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異世界魔刀士と七変化の眷属   作者: 来夢
第3章 王国の旅編
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第65話 神力と封印魔法

―― タクトが刺される、6時間前 ――


私は今、アンジェとセリスがご褒美にデートをしたいと言っていたので、がんばってタクトの手伝いをしている2人にはご褒美も必要だと思ったので2人揃ってならと言う条件で許可を出した。


『タクトは、私の所有物じゃないんだけどな』


いつの間にやら、女性関係について、私の顔色を伺いながら許可を求めるので、どうしてこんな事になったんだろうと理由を思い出してみる。


『あー あれだわ……』


最初にギルドに行った時にローズさんに警戒をしてみたり、フェルムとアイラが仲が良いのを見て羨ましく思ったから、私に何も手出しをしてこない草食系男子のタクトに八つ当たりしてしまったのが原因だと確信をした。


確かに「俺のフィーナを……」っと言ってくれた事によって、少し舞い上がってしまったのは事実である。勘違いだったら恥ずかしいのだが、タクトに対する独占欲が強くなった。


正直、私の事を、面と向かって好きだと言ってくれたんじゃ無から不安はある……


『私はタクトの眷属だからな~。ぶっちゃけた話、捉え方によっては、俺のフィーナだよな~』


本当は、私の事をどう思っているのかを聞いてみたいのだが、神界育ちの私にとって、今まで恋愛対象になる男性など皆無であったので恋愛経験に疎く、思い違いや勘違いの可能性も捨てきれないので怖くて聞けない……


『意気地なしか…… 私も人の事言えないわね』


恋愛対象と言えば、この世界では一夫多妻制は貴族のみ許されている。タクトは、この世界の人間ではないし、神の使徒と言う称号まであるので許可されるであろう。


恐らくはアンジェもセリスもその事が分かっているので、その嫁枠を狙い、諦めずに積極的に猛アプローチをしているのだと思う。


惚れた贔屓目なんだろうか?見た目も男前だと思うし、頭も良く、人望も厚く、強く、何よりも優しい。


正直な話し、他の女性がタクトの事を好意的に思ってくれるのは、私の男性を見る目は確かであり、同じ男性を好きになってくれるのは嬉しい。自分を一番に思って欲しいのは確かなのだが……


それでも、2人揃ってっと言う条件を出したのは、若さ故の暴走が怖いからだ。これが、私が精一杯出来る譲歩であった。


それからもう一つ。私が彼女達に服をプレゼントしたのは、いつも世話になっているのは、タクトだけではなく、私もだからだ。


2人に選んで貰ったのは、通販カタログと呼ばれている1冊の分厚い本の中からである。


「今日は大サービスよ。この本の中から好きな服を選んでいいわ」


「フィーナ様。ありがとうございます!心の底から感謝します」


二人は話をしながら服のページを見て、その中から一番見た目が刺激的な服を選んだ。どうしようかと迷ったが、許したのは、この本の中から選んでと言ったのは私だし、色仕掛けや格好だけでタクトが落とせないのは実況済みだからであった。


「本当にこの格好でデートに行くの?目立つわよ?」


「平気ですよ!寧ろ仲がいい所を見せ付けたいんです」


セリスは少し興奮気味にそう言うのだが、いらぬ噂が立つと後々面倒なので、二人を説得して認識阻害の術式を組んだ服を渡した。


そんな事情もあり「今日は、楽しんでいらっしゃい」と、笑顔で送り出したのだ。


「タクトがいないと寂しいし、暇ね」


つい本音が口に出てしまう。ほぼ毎日24時間一緒にいるタクトが隣に居ないと落ち着かない。


きっとタクトにそんな事を言うと「極度の依存症かよ!」みたいな突込み入れられ。誤魔化すんだろうな……と思いつつ、居ないものは仕方がないので、タクトが所持している本を読み始めた。


