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異世界魔刀士と七変化の眷属   作者: 来夢
第2章 インレスティア王国編
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第45話 最強対決

―― インレスティア王国・修練所 ――


「ふぅ……なんとか勝てたよ!」


アルムさんに握手を求めると、それに応えてくれた。


「それでは、終わったことですし、休憩を挟んでから反省会をしましょう。それでも構いませんか?」


「えっ!待って下さい。もう一人忘れてはいませんか?ラスボスが手薬煉引いてまってますよ」


アルムさんの、体で隠れていたので分からなかったが、次の対戦相手を見ると、フィーナの姿が目に映ると、ラスボスの意味を理解した。


フィーナは、ストレッチで体を解しながら、こっちに向かって歩いてくる。


「フィーナまで……本気なのか?」


フィーナは、にっこり笑うと、本気になったのか、いつもと違い真剣な表情に変化した。


「もちろん本気よ!今の私の実力を試したいの。怪我しない様に、プロテクション・シールドを掛けるわ。私も本気を出すから、タクトも制限を解除して本気でやって!」


『こりゃ言い出したら、聞かないモードだよ』


「……分かったよ」


言い出したら止まらない、フィーナの決意に本気になる為、二振りの刀を取り出し腰に装備すると、フィーナは、いつの間にか忍者の姿に変身をしていた。


周囲は、突然フィーナが変身をした姿にも驚いていたが、木剣や木刀ではなく、本物の刀である事に気が付き、客席は一気にざわついた……


「おいおい。本気だよあの人達……あのタクトさんに本物の剣を使うだなんて、フィーナ様は、何を考えているんだ?」


アルムさんが、そう言うと、ローラさん達も頷き、何も言わずに固唾を呑んで見守る。


準備が整い開始線に向うと、互いに礼をして刀を構える。


審判のゴルさんは神妙な面持ちで「それでは、お二方、準備は宜しいですか?」と聞いたので「はい」と短く答えた。


「それでは……始め!」


フィーナは、ゴルさんの合図と同時に、意表をついて縮地を使わずに、エクステンションで先制攻撃を仕掛けてくる。


「ちっ!そっちかよ!」


縮地を想定していたので意表をつかれたが、練習の時に子狐丸の軌道と距離を見たことがあるので、後ろに飛んで間合いをとった。


フィーナは、間合いを少しづつ詰めながら、次々と刀を振ると、いつの間にやら刀はムチの様にしなり、変化をしながら俺を襲う。


『前回は、単発だから軌道が変わらなかったのか?こう軌道が変わっちゃ、動きが読めない』


たまらず、けん制の為、エアカッターで反撃をした。すると、フィーナはそれを避ける為に、縮地で距離をとろうとしているのが見えた。


フィーナは一瞬、目で避ける方向を確認したので、すかざず縮地で間合いを詰めようとすると、いきなり「変身!」と言ってチャイナドレスに変身した。


「おー!またも、変身したぞ……」


客席も一斉に驚く。


いきなり、変身したので驚いて、一瞬動きが止まってしまった。


「――――――!しまった!」


フィーナは、その一瞬を見逃さず、扇舞を使って連続攻撃を仕掛けて来たので、咄嗟に剣舞で応戦する。


『防戦の剣舞か!扇舞の方が小回りが利くから、これじゃ反撃出来ないな……』


10連続攻撃をかわし、その場はなんとか(しの)ぎきると、距離をとった。


「やるわねタクト!じゃこれはどうかな?」


フィーナは、今度は魔法少女に変身した。


いつのまに、両手に魔力を貯めていたのであろうか「アイス・ソード」と唱えると、剣の形をした氷が、一斉にこちらに向って襲い掛かってきたので、瞬時に両方の刀に魔力を流し「エクスプロージョン」で、全てのアイスソードを消し去った。


