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異世界魔刀士と七変化の眷属   作者: 来夢
第3章 王国の旅編
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第68話 聖女 クリステーヌ

―― 王都 教会の病院 ――


タクトが教会に隣接されるの病院に運ばれたのを見計らって、私達も病院へと続けざまに入った。すると受付で入院手続きを丁度終えたアンジェがこちらに振り向く。


「あっ、フィーナ様。私がついていながらごめんなさい。大切なタクト様が……」


アンジェは気丈に振舞おうとしていたが、最後は声にならなくなり泣き出してしまた。


「アンジェありがとう。辛かったでしょう?」


「フィーナ様、私……タクト様を守れませんでした。申し訳ありません!」


「そんなの気にしないでいいわ。アンジェは必死でがんばったんだから……こんな場所で王女が泣いていたら目立つわ。タクトの所に案内をしてくれる?」


「はい……分かりました」


アンジェにハンカチを渡し、アンジェは涙を拭うとタクトが居る部屋へと向かった。教会病院の院内の一般病棟を抜け、貴族用の病棟に入るとアンジェは立ち止まった。


「こちらの王族専用の部屋にタクト様を運ばせました」


「アンジェありがとう。王族用の部屋を用意してくれて」


「いえ。使わなければ部屋として勿体無いですから」


部屋の扉をノックして部屋に入ると、タクトはベッドに寝かされていて、両隣にはセリスとラルーラさんが心配そうな顔をしてタクト寝顔を見ていた。


「二人とも、ありがとう。遅くなってごめんね」


「フィーナ様~!」


セリスは私の事を確認すると涙を流し、ラルーラさんは安心したかのように笑みを浮かべた。


「フィーナ様。それでタクト様は助かるのですか?」


「安心して。タクトの為に神様に無理にお願いして、地球から助っ人を呼んできたわ」


「ほ・本当ですか?」


「ええ。本当よ。こちらは、地球の神様であるアイリーン様。それでこちらはタクトの親友の博士さん。見知りおいておいて」


そう紹介をするのだが、アイリーン様にアノース語のスキルをコピーするのを忘れたので苦笑いしていて、博士さんは不思議な顔をして戸惑っている。


「博士さん。今は、この世界の言葉が通じないので、後から何とかしますので、早速タクトの治療をお願いします」


「そっか。日本語が通じる訳ないよな。分かった。早速治療に当たるので、機械以外の預けた物を出してくれないか?」


「了解しました」


私は、大学病院から複製して持ってきた、作業台に道具を全て乗せ、薬品が入っているキャビネット、輸血用血液製剤、点滴スタンドなどを取り出すと、博士さんはゴム手袋を嵌め、消毒をしてから輸血を始めた。


「よし、これで大丈夫だ」


「本当にありがとうございます。助かりました」


私は、博士さんにお礼を言うと、アイリーン様にアノース語のスキルをコピーして貰い、博士さんにもスキルを付与して貰った。


「みんな、言葉が通じる様になったから、改めて紹介するわね。今タクトに治療を施したのは、タクトの親友の博士さん。みんな見知りおいておいて」


「以後お見知りおきを。ってこんなんでいいのか?日本じゃこんな風習ないから、間違っていたらごめん」


博士さんは、そう言いながら顔を赤くしていた。


「ご心配なく。合っていますよ」


「フィーナ様、それで、そちらのフィーナ様の美貌に匹敵される方はどちら様ですか?」


「こちらは、こんな所で大きな声じゃ言えないけど、地球の最高神でいらっしゃる、アイリーン様よ」


「うむ。アイリーンだ、以後宜しく頼む」


か・神様で(ラルーラさん)すか!」「しかも(セリス)、最高神様ですか?」「でもよか(アンジェ)った!」


「ん?なにが良かったのじゃ?」


「いえ、ただでさえフィーナ様が美女で敵わないと思っていたのに、更にこんな美貌の持ち主が現れたら私達じゃ太刀打ち出来ませんから……異世界で付き合っていた恋人でなくて良かったと思っただけです」


「……正直じゃな。じゃが、本当にそうなるかもしれんぞ?まぁ、このタクト次第じゃがな」


「アイリーン様、お戯れを……」


「すまん……冗談と言う事にしておこう」


私は、アイリーン様が本当にタクトの事を諦めたのか不安でしょうがない。なぜなら、この星は一夫多妻制だと博士さんに説明した時、嬉しそうに反応したからである……しかも、アンジェとセリスの存在を説明した時も、何か企んでいる顔をしていたから余計に心配であった……