お昼を過ぎ、タクトが用意してくれた弁当を頂くと、まだ時間があって暇であった。


再び本を読み始めるが、なんだか胸騒ぎがして集中できない……


『はぁー これから、どうやって時間をつぶそうかなぁ。あっそうだ!ついでだからラルーラさんの服でも創作しちゃおうかな』


次に買い物に行くラルーラさんの服も創作してあげようと、ラルーラさんを自室に呼び、通販カタログを一緒に見て色々見て試着などをしていると「ドン・ドン」と凄い勢いで扉が叩かれる。


「誰!」


胸騒ぎがしたの事もあってか、急いで扉を開けると、汗だくになり返り血を浴びたセリスが、息を切らせて両手で膝を押さえていた。


「ふぃ・フィーナ様!大変です!タクト様が何者かによって刺されました!」


「なんですって!」


胸騒ぎが現実となる。まさかこんな展開になるなんて思いもしなかった。


ソファーに腰掛けていたラルーラさんも、机を「バン」と叩き立ち上がると、ただでさえ白い顔が、見る見るうちに蒼白になっていき「へっ!えっ!何?冗談よね?」と言って、おろおろとしている。


「ラルーラさん落ち着いて!それで、タクトは?タクトは今どんな状態なの!?」


セリスは息を整える為、大きく深呼吸して状況を詳細に説明をしてくれ、血が付いた財布を私に差し出した。


「タクト様から、これを預かりました」


『タクトの事だから何か意図があるわね。それにタクトの眷属である私が、神界に強制送還されてないと言う事はまだ生きている……』


「確かに受け取ったわ。私は輸血を何とかしないと駄目だから、セリスとラルーラさんは、急いでタクトの元へ向かって教会の病院に運んで頂戴」


「分かりました!急いで向かいます!」


セリスは、返り血を浴びていたので、クリーンの魔法を掛けて綺麗にしてあげると、息も整ったようなのでラルーラさんと一緒にタクトを任せた。


本当は転移魔法の存在がバレたとしても、私が真っ先に駆けつけたい……


けれど、タクトが輸血が必要と判断した以上、優先事項は輸血である。最近、病院関係のテレビを見ていたお陰で輸血の意味が理解できたので、見ておいて良かったと胸を撫で下ろす。


『神様には止められているけど、まだ生きているなら時間停止の神力を使おう………神様に処罰されるより、タクトが死んでしまう方よっぽど辛い……』


神力とは簡単に言えば、魔力の上位互換である。神や神様から認定された者だけに与えられた力であり、この力があれば封印魔法を使う事が出来る。


ちなみに、神の使徒はスキルとして限定的に与えられる場合がある。


封印魔法には色々種類があり、空間魔法、転移魔法、時空魔法、複製魔法、創造魔法などがあり、これらの魔法を悪用すれば、世界の理を崩し、世界を破滅に導く事の出来る危険な魔法だ。


だからこそ、歴代の神様達はこれらの魔法を封印し、もし何らかの形で魔法陣が解析されたとしても、魔力では発動せず、神力でしか発動できない様になっている。


一部例外もあり、例えば、アイテムボックスやギルドカードの発行をする水晶等に関しては、一部の機能を解禁して使用を認めていると聞いている。


タクトはこの封印された魔法の中で、神威、創造魔法の一部である創作魔法と魔法創造などを、神様からスキルとして分け与えられているのだが、これは自動的にタクトが神力を解放し使っているからである。


真実を述べるなら、創造魔法を連続で使っても魔力は減る訳ではなく、魔法の消費量が100/1程度である神力を使っているので、今までタクトが多少無茶をしても、魔力切れで気絶すると言う事は起こらなかった。


