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異世界魔刀士と七変化の眷属   作者: 来夢
第1章 旅立ちの準備編
6/203

第6話 屋敷

話が長くなって申し訳ございません。

―――― バベルの塔・居住区・屋敷前 ――――


屋敷の玄関前に着くと、屋敷に入る木製の大きな扉を開け、屋敷の中に入った。


「全館点灯」


フィーナがそう唱える?と屋敷の中のシャンデリアが光る。


「うっ!」


っと思わず光が眩しく感じて、うめき声みたいなものがでてしまった。


屋敷の玄関ホールは広く、新築みたいになっていて、床を見るとクリーム色のカーペットが敷かれており、ホールは吹き抜けになっている。


屋敷の外観から推測ではあるが、天井の高さと左右に設けられている、2つの階段の長さを見る限りでは、屋敷は2階建てになっているようで、階段にはエンジ色のカーペットが敷かれていた。


「タクト、取りあえず、そこのグレーのマットまで移動して数秒間立って」


驚き呆けていた俺は、フィーナの言葉に動揺しながらも頷き、意味も分からずに、グレーのマットまで足を進め、マットの中心で立ち止まる。


すると、マットから魔法陣が現れ、薄い水色の光に身体が包まれると、なんだか、風呂上りのようにすっきりした。


「な・なにが起こった?」


フィーナは、反応を楽しんでいるのか、嬉しそうにしている。


「これは生活魔法のひとつである、クリーンと言う魔法よ。人間や獣人などの体温である30度~40度の部分を水系の魔法で綺麗にしてくれるのよ。服も靴も綺麗になっているわ。屋敷に圧倒されていたみたいだから、これで少しは落ちついたかな?」


「気を使ってくれてありがとう。少し落ちついたよ。それにしても、今更ながら魔法って便利だな」


「使い方次第ではね」


そう、少し意味ありげに、フィーナはそう答えると、俺の肩から腰を上げ、立ち上がると、羽を俺の顔に当たらない程度広げ、ゆっくりと飛んで行き階段の手摺に降りた。


「今更質問なんだけど、羽で飛んでるんじゃないんだ」


「そうね。簡単に説明するなら、魔法で浮力と速度を、羽で方向とバランスって感じかな」


「そっか。納得したよ」


音を吸収する素材が、カーペットしかないのであろうか、少し距離が離れたので声量をを上げると、声が浴室の様に響いている。


「それじゃ、今から屋敷を案内しようと思うけど、玄関ホールについて何か質問ある?」


少し落ちついたので、改めて玄関ホールを見渡すと「屋敷の中は、広いけど何も無くて殺風景だね……」と、思わず本音が出てしまった。


「ふふふ……それは、この塔を創作した神様が、この屋敷だけではなくて、この塔全体を、タクトが思うがままに、建物や物を創作したり出来るようにしてあるのよ」


「そうなの?……買ったりしちゃ駄目なんだ?全て創作しろと……」


「それはそうじゃない?神様も私も、タクトのいた世界の物に興味があるわけだし……ぶっちゃけた話、この世界にあるものには、まったくって言っていいほど興味はないわ」


『そこまで言い切るかよ』


と、心の中で思いつつ、なんとなく、頭に色々な物をイメージしてみるが、アニメや漫画の屋敷にある物しかイメージ出来ず、自分の無知加減を嘆いた……


「色々イメージしてみたけど、今は何も思い浮かばないや……それにセンスが問われるし……これは責任重大だよ……」


「ふふふ……期待してるわね。それじゃまず1階を案内するわ」


フィーナはそう言うと、先程と同様に羽を広げ、こちらに向かって飛んでくると、俺の肩に降り再びちょこんと座る。


「まず右の部屋から説明するから、あそこに見える扉に進んでほしいかな」


「了解だよ」


フィーナが指を差す方向に進み、指示どおり右の部屋の扉の前までくると、ドアノブをひねり、部屋の中へと入った。


「まずここがリビングよ。無いと生活に困るから、ソファーとテーブルは取り敢えず用意したわ」


リビングは広さが15坪ほどあり、何もないので余計に広く感じた。


壁や天井は白色に統一されていて、とても清潔感があり、部屋の中央にはシンプルだが、とても座りごこちの良さそうな、ベージュのソファーと、ダークブラウンの木のテーブルが用意されていたので、わざわざ作るのではなく、これでいいんじゃないかと思ったので、軽い気持ちで聞いてみる。