それから、一人づつ挨拶を交わすと、博士さんは大きく溜息を吐く。


「あ~あ。拓人はいいよな。こんな美人美女に囲まれてさ」


そう博士さんが言うと、全員クスクスと笑う。すると、ドアがノックされる音がした。


「どうぞ」


すると、修道院のシスターが頭を下げ、どうやら治療にやってきたようだ。


「失礼します。こちらに腹部を刺されて、傷を負われた方が入院されたと伺ったのですが……」


どうやら、治癒魔法は必要が無いと伝わっていなかった様で、シスターが治療に当たりに来てくれたみたいである。


「ありがとう。でもその必要はないわ。現在治療中だから……」


「そうなんですか?この中に治癒術が使える方がお見えになると言う事何でしょうか?それに、何やら血液らしい物が見えるのですが、それは一体……?」


「ええ、治癒魔法はもう掛けたわ。こち…」


私が輸血の事を言おうとすると、博士さんが口を挟む。仕方が無いこの中で誰よりも詳しいのだから……アイリーン様に自分がいかに有用なのかをアピールしたいのであろう。


「ああ。これは血液製剤による輸血ですよ。きちんと検査してある物なので感染症など心配ありません」


シスターは、手に持っていた杖を落とし輸血スタンドに吊り下げられている血液製剤を見て驚いている。


「失礼しました。まさかこの様な方法があるなんて思いもよらなかったので……ひょっとしてあなた方は、今噂となっている神の使徒様の御一行であられますか?」


「ええ。そうよ。こちらで眠るタクトは、紛れもなく神の使徒ですよ」


「こ・これは失礼しました。申し遅れましたが、この世界で聖女をやらせて貰っている、クリステーヌと申します。以後お見知りおきを」


聖女を名乗るクリステーヌと言う少女は、そう言うと深々と頭を下げる。すると博士さんはクリスティーヌさんの手を取ると握手をする。


「私はその神様の使徒であるタクトの親友で、博士と申します。以後宜しくです!」


この張り切りようを見ると、どうやら目当てはクリスティーヌさんらしい。皆は呆れつつも冷笑している。勿論私もだ。本当にタクトと同じ日本人なんだろうか?そう思った。


「あのーすいません。照れるので、もうそろそろ手を離して頂けると助かるのですが」


聖女であるクリステーヌさんは、満更でもない様で少し顔を赤くして照れている。


「これは申し訳ない。あまりにも可愛かったので、つい手を握っちゃいました」


「そんな、可愛いだなんて、初めて言われました」


私は、これ以上付き合うと頭がおかしくなりそうだったので「ゴホン」と咳払いをする。


「申し訳ございません。王女様が直々に王族専用室に運ばれたと聞いて、急遽来る事になったんですが、こうして神の使徒様にお会い出来て光栄です!」


この後に王国では、一番高度な治癒魔法が使えれる者を聖女と認定をしていると話しをされた。まさかその聖女が直々にタクトの治療に来るとは思ってもみなかったが理由を聞いて納得をした。


