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異世界魔刀士と七変化の眷属   作者: 来夢
第3章 王国の旅編
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第61話 大広間での説明会

―― 王城 客室 ――


商業ギルド長であるワーグの件が物別れで終わると、定刻になったので大広間へと向かった。


大広間に到着すると全員が静かに椅子に着席していたので不思議に思う。なぜだろう?と最前列を見てみると陛下が腰掛けていたのでなるほどと思った。陛下はこちらを見て手を振った。


手を振り返す訳にはいかないので顔で返しておいた。


「皆さん、おはようございます。それでは昨日に引き続き、今から列車の概要などを説明したいと思います。まず最初に各領地のミスリル鉱山にプラットホーム、列車、レールを1km程度ですが私が責任をもって作ります」


この後、地図を広げ、プラットホームから町に向かい、最終的にはインレスティア王国の主要都市を全部繋げるプランを説明をした。


「何か質問はありますか?ありましたら挙手をお願いします」


すると、デニス公爵領の騎爵である、アラン騎爵が手を挙げたので「それでは質問をどうぞ」と言うとアラン騎爵は立ち上がった。


「大陸全土となると人員が不足すると予想されます。なにか策はあるのでしょうか?」


そう質問があったので、領主会議とその後の話し合いで決まった事を伝える。


「分かりました。それでは、今の質問にあった人員について説明をします。まず軽作業についてですが、貧困層から集めたいと考えています。理由といたしましては、彼らは体が不自由ではありますが、魔力はまだ健在なので、少しぐらい体が不自由であっても移動さえなんとかなれば、問題なく働けると判断したからです」


「いくら魔力があるとは言え、わざわざ、貧困層の村の者を使う理由があるのでしょうか?」


「お答えします。これはケースバイケースですが、こうする事によって彼らもまた働く事が出来るようになるでしょう。自立が出来れば貧困層の村から抜け出せれるのではないでしょうか」


「なるほど。納得しました。では工事が終わり仕事が無くなったら彼らはどうなるのですか?」


「もし工事が終わったとしても、同じ様に職業を与え続ければそれが自信となります。それならば自暴自棄にならずに、盗賊に落ちたり離婚を未然に防ぐ事も出来るでしょう」


「なるほど、それなら子供の未来も守れると言うのだな」


「はい。今は家族の為に働いている子供はいずれは大人となり自然と親の面倒を見るでしょう。理想論と言われればそれまでですが、この提案が全て上手くは思っていませんが少しでも成功をすれは、王国にとっていずれ大きな国益になるでしょう」


ロンメルさんは笑みを浮かべる。宰相の仕事の悩みの一つの解決になるのであろう。


それから、王国内の問題であった元冒険者の救済策について説明をして、実際に貧困層の村へと向かい現状を把握した上で、こう結論を出したと説明をした。


話の説明が終わると、その直後にロンメルさんが拍手をする。すると、同調したように参加者全員が拍手でこの提案に賛成をしてくれた。


「ご賛同いただいてありがとうございます。それでは、次はレールの製造方法とレールを敷く作業についてです」


レールの製造方法は、鉱山の麓に工場を建設して、鍛冶職人には製造方法を教えるので、鍛冶職人が中心となり元冒険者を作業者として使うと説明をした。


レールを敷く作業者も同様で、鍛冶職人や作業者が毎回鉱山に出向くのは時間の無駄であるため、無料の宿舎を建設して仮住まいをして貰う。これは全作業者に対応する事に決まった。


ちなみに、昨日見せたプラットホーム、列車などは、本格的に運用が始まるまで、俺が全て創作をすると提案をした。技術の譲渡はそれから徐々に移行していくつもりだ。


すると、それでは、俺がただ働きになる上に何のメリットも無いと言う話になり要らないと断ったのだが、プラットホーム、列車の権利、仮住まいなどの材料費や諸経費なども含め、今後王国から列車の利用料の数パーセントを毎月支払うと言う事で半ば強引に決まる。


次に説明したのはレールを敷く基礎工事についてだ。


昨日ライズさんと話した結果、作業者は魔力に自信のある冒険者をギルドで募集をする。


「作業中の安全の管理、モンスターや盗賊から守ったりする役目は騎士や兵士達が国内から派兵されます」


「この話はワシが許可を出した。職人達が安心して作業を行えるようにな」


陛下がそう言うと、職人達は椅子から立ち上がって陛下に頭を下げた。


「次は、工事従事者の賃金について議論して行こうと思います」


論議が始まると、冒険者によって魔力量が異なるため、メートル単位で支払う事にしようとしたのだが、そんな事をすれば1メートル100円でも、フェルムは1日も掛からずに10Kmも作ったので、メートル換算で支払いをする考えは頓挫した。


ベーシック・インカムの導入も考えたが、それでは納得出来ない作業者も多いであろう。


こうして論議をして最後に決まったのは、面接方式で実際に魔力量を現場で計測しランク付けを行い、最大で月/大金貨1枚、日本円に換算すると100万円を支払う事で合意した。