「せっかく、フィーナがソファーとテーブル用意してくれたんだからさ、ソファーとテーブルは創作しなくてもいいじゃないのかな?」


「さっきも言ったけど、絶対にダメよ!私はタクトの創作する物に興味があるの!」


「分かったよ。ごねんよ」


俺はガクリと肩を落とし、諦めて作る方向で、考える事にしたのであった。


「それじゃ、次の部屋に行きましょ」


肩に乗ったまま、次に繋がる部屋へと指を差し、次の部屋に入ると、そこには、食事をする場所があり、長いテーブルが縦一列に並べられていて、真っ白なテーブルクロスが敷かれていた。


椅子は頭まであるハイタイプになっていて、ベージュとダークブラウンの色をした椅子が、20脚ほど綺麗に並べられていて、どう考えても、王族や貴族が豪華な食事を楽しむ場所であって、俺とフィーナ2人だけでは広すぎる。


『俺の手料理を、こんな広く豪華な場所で2人っきりで食事って……なんの罰ゲームなんだ……』


困惑している顔をしていたのか「しばらくは、2人きりだし、ここは広すぎるからリビングで食事って事でいいわよ」とフィーナが助け舟を出してくれた。


その言葉を聞いて安堵し「そうしてくれた方が、落ち着いて食事が出来そうだから助かるよ」と答えると、フィーナは微笑みを浮かべ、次の部屋へと案内しようとした。


「あの……次の部屋に行く前に、少しお腹が空いたから軽く食事にしない?厨房にも興味があるし」


「そっか、それじゃ厨房を案内するわね」


こうして、次の部屋を案内する前に厨房へと案内をしてくれる運びとなり、使用人用?の扉から食堂を出て、通路から厨房の扉を開けて入ると、そこは、食堂の大きさに合わせた広さとなっていた。


長い一人暮らしとアルバイトで厨房に入っていたので、異世界の調理器具がどんな物なのか、一通り見たくなったので、調理器具の傍に行くと、フィーナは、簡単に使い方の説明をしてくれると言う事だったので、説明をしてもらうという流れになった。


「これは魔力を使って調理をする魔道具で、このアノースでは魔道コンロと呼ばれているわ」


どうやら、魔道コンロには、火の魔石が埋め込まれていて、魔力を流し調整する事で火力を調整出来るらみたいであった。


「それで、ここを開けると保冷庫になってるわ」


フィーナが指を差した、その方向を見てみると、壁にビルトインされた扉が、横に3箇所並べられていて、保冷庫を3箇所同時に開くと、保冷庫の中はそんなに都合よく何も食料が入っておらず、上部を見ると氷の魔石がセットされていて、一定の温度に保たれていると説明された。


保冷庫の説明が終わると、機能はまったく問題ないのだが、さっき軽く食事と言ったのだが、今から、どうやって食事にありつくのか、困ってしまった。


あとは、食器棚を見てみると、陶器で作られた、お皿やカップはあるものの、ガラスはこの世界にはないのか、透明な容器などは一切ない。


「フィーナごめん。さっき軽く食事といったけど、食材って言うか……オーク戦でアイテムとして出た肉しか、食材がないんだ」


食材どころか、調味料や、その他の調理器具も一切ない事を確認したので、不安になったので聞いてみる。


「そう言えば、何もないわね……あっ!思いだした。神様からのサプライズがあるんだった。そこに行けばなんとかなるかも!一緒に行って確認してよ」


フィーナは再び、俺の肩に座り、指の差す方へ進むと、通路の奥に向かって歩き出した。


「タクトの驚く顔が、目に浮かぶわ」


フィーナは、俺の顔をじっと見て「ふふふ……」と笑い、不適に笑っている。


『何があるんだろう』と、少しの不安と期待を胸に秘め、通路の突き当たりに部屋の扉が見えると、


「さぁ!驚くといいわ!」と言うので、ドキドキしながらも少しドアを開け、恐る恐る覗くように見てみると、フィーナの言うとおり、驚愕をする。


「――――!これは……住んでたアパートの部屋、その物じゃないか!」


『まさか、異世界に俺の持ち物全部あるとは、なんだか凄い嬉しいんですけど!でも部屋丸ごとって……』


フィーナは、勉強机に飛んで行くと、机の端に座って足を組み説明をし始めた。


「この部屋にある物は、神様が、地球の神様に頼んで、転移して貰ったタクトの物よ。現在日本にある物は、ここにある物を複製した物を置いてきたと言っていたから、向こうの世界の事は大丈夫だと思うわ。まぁ、神様だしね……過去の歴史を変えるとかは無理だけど、大抵の事は出来るわよ」