「不躾だと思われるかもしれませんが、その輸血と言うのはどのような物なのでしょうか?」


クリステーヌさんが、そう質問をすると博士さんは、意味があるのか分からないが、メガネをクィと上げて「私が説明しますよ」と立ち上がる。


「難しく説明をすると長くなるので簡単に説明しますが、人間には血液型と言う物があり、失血をしても血液型が合えさえすれば、この様に血液を補充する事が出来るのです」


「そうなんですか?そのような知識を一体どこで?」


「聖女様。こちらの方は、医学が発展した異世界から来た客人なんです」


「まさか、本当に?」


「ええ。証拠をお見せしましょうか?」


私は、神力のオーラを少し解放し神々しく光る。


「まさか、あなたは、本物の神様なんですか?」


「うむ。その認識で間違いはない。最高神であるワシが保障しよう」


アイリーン様はそう言うと、同じ様に神々しく光った。


「神様が2人も降臨されて目の前にいるなんて、何と今日は素晴らしい日なのでしょうか!」


シスターは跪いて祈りだした。


「分かったならもう良い。跪くのはよすのじゃ。この事は誰にも言うなよ。パニックになるのでの」


「も・勿論です。神様の願いとあらば墓まで持っていきます」


「うむ。ちとオーバじゃが、それで良い」


「相談があるのですが、この病院に入院している人を見ては貰えないでしょうか?」


「うむ。博士どうだ。貴重な時間だが見てやってくれぬか?」


「勿論、神様の願いとあっちゃ、喜んでお引き受けしますよ。これからお世話になるかもしれませんしね」


博士さんはやる気満々であった。いいところを見せたいのかもしれない。


博士さんは、嬉しそうな顔をしながら聖女と共にこの部屋を出て、他の患者を診察に向かって部屋を出ると、全員が溜息を吐く。


「タクト様も、あれぐらい積極的で分かりやすかったらな~!」


「言いたいことは皆同じです」


やはり、どんな誘惑に負けない難攻不落のタクトと、あの積極的でがっつり系の博士さんと比べてしまう……


以前タクトの車に乗った時、カーナビなるものの説明を受けたが、恋のナビケーションが欲しい。そう思うのであった。


それから、タクトが輸血をしている間に犯人の特定をする事になる。


「セリス。タクトのスマホって今ある?」


「あっそうだ、あまりにもショック過ぎて、カバンに入れていた事を忘れていました」


セリスはそう言うと、肩に掛けていたショルダーバッグからスマホを取り出し、私に差し出した。


私は、アルバムを開くとセリスは誤操作したのか、写真では無く動画が撮られていたので、再生をしてみる。


すると、噴水からいきなり人影が現れ、タクトが刺される瞬間が映し出された。動画を見るとタクト刺されると体制を崩し、アンジェが叫ぶ。


見たくは無いが、見なくてはならない光景が、赤裸々にスマホの画面に映し出されていた。


その目を覆いたくなる光景の動画を見ていると、アンジェとセリスは思い出したかの様に、ガタガタと震えだす。


『これは一種のトラウマね。彼女達には重過ぎる……』


私はこの件が終わったら、何かしら心のケアをしないといけないと考えていると、アンジェ、セリス、ラルーラさんまでもが「この犯人を見つけて必ず敵を取ります」と怒っていた。


そう、二人が震えていたのは、恐怖ではなく怒りであった。


「フィーナ様、犯人の目星は付いているのですか?」


「ええ。この動画に写っている人相が悪い男が、商業ギルド長のワーグと話している所を見たわ。証拠はこれよ」


私は博士さんから預かったスマホの写真を3人に見せる。


「ワーグの策略だとは思っていましたが、絶対に許しません!今から王城に戻り直ちに出兵しますので、証拠写真を貸して下さい。言い逃れは絶対にさせませんから!」


アンジェはそう言うと、セリスとラルーラさんも一緒について行くと言ったので、私は少し迷ったがこの世界の事はこの世界の人達に任せるのも良いのでは無いかと思い、今回は影から応援をする事にした。


「分かったわ。タクトのスマホに写真と動画を入れておくから待ってて」


操作の仕方をリンクで熟知している私は、博士さんのスマホから証拠となる写真をタクトのスマホに転送をする。


「行くのはいいけど、絶対に無茶はしないで……誰かが怪我をしたりしたらそれこそタクトが責任を感じて悲しむかから……」


「勿論です。アルム、ローラ、シェールも連れて行くつもりですから」


ラルーラさんはそう答えると、アンジェとセリスは「勇者が一緒なら間違えないですね」と嬉しそうにしていた。


私は3人にシールドプロテクションの魔法を付与した服を着るように指示を出し、まだラルーラさんには創作していなかったので、アンジェ達と同じ服を創作してプレゼントした。


「それから、これも持って行きなさい」


タクトの命を守った、短剣村雨をセリスに貸し与えると、アンジェには子狐丸、ラルーラさんには賢者の薙刀を貸し与えた。


私はそれぞれの武器の特性を三人に説明をする。三人とも、この武器全てが神器と知らなかったらしい。三人は顔を引き攣らせ驚いていた。


「本当にこんな貴重な物を、お借りしても宜しいのですか?」


「勿論よ。あげる訳にはいかないけどね」


こうして、アンジェ達は王城へと報告をしに行き、この部屋には眠っているタクトと、アイリーン様と私だけになってしまった。


「そてにしても、本当にこのタクトと言う男はモテるのだなぁ……」


「ええ。本人はまるで自覚はないですけど……」


そう話をし始めると、「ん~」と言う聞き覚えのある声が聞こえ、ベッドの方へ目をやると、タクトが目を覚ましそうになる。



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