最初は領主達は払い過ぎだと反対をする者もいたが、実際日本で掛かる金額を考えると、あり得ないほど安い金額なので、余計なお世話かもしれないがこの金額で押し切った。


「最後になりますが、他の地域の開発についてです。まず北の領地からこのプロジェクトを始めれば、これから私共は皆さんの地域同様に周りますので、他地域の領主様達に、実作業をお見せ出来るので、こう言った説明などの手間が省ける様になります」


「なるほど、これは、気を引き締めなければいけませんな」


「そうですね。皆さんは見本となられますので、がんばっていただくしかありません」


そう言うと、職人全員が「はい!」と返事をした。


それから、最後の確認に入る。


「では、以上の話から、話しあった結果を申し上げます。素材の積み込みなどの重労働と警護は兵士、軽作業、レールの製造の補助は貧困層から元冒険者、レールなどの資材の加工の責任者は、ここにお見えになる鍛冶職人の皆様、レールを基礎を作るのは、魔力に自身のある冒険者をギルド経由で募集すると言う事にしたいと思います」


この後も、運用方法、橋の製造方法など多岐に渡り質問と回答を繰り返し、なんとか説明が終わると、それぞれが納得したようだったので、列車の件の説明は終了となり、時間を見ると始まって早くも2時間経っていたので昼食の時間とする事となった。


食事の間に通され、食事が用意され始めると、陛下がやって来て上座に腰掛ける。


「タクト殿。実に見事であったぞ!ワシの片腕として側近になって貰いたいと思ったよ!」


「お父様!タクト様はラッフェル島で国を創るのですよ!そう言う訳には参りませんよ」


「ははは、冗談だよ。それより商業ギルドが来ると言っていたが見当たらなかったな」


「その件に関しては、申し訳ありません。私が怒らせたので帰られてしまいました」


俺は、事の顛末を陛下に報告をすると逆に謝罪された。


「あやつは、飛空挺にも興味があつたようであったな……良からぬ噂もある気をつけられよ」


「はい……重々承知しております」


「うむ。まぁタクト殿は勇者に勝つくらいだ。生半可な戦力では太刀打ち出来まい。それじゃ食事が冷める頂くとしようか」


「心遣い感謝します」


こうして、食事を摂りながら談笑をして、休憩時間が終わると午後からの説明会が始まった。


「それでは皆様、これから各領地で作って貰う物の説明をしたいと思います」


俺は、仲間たちに頼み、パーテーションを方付けていくと、製品を知らない職人達から「おー!」などのどよめきが大広間に響き渡る。


時間の関係で、今日の朝作った資料は、作る物に対して各領地に10部づつ作成したので、仲間達に配って貰い、各職人達はそれを見て印刷技術に感動していた。


少し大広間はざわついたが、俺が「ゴホン!」と咳払いを一つすると、一瞬で大広間は静まりかえる。


「それでは、まずもう既に生産を開始している、ザバル男爵領の生産物から説明をします」


そう言うとザバル男爵領のブースへと歩いて行き、製品の使用用途や目的の説明をして、それから分解された各パーツの詳しく説明をしていくと、職人達は追記するような所はメモを取り、話を真剣に聞いていた。


そして、全ての製品の説明が終わると、今度は製造工程の流れを、用意していたパネルを使用し説明をしていく。


主な内容はこうだ。


1、組立てに必要な工具や補材は、既にクロードの町で生産していて、各領地ごとにそれらを購入してもらうと言うこと。


2、将来的には、北の領地の中心である、昨日行ったミスリル鉱山近くの貧困層の村を、工業都市に作り変えると言うこと。


3.これら俺が創作した製品は、各領主が臨時で倉庫を用意して貰い、それを俺が、生産工場として改修工事を行った後に必要な設備を整え、生産方法を教えた後は各職人がその工場で責任を持って、生産を開始すると言うこと。


4.工場を建てたり増築する場合は、詳細なプランを用意すれば、各領地から補助金や無利子で貸し付けなどの制度を設けること。


5.製造方法は、直接俺が各領地に赴き直接指導をし、製品についてや個別の質問は、その時に行うと言うこと。


6.今後、各国や各領地に赴くので、その時は見学や研修生を必ず受け入れること。


7.今後、俺が教えた製品を生産する場合は、製造開始から約半年は税金+権利料は取らないこと。


8.製品は適正価格で売る事とし、適正価格は職人とギルドで話し合い決めること。


9、各領地でこれら製品が作られた後は、最終的に列車で各地の倉庫に運搬され、ここから小売店に運搬されると言うことなどを、次々と用意したボードと黒板を用いて説明をした。


こうして、全ての説明を終えると、後は取り扱いが難しいガラス以外は、自由に手にとって確かめても良いという許可を出すと、職人達は自分の領地のブースへと群がり、一人一人手にとって感触を確かめていた。