「今思ったんだけど、俺の遺体はどうなったんだ?物は勿論だけど、そっちの方が気になるよ……」


「そうね、神様がタクトの肉体はそのままにして、魂だけを転移させたのよ。だから、ぶっちゃけた話、タクトの今の体は、ここにある物とは逆で複製に近いかな。もっと詳しく言うと、人間としてのパフォーマンスが一番高い、18歳の状態にまで戻し、復元したみたいな感じかな?」


「ま…マジか……どおりで若返ったと思った訳だ……流石神様なんでもありだな……」


「そうね。自重とかって言葉があること自体、忘れているのかもね」


それから、自分の持ち物を、一品一品確認をし、この世界で役立ちそうな物を仕分けしながら、私物を確認していると、仕事で使っていた道具や、教科書や雑誌など、本類が一杯あって、ほっとした。


ふと持ち物を見ると、液晶の時計が目に入る。


転移したことに頭が一杯になっていて、腕に嵌めている時計の事すら忘れていた。


『そう言えば、転移して色々ありすぎて、この世界の時間の流れとか、色々聞いてない事あるから聞いてみよう』


「ひとつ聞くけど、アノースの時間の単位って、どんな感じ?」


俺は腕時計の、設定ボタンを押し時刻を合わせる準備をする。


「こっちの世界では、一年は365日で24時間だから、タクトのいた地球と同じよ。時間は私のスキルボードで確認出来るから、ちょっと待って」


フィーナは、スキルボードを確認すると、現在は7/4で 時刻は21時42分みたいだ。


「腕時計とスマホの時計も合わせるから、待って……」


『日にちは、地球で俺が落ちた日が4/2でここは7/4 地球と時差は、4時間くらいか』


俺は、○-ショックとスマホの日付と時間を修正した。


「ありがとう、出来たよ」


「いいえっていうか、その時計便利ね!」


「いや、スキルボードの方が便利じゃない?そんなに欲しかったら、まだ3個あるから、ひとつあげるよ」


少しの間だが、マイブームで○-ショックを集める事に、はまっていた時期があり、新品が箱ごとしまってある事を思い出したので、その中からひとつフィーナにあげる事にした。