「そこ!」


エクスプロージョンで、発生した蒸気を利用して、フィーナはロッドから刀を抜き、攻撃を仕掛けてきたので、刀をクロスして防ぐ。


「流石タクト、これも防ぐとはね!」


フィーナは、もう一度距離をとると、再びチャイナドレス姿に変身をすると、扇を広げ「テンペスト」と詠唱をした。


会場の事を考えたのか、威力は抑えられていたが、小いさな竜巻が俺を襲ってきたので「ファイヤーストーム」で応戦すると、竜巻どうし衝突し、相殺(そうさい)され消えた。


『このままじゃ、やばい……一気に勝負に出る!』


居合いの構えをして魔力を刀に溜めると、フィーナも扇子を構え、同じように魔力を溜め始めた。


「よし!行くぞ!」


初手で突きの軌道で喉下目掛けてフェイント放ち、それを見たフィーナは、条件反射で扇子で首元を防ごうとする。


だがそれは予測済みで、扇子がブラインドになってしまい、フィーナはそれに気が付くと対応に遅れてしまい、扇舞を発動させる前に、狙いどおり刀が扇子の持ち手に直撃した。


扇は空に綺麗に舞うと、寸止めした刀がお腹で止る。


「ふぅー。結構自信あったのに!こんな結末は予想外だったわ」


「いや、防戦一方で本当にどうしようかと思ったよ」


「敗因は顔を狙われたから咄嗟の判断で扇子を喉にやったら、まさか自分の視界を武器で覆ってしまうなんて、思いもしなかったわよ。完敗だわ」


それにしても、戦いが終わったと言うのに、やけに静かだな」


周りを見渡すと客席にた者達や、審判のゴルさんまでもが口を開いたまま、またもや固まっていた。


「ゴルさん……大丈夫ですか?」


そう声を掛け、ゴルさんは正気に戻ると「しょ……勝者タクト殿!」と、手を取り勝ち名乗りを上げた。


すると、一拍おいてゴルさんの声に反応するように、歓声と拍手でこの日最高に盛り上がりを見せた。


すると、いつの間にか居た、陛下と王子が近くまで走り寄って来た。


「タクト殿。凄まじく素晴らしい戦いだったぞ。いったい、どう動いているのか、ワシには分からんかったが」


「いつの間に、陛下はいらしゃったんですか?」


「なに、お主と勇者達が模擬戦をすると連絡があってな、居ても立っても居られなくて、執務全部をロンメルに、押し付けて来てしまったわい」


陛下は、腕を組みそう言うと、ロンメルさんが気の毒に思えてならなかった……


「それにしても、勇者達の戦いでも凄まじかったのに、フィーナ殿との戦いは、更に上を行きましたね。これは、事実上の最強決戦ではないでしょうか?」


王子は、興奮冷めやまぬであった様で、少し興奮気味に話をした。すると勇者達も駆け寄って来た。


「二人とも、マジ凄すぎますって。どうやったら、あんなに強くなれるのか教えて欲しいですよ」


「そうね。どう修行したら、あれだけに強くなれるんでしょうか。フィーナ様との戦いで、スキルを使っていた所を見たけど、手を抜いてあの強さでしょ。しかも、こっちはアルムが本気だったのにも関わらず、あんなに簡単にやられたの初めてだよね」


ローラさんがそういうと、勇者パーティは頷いた。


「アルムさん達は強いのは強いと思います。流石は勇者パーティだと思います。ですが、戦い方が良くも悪くも自己流です。モンスターなら、それも通用するとおもいますけど、対人戦だと通用しない可能性も否めません」


「師匠から同じ事を言われました。それでタクトさんから見る、僕達の弱点を教えていただけませんか?」


「そうですね。これは全員に言えるのですが、想定外や予定外の事になると、急に対処出来なくなり、攻撃が単調になっていました。そこが弱点だと思います」


「想定外と予想外か……私もまさか自分の剣を捨てて、槍を掴み、更に振り払う力を利用されるなんて、勉強になりました……タクト様また色々と教えて下さいね」


最近気軽に喋ってくれる様になった、ラルーラさんは、回答に満足してくれたのか、槍を見つめてそう言ったので、少し調子に乗り、上手くいくかどうか分からないが、相手の力を利用する技を、実際に試しながら説明をする事にした。


「私の国の言葉に、柔よく剛を制す、と言う言葉があります。じゃ実際やってみましょう。ゴルさん、少し協力して頂いていいですか?」


突然の指名に、ゴルさんは、自分で自分の事を指で指し、驚きを隠せずにいたが「別に構わないがどうすればいい?」と言って、快く引き受けてくれた。


「私の顔面に、本気で殴りかかってきて下さい」


「本当に、いいのですか?本気でいきますよ」


「そうじゃないと、意味がないんで、本気でお願いします」


「それじゃ遠慮なく行きます」


ゴルさんは、そう答えると、こちらに向って殴りかかってきたので、伸びた腕を掴み、ゴルさんを背中に乗せ一本背負いをすると「ドズン」と、画に書いたように綺麗に決まり、ゴルさんは呆然と天井を眺めた。


「皆さん、お分かりになったでしょうか?こう言う具合に、相手の力を利用すれば、どんな相手でも、投げ飛ばす事が可能なのです」


『よし成功したぞ!身体能力上がったおかげで、見よう見まねで出来たぞ』


「素晴らしいじゃないか!相手の力を利用するなんて、考えた事もなかったよ」


「ありがとうございます。それでは、ついでに、もう一つ実例を紹介します。これは実際に、シェールさんにも同じ感じで使ったんですが、それじゃカイル王子。今度は、王子に協力して頂いても宜しいですか?」


「私なら、構わないよどうしたらいい?」


「それでは、こちらに向って力いっぱい、斬り掛かってて来て下さい」


王子に木刀を手渡すと「了解したよ。それじゃ行くよ」と言い、王子は木刀を振りかぶり、斬り掛かったきた木刀を木刀でクロスする様に止めると、木刀の角度少し傾け滑り始めたのを確認する。


『このくらいでいいか』


そう思うと、一気に力を抜くと、王子は前のめりに体勢を崩して転倒した。


「王子、大丈夫ですか?」


「ああ。勢い余って、すっ転んでしまった。少しみっともなかったな」


「誰でもああなりますって」


手を差し出し、王子を立たせると、今の技?の解説をする。


「皆さん、お分かり頂けたでしょうか?力には力ではなく、相手の力を利用する事も大事なんです」


「俺……本気でやった……悔しい。でも嬉しい」


「おー、またシェールが喋ったぞ!奇跡だ奇跡。それにしても、タクトさん。剣の道は奥が深いと、改めて痛感しましたよ」


それから、反省会をして雑談が始まると、アンジェ王女が〆に入った。


「タクト様。お部屋の準備と夕食の準備が整っています。そろそろ行きませんか?」


「わかりました。それでは兵士の皆さん、私の言ったアドバイスを真摯に受け止めて、これからも修練に励んでください」


「タクト殿、今日は大変勉強になりました。ありがとうございました」


「ありがとうございました」


兵士達は一斉に頭を下げると「またいつか、相手になるよ」と答える。すると、兵士達は青い顔をして首を横に振っていた。


いつの間にか修練が模擬戦になってしまったが、誰も怪我をすること無く修練を終えると、食事の間に向かう道中で、珍しくアンジェ王女がフィーナの横に並んだ。なんだか嫌な予感がするのは気のせいか……


そう思ったので聞き耳を立ててみる。


「フィーナ様。あの変身は素晴しかったです。あんな、かわいい服のデザイン見た事もないし、是非あのようなかわいい服を着てみたいです。教えてもらえないでしょうか?」


アンジェ王女が、そう褒めると、フィーナは、にやりとし笑顔になった。


「ねぇタクト聞こえたでしょ?ようやく私の時代が来たわ。私に全て任せておいて。きっと、王女に似合う服を作ってみせるわ」


「アンジェだけ、ズルいです。私のもお願いします」


「いいわよ!纏めて作ってあげるわ」


「ありがとうございます。楽しみに待ってます」


三人が手を取り合って喜ぶ姿を見て「あちゃ~」と思わず声が手で顔を覆い『ああ……悪い予感的中だよ……今度は一体どんな、コスプレで悩殺すつもりだ?』と不安になるのであった。


それから、皆で夕食を頂いてから、客室に通されるとソファーに腰掛けて、陛下に提案をされた紋章のデザインを考える事にした。


「フィーナ、ちょっと妖精になってくれないか?」


「いいけど何で?」


「紋章のデザインを、フィーナにしようと思うんだ」


「本当に?なんか照れくさけど、タクトがそれでいいなら、協力するわ」


フィーナは少し戸惑いながらも、同意が得られので、アイテムボックスから、筆記用具とノートを取り出して、フィーナをモチーフにスケッチする準備をした。