こうして、今日の予定をこなすと、最後に印刷についてサプライズすることにする。


「それでは皆さん。最後になりますが手元の資料を見比べて下さい。この資料は印刷と呼ばれる技術で作られています。どう言う風に作られているかと申しますと、金属の文字を並べインクを付けて紙に転写させると言う単純な構造となっています。それでは実際にやってみましょう」


ロンメルさんから、実際にある貴族門の入門許可書を貸してもらっていたので、それを金属の活字を並べ印刷してみる事にした。


アイテムボックスから、金属の活字ブロック、活字ブロックを嵌め込む土台、レタープレス、インクを塗るローラーなどを取り出すとテーブルの上に並べた。


今後使うであろう、ロンメルさんに、実際に土台に活字ブロックを並べてもらっていると、鍛冶職人達は金属の文字の精巧さに驚いているのが分かる。


今後は俺の作ったこの活字ブロックの金型を作成すれば、いくらでも複製出来るので、1年もあれば各地に印刷技術が広がるであろうと予想される。


こんな事を考えていると、ロンメルさんは文字を並び終えたので、それを印刷してみると、見事に貴族門の入門許可書が出来た。


「おー。これは素晴らしい。これがあればかなり仕事が効率化出来るぞ!」


ロンメルさんは、興奮してそう言うと職人達も印刷をやってみたいと言うので、やらせてみることにした。


「凄い、見たこと無いくらい、綺麗な文字ですね」


「本当に見やすい。これが実際に出回れば、本など簡単に出来そうですね」


こうして、皆が印刷を体験し終わると、次はサインの変わりに印鑑を説明することにする。


印鑑も活字印刷と変わらない技術だが、偽者の流通を防ぐ為、シリアルナンバーの刻印と、インクの色を朱色にしたスタンプ台、国印や紋章の印鑑を創作した物を渡す。


「タクト殿これは一体?」


「これは、印鑑と言ってサインの横にこんな感じで押印します」


「ほぅ。これは便利であるな」


「はい。しかしながら、印刷技術が広まれば、許可書やサインを偽造される可能性は否定出来ないので、この様にシリアルナンバーも押印し、許可書などの発行枚数なども出来るので、執務が捗ると思われます」


「気に入った!タクト殿、感謝するぞ!」


こうして、印刷技術については、各領地の生産が落ち着くまで、王都を中心に広げ始めると説明をすると、陛下を含め、全員が納得をしてようやく説明会が終わるのであった。


説明会を終えると、今後の印刷技術の話し合いをしなければならないのだが、各領地に職人達を送り届けないといけないので、後日準備が出来次第連絡をすると伝えて、他領地の者を乗せて送り届ける事となった。


「それでは、タクト殿、皆の者を頼んだぞ!」


「お任せ下さい。国王陛下」


全員がシルバーノアに搭乗したのを確認すると、シルバーノアは飛び立ち各領地へと向かう。


各領地に向かう間に、領主達と集まり今後の日程を話し合った。


議題は、ミスリル鉱山にプラットホーム、列車、レール、工場をいつ頃建てに行くかであった。


まず、ザバル領のクロードの町は、既にそれらが完成をしているので、そのまま継続して貧困層の村まで繋ぎ、貧困層の村に既に工場を作ってきたので、そちらを利用してもらうことにした。


次に着工出来そうなのは、デニス公爵領であった。


デニスの町の付近の山に、ミスリル鉱山がいくつもあると言う事で決定をしたのである。


こうして話あった結果、デニス公爵の次はシュミット男爵領、最後はロイス子爵領の順番となり各領地、製品の製造を含め、1週間ごとに移動する事に決まったのであった。


各領地に全員を送ると、大袈裟に感謝をされながらも別れを済ませ、最後にクロードの町に着くと、今夜はザバル男爵の屋敷にシルバーノアを停泊させてもらう事になった。


『今日の夕食は、久しぶりにバーベキューにしようかな……』


そんな事を思いながら、外を見てみると、クロードの町は生憎と雨が降っていた。


雲の上まで上昇すればバーベキューは可能ではあるのだが、今日は諦めて、重曹で肉を柔らかくしたステーキとコーン・ポタージュスープを作る事にした。


食事を終えると、いつもの様に自室で考え事をしながら寛いでいると、アンジェ、セリス、ラルーラさんがやってきて、次王都に戻ったら約束をしていたデートをしたいと希望をする。


この先、1週間ごとに各領地を移動しながら色々やらなくてはいけない事が山積みである。このタイミングでしかデートできるチャンスはない。


「分かった。それじゃ王都に戻ったらデートするか!」


そう言うと、四人は大喜びである。何時もながら『本当に俺なんかでいいのであろうか?』と、疑問に思う。


明日は貧困層の村の工場に赴き、レールの作り方を教えに行かないといけないので、今夜も皆より早く就寝をするのであった。









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