「やった!いちいち時間確認するのに、魔法使っていたら効率悪じゃない。すんごく嬉しいわ!」


あまりにも、フィーナが嬉しそうにしているので、妖精のままでは、大き過ぎる事は、今は伝えないでおいた……


余談ではあるが、人間化しているフィーナに、時計をプレゼントすると、大喜びであったのは言うまでもない。



※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※



こんな感じで、少し高揚感?も落ち着いたので、色々考えていると「キュー」とお腹が鳴る音がしたので、


「お腹の虫が騒いでいるんだけど、フィーナはどう?」


「一応、私も頂くわ……」


「それじゃ、時間もないし、カップラーメンがあったから作るよ」


「へー、それって地球の食べ物?食べた事ないから、楽しみだわ!」


そもそも妖精が何を食べ、お腹が空くのかという疑問もあったが、アイテムボックスに直ぐに使いそうな物を収納して、厨房へと向う。


厨房に到着をすると、まず流し台に行く。当然蛇口はあるが、水を出すコックやハンドルが無いのに気がつくと「水はどうやって出すの?」と質問をした。


「そういえば、言ってなかったわね。この魔石のプレートに魔力を流してみて」


「そもそも、魔力の流し方知らないんですけど……」


「そうだったっけ?説明しなかった?じゃ教えるね。まず目を閉じて、胸の辺りに魔力があるから感じてみて」


目を閉じ、胸の辺りに意識を向けると、なにか暖かいものが感じられた。


「なんか暖かい感じがするけど、この感じでいいの?」


「そうね。そしたら、その暖かい感じのを、手に誘導してみて」


目を開け、手に誘導すると、魔石が発光し蛇口からすごい勢いで水が出た。


「ちょっと……魔力を流し過ぎよ!明日から、魔力制御の練習をしなくちゃね」


「そっか、あの暖かい感じのが魔力なんだ……」


今日の所は諦めて、フィーナに水を出して貰うと、水は丁度いい水流で出ていて、やかんに水が溜まっていく。


「なるほど……いきなりじゃなくて、やんわり魔力を上げて行く感じなんだー。慣れるとタッチレスみたいで便利だな……」


そう感心をしていると「早く出来るといいわね」と答えてくれた。


「そうだね。がんばるよ!ところでお湯は出ないの?」


「今のところは無理ね……水の魔石と火の魔石は、別々の魔石だから2つ同時に魔力制御が難しいのよ……」


『なんだか、便利な様で、デメリットもあるんだな魔石って』


今の自分には、どうする事も出来ないので、お湯はフィーナにお願いする事にして、他の準備をすることにする。


「そっか じゃ魔道コンロでいいのかな?魔力制御まだ出来ないから宜しくね」


「お安い御用よ」


フィーナは妖精の姿なので、ステンレス製のやかんを蛇口にセットし、水が溜まると、魔道コンロの上に乗せお湯を沸かした。


「ピー」と蒸気が出る音が鳴ると、フィーナは、一瞬何が起こったのか理解が出来ずに、戸惑っていたが、原理を説明をすると「なるほど……」と腕を組み、うんうんと頷いていた。


カップ麺に、お湯をそそぎ、2人分のフォークと水を用意し3分待つ……


「妖精のままでは、食べ難いそうだから、人間化した方がいいんじゃないの?」


流石に妖精のままでは、コスパはいいだろうが、食べるのが困難ぽいので、そう促すと、


「そうね……それじゃ変身するわ!――――変身!」


と、先ほどと同じポージングで、そう唱えると、魔法陣の中から再び美女が現れ、そして俺は再び固まった。


「どうしたの、顔赤いよ?暑いの?」


顔が赤いのか、状況を打破する為に目線を逸らすと、フィーナは、顔を覗き込みにきて、意地悪ではないんであろうが、俺に試練を与える。


「と…とりあえず、食べましょうか?」


「―――――!ちょっと!なんで口調が変わるわけ?」


「すいません。 まだ馴れていないもので」


と言って、相変わらずの美女姿のフィーナに、緊張しながらもなんとか、答えを返した。


「こんな調子だと、この先思いやられるから、罰として緊急時以外は、この島では人化した状態でいる事にするわ。それに屋敷は、人間用のサイズばかりだから不便だしね。いいわね!」


「……はい分かりました……」


フィーナはそう呆れたように言うと、断る理由も見つからないので、受け入れるしかなかった。


「素直でよろしい。まぁいいわ食べましょ」


『緊張していて、3分計るのを忘れていたよ……』


フィーナは、カップ麺を食べるのは初めてなので、蓋を開けてあげ作ってあげていると、興味深そうにその光景を見ていて、出来上がると、なぜか分からないが匂いをかいでいた。


フィーナにフォークを渡すと「いただきます」と言って、一口食べて見本を見せた。


「いただきますって、どういう意味?興味あるんですけど……」


「えーと、この世の中は、食物連鎖によって成り立っている事は分かる?」


「うん。なんとなく分かる」


「俺達が生きる為に、大地の恵みや動物達の命をいただいてる事に、感謝する意味で、いただきますって言うんだ」


「そんな風に食事の事、考えるなんてなんだか素敵な考えね!じゃ、私もこれからは言うね」


フィーナは、理由を理解したのか、「いただきます」と言うと、髪の毛を横に掻き揚げ、嬉しそうにラーメンを口に運んだ。


『なんだか、美人が髪の毛を掻き揚げる姿って、凄くいいもんだな……』


今まで、色々な職場や、学食で女性とは食事を何度か共にしたが、こんなにも女性の仕草に惹かれたのは、初めてであった。


「何これ!おいしいわね……」


そんな感じで、感想をもらいつつ、ラーメンを半分くらい食べ終わると、フィーナは俺の食べている姿をじっと見ていて、その姿がとても可愛かったので、思わず赤面してしまい、箸が止まってしまった。


「―――?そんなに見つめられちゃ、食べにくいじゃないか?」


「ごめんごめん。それより、なんでタクトは、音をたてて食べてるの?って思ってさ」


そう質問をされると、あるテレビ番組を思い出して……


「これが、日本流の食べ方で、汁も同時に吸い上げる効果があるんだ」


「出来ないよ……」


フィーナは、試そうとするが、なかなか出来ないみたいなので、


「無理しないで、そこにスプーンがあるから、スープと麺入れて口に運ぶといいよ」


「残念だけど……そうするわ……」


『そういえば、外国じゃマナー違反だから、日本人しかやらないってテレビでやってたな』


それから……2人は食べ終わるまで、無言だった。


「あー、おいしかった。ごちそうさまでした」


「あっ!それも感謝の言葉ね。じゃ私も、これからも言う事にする。ごちそうさまでした!」


フィーナも日本の文化が気に入ってくれて、少し嬉しかった。


食事が終わると、今度は、まだ説明を受けていない場所を案内する様で、今度は玄関ホールから左の扉に入ると、トイレと浴室があるらしくて、案内と使用方法を教えて貰う運びとなった。


