こうして、少し脱線はしたものの深呼吸をし仕切り直す。


「それでは、始めましょうか?」


「うむ。では諸君これから、この地の最高神であるゼフト殿が、紋章を授けるのでワシの指示に従ってくれ」


兵士たちは「ハッ!」と短く答えると、アイリーンは兵士達に利き腕を、天に向かって差し出す様に指示を出した。


「この国の王よ。そなたも腕を出すのじゃぞ」


「私は対象外な筈ですが、仰るとおりにします」


「うむ。それでは行くぞ」


すると、アイリーンは祈る様に手のひらを合わすと目を瞑り、神力を上空に向けて解放し眩く光る。


すると、超常現象の様に空一面が瞬時に暗くなり、王城の上にだけ光が射し兵士達が差し出した腕が発光する。おっ神龍でも出てくるのかと期待に胸を膨らませるが、ドラゴ○ボールのようなサプライズは無い。


「よし、終わったぞ!」


アイリーンはそう言うと、空は一瞬で元の青さを取り戻した。兵士達の方を見ると、手から先程の俺と同じ様に金の粒が吸い込まれて行った。


陛下は「どっ・どう言う事だ。ワシまで光って光の粒が体に入ったぞ!」と、自分が光った事に驚き、あわふたしていた。


するとフィーナは、陛下が光ったのは紋章を与えたり剥奪したり出来る管理者になったと説明をすると、陛下は納得をしたのであった。


それから、付け加える様に、アイリーンが注意をする。


「テイムの紋章の為にいちいちワシらを呼び出すのは面倒であろう。アノースの最高神であるゼフト殿が国王、または女王にその権利を与えたのじゃ。不正を犯したり、私利私欲に使えば、直ぐにその権利は剥奪をされる。ルールを守って正しく使うのじゃぞ」


「もっ・勿論でございます」


「タクト、面倒だと思うが、折を見てルールや注意事項をパソコンで作ってやってくれないか?」


「了解だよ。喜んで作る事にするよ」


こうして、兵士達は手に魔力を流して紋章を確認すると、紋章のマークは王国で使われている紋章と同じであり、兵士達全員のテンションが上がる。


『神様、ナイス・サプライズ!』


心の中で、そう神様を称えると、今度は自分の出番となった。


フェルムは隣に来ると、まず見本に誰かに契約をさせると言うので、代表でゴルさんを呼んだ。


フェルムは俺とゴルさんの前に立つと説明を始める。


「それではまずタクト様、テイムをするモンスターを頭に描き、本来なら呼ぶ数を念じるのですが、今回は一度契約を破棄してから、新たに騎士長のゴルディルさんと契約を結ぶと言う事なので、1匹づつ行いましょう」


「分かったよ。それでスキルの発動の言葉は何だい?」


「本来なら、契約をしたと同時にタックとフィーのように名前を呼ぶと出てくるのですが、今は敵の魔人からモンスターを乗っ取った仮契約の状態であるので、臨時処置としてワイバーン1~20までの番号をを振る事にしましょう。その前にゴルディル騎士長には、兵士の皆さんに名前を考えるように指示を出していただければ、後々の作業がスムーズに進むと思われます」


フェルムがそうアドバイスをすると、早速ゴルさんは兵士達に名前を考える様に指示を出すと、自分もまた名前を考え始めた。


名前を兵士達に考えて貰っている間にフェルムに質問をして、テイムについて纏める。


要約するとこうだ。まず、今回の件は例外中の例外であり、分かってはいたがスキルを奪うなどの前例がある筈も無いのでアイリーンに確認を取った。


すると、テイムをしていた者が、死亡または契約を破棄を行った場合は、ギルドカードに表示してあるテイムの欄に書いてある、モンスターの種類を覚え、モンスターを呼び出して再契約を1週間以内に行えば引継ぎ出来る様である。


もし仮にモンスターにつけられた名前が分からなくても、契約をした順番に呼び出す事が可能で、期限内であれば契約をし直せる事など、まるで、何かの契約書のような内容で思わず苦笑いをしてしまった。


こうした事を聞いていると、ゴルさんは名前が決まったようなので、ゴルさんからテイムをし始める。


「それでは、タクト様、1匹目をお願いします」


「分かった。今回に限り口に出して言うよ!」


そう答えると、頭にワイバーンを思い浮かべ「ワイバーン1出て来い」と口に出して言った。


すると、魔法陣が空に展開され、ワイバーンが地上へと降りてきた。


「成功ですよ。それでは、契約を解除する方法を説明します。まず、ワイバーンの体の一部に触れ、微量で宜しいので魔力を流して契約解除と詠唱して下さい。契約が解除されるとモンスターは光を帯びるので、ゴルディルさんも、ワイバーンの体の一部に触れて、先ほどの契約解除と同じ様に魔力を流しながら。契約と詠唱して下さい。最後に自分の従属にする為に[名前を与える]と言って頂き、名前を付けてやって下さい」


「……分かったやってみる」


俺とゴルさんはそう答えると、フェルムの言うとおり実行をし、契約を解除すると、間髪あけずにゴルさんは、ディールと名前を名付けた。


すると、ワイバーンは小声で鳴き、ゴルさんに懐くように頭を下げた。


「なっ・なんと。ワイバーンが可愛く見えますぞ!」


ゴルさんは嬉しそうにそう言うと「ワイバーンは、縄張りを荒らされたりすると攻撃的になりますが、本来は大人しいモンスターですからね……大事にしてやれば馬の様に扱いやすいですよ」と、フェルムは優しくアドバイスをしていた。


それを見ていた兵士達は我先にと並び、俺は休む事無くワイバーンを次々と呼び出し、兵士達は契約をしていった。


約30分後、全員の契約が終わると「お疲れ様でした。このワイバーン達は、元々人を乗せる様に鞍も付いていますし調教済みですし、今直ぐに人が乗っても大丈夫です」と、フェルムは笑顔で言った。


しかし、少し疲れたのと、ワイバーンを全て兵士に与えた為、俺がワイバーンに乗る事は無く、フェルムは、兵士達ワイバーンの操作の指導をしているのを見ている事にする。


「タクトお疲れ。それでどぅ?テイムの感想は?」


「どうもこうも無いってば。ただ呼び出しただけかな」


「そっか……そう言えばそうね。悪い事聞いちゃったわね……」


「まぁ、そう焦る必要はなかろう……タクトにはシルバーノアもあるし、なんなら、本気でドラゴンを捕まえに行くか?」


「またまた、ご冗談を。でも、そのうち気が向いたらそうしますから、その時はお願いしますよ」


「うむ。冒険をするみたいで楽しいと思うんじゃがのぅ」


言われてみれば、せっかく異世界に来たのに冒険などした事は無かった。


それもこれも、シルバーノアがあったからこそなのだか、アイリーンのその言葉に、無い筈であった冒険心が突如現れた。


『冒険か……そんな歳ではないと思っていたけど、アイリーンの言葉ひとつで、心がくすぐられたよ……』


それからも、兵士達はワイバーンの操作に四苦八苦していたが、夕方になると全員が一先ず安心して乗れる様になると、今日の訓練は終わる。


最後に陛下から言葉を貰うと。兵士達は全員こちらに向って整列をして、俺達に頭を下げた。


「タクト殿、ありがとうございました。フェルム殿の指導のお陰でなんとか、乗りこなせそうです」


ゴルさんは、満面の笑みでそう感想を言う。


その後、陛下は部隊の名前を「王国竜騎兵団」と名付けると、歴史上初めて人間による竜騎兵団が誕生したのであった。







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