神力を必要とする封印魔法は、スキルボードの表示はバクで見えなく細工をしてあるし、言わなければユニークスキルと言う事で誤魔化しきれるだろう。


ちなみにスキルとして開放された物は、私の任意で表示が出来るようにしてある。


タクトには、この事は秘密にしてある。理由は神になる候補だと伝えてはなく、もし伝えれば、覚悟が足らなく挫折しまう恐れがあった為だ。


そんな理由や経緯があり、私は処罰を受け入れる覚悟で、時間停止魔法を神力を使い唱えると、世界はモノトーンに変わり、全ての動きが停止して静寂の世界へと変化した。


「これでよしっと。24時間は効果があるから、まずはタクトのいる場所に転移をしなくちゃ」


私は、セリスに聞いた場所へと転移をして、タクトの様子を見てから判断しようと考えた。


魔法陣を展開させ、タクトのいる場所へと転移すると、人に囲まれた場所があったので、人々を飛び越えタクトのいる場所へと辿り着く。


すると、アンジェに抱きかかえられ、ぐったりとしているタクトが目に入ると、自然と涙がポロポロと溢れてくる。こんな感情があったのだと始めて知った。


タクトが刺されていた場所にはモノトーンだが、明らかにタクトの血だと分かる、血溜りが出来ていて、出血の多さが事の深刻さを物語っていた。


「タクト……痛かったでしょう……絶対に死なせないから待ってて……」


私は、タクトだけを時間停止の魔法を解き、頭に手を置きタクトが刺される前後に何を考えていたか探る。


ちなみに、このリンクと言う魔法も神力を使うことで行使される魔法であるのだが、心まで読める訳ではない。


『タクトが私の事どう思っているのかを、知りたいのだけどな……』


そんな事を思いながら、リンクの接続を切る。


「タクト。あなたの考えは分かったわ。駄目かもしれないけど、精一杯やってみる!」


私は卑怯かもしれないが、タクトの唇に軽くキスをして英気を養う。


「今のは意識が無いからノーカンね!」


聞こえている筈もないタクトにそう言うと、タクトにもう一度時間停止の魔法を掛け、今度は神界に転移した。



―― アノースの神界 ――


「お~。今しがた見ておったぞ!そなたが無事と言う事は、まだタクトは事切れていない様子じゃな」


「申し訳ないです。私が付いていながらこんな事になってしまって……」


『キスしたの見られちゃったかなー?だとしたら、物凄く恥ずかしい……』


私は、頭を下げつつ、バレていない事を祈る。


「うむ。仕方がないじゃろうあの状況では……それに心配しなくても誰にも言いやせんよ……」


『やっぱりバレてますよね……恥ずかしい……』


「あっ、その、ありがとうございます。それよりも禁止さてている、時間停止魔法を使ってしました。罰は覚悟の上です……ですから……タクトを助けるまでは見逃して下さい」


少し挙動不審になってしまったが覚悟は出来ている。


私利私欲の為に時間停止魔法を使ったから、最悪の場合は神界に戻されるかもしれなかった……それでも死なせたくない。


「うむ……今回は事が事じゃ……もしワシが同じ立場なら、そなたと同じ事をしていたであろう。そう言う事だから今回に限り時間停止魔法の事は大目にみよう。それにしても何か策はあるのか?流石に魂の器を変えるにしても魂が持つまい」


神様の言うとおり、そんなに簡単に魂の器である体を交換するのは無理がある。三度目となると記憶障害を引き起こしたり、場合によっては魂が拒絶反応をして、その場で魂が消滅する恐れがあった。


私は、神様にタクトとリンクを繋げた結果、地球の医学力さえあれば、タクトを失わずに済むと説明をした。


「そうじゃのう……地球の神が何と言うかわからないが、それしか方法が無いと言うなら、その様に行動するしかあるまい」


「はい。地球の神様に何と言われても、私はタクトを必ず助けます」


「そなたの覚悟は分かった。ワシも一緒に付いて行き頼むとするか……」


「お忙しいのに、無理を言ってすみません」


「謝らんで良い。タクトは神になれる器じゃ。アイリーン殿にも次期神様候補と言えば無碍には扱わないだろうて」


「そう願うばかりです」


こうして、私は神様と一緒に地球の神様がいる神界へと転移をした。




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