まず通路に行き、トイレに入ると、トイレは洋式で、水洗なのは嬉しかった。


この世界のトイレは、やはり魔石で運用していているみたいで、魔力を流す事により、水槽に水が溜まり、一定の重さに到達すると、自動に流れる仕組みであった。


浴室についてだか、アノースではクリーンの魔法で体を綺麗にするのが一般的の様で、浴室は屋敷の割りには小さかったが、浴槽があるだけでもありがたいと思い、浴槽を確認してみると、日本の物と同じくらいの大きさで、大理石の様な石で作られていた。


「これって、どの様にして、お湯にするんだい?お湯は出ないって言ってたけど」


「それは、浴槽の床に張られている、タイルに火の魔石が埋め込まれていて、ほら、ここのプレートに魔力を流すと、魔糸を通して火の魔石に魔力が流れると言う感じよ」


「なるほど……そう言う仕組みか。理解したよ」


「お風呂に入りたいなら、お湯を張ったら?なんなら一緒に入る?」


と、どこまで本気かどうかは分からないが、からかわれてしまった。


フィーナは、俺の顔が真っ赤になるのを見て「冗談よ」といい笑いを堪えていた。

人の反応を見て楽しむなんて、悪趣味である。


浴室の横の扉を出ると、そにはウッドデッキで作られたテラスがあって、使用用途を聞いてみたら、普段は昼寝や遊んだりする場所で、野外パーティーなどにも使えれると言う話であったので、いずれは、バーベキューをしてみたいと思う。


「さあ、次は2階に行きましょうか」


今度は、2階を案内する様なので、俺は手摺を持って階段を上がって行き、階段を上り終えると、通路は二手に分かれていて、まずは右に回った所でフィーナは立ち止まると、


「まず2階は、通路が一直線に伸びていて、ここの通路は左右合計で6部屋あるけど、全てが寝室になっているわ」


と、説明をした。


一番最初の部屋の扉を開けると、部屋にはベッドが2つ並び、窓はガラスではないが、木製の蓋がされていて、開閉は可能なようで、壁は、白色で統一されていて、部屋の大きさは、10畳ほどの広さであった。


「あのー フィーナさん、なぜベッドが2つあるのです?」


「あら、お客様が一人とは限らないじゃない?夫婦や恋人の可能性もあるわよ」


一人暮らしが長かったのと、出張で使ったビジネスホテルも個室だったので、違和感を感じたが、よく考えたらフィーナの言うとおりだと思い納得をした。


「でもね……本来なら別々の部屋だけど、私のこの姿に馴れるまで、罰として同じ部屋に寝るわ!」


なんか、よっぽど俺の変化が嫌だったのか、フィーナは怒り口調で言ってきたので諦めて「はい」と答えた。


「それじゃ、今度はこっちね」


今度は、左の通路のある方向に向き、


「この先、3部屋は客室で向かい側は、大会議室になっているわ」


となんだか大雑把に説明をすると、


「これで全部かな。なんか質問ある?」


と、質問をされた。


「今の所は……いいです。それじゃ、10時を過ぎたことだし、色々ありすぎて疲れたから寝ようとしますか?」


「そうね、私は着替えてくるから、先に寝室に行っててね」


「はい……分かりました」


『なんだか、ずっと緊張する……このままじゃ身体もたないよ……何とかしなくちゃ』


アイテムボックスからジャージを取り出すと、着替えてからベッドに潜り込むと、フィーナはなんだか、神様ぽい白のワンピースに着替えて寝室に入ってきた。


「なんで、私をチラ見した瞬間、布団をかぶって壁向いて寝てんのよ!」


「緊張するからに決まってるでしょうが……」


俺は、布団の中で言い訳をする。


「まぁいいわ!明日覚えてらっしゃい」


「ごめん。そのうち慣れるから」


「それじゃまた明日ね おやすみ」


「おやすみなさい」


「全館消灯!」


こうして、異世界生活1日目は、無事終わった。




いつも読んで頂いて、ありがとうございます。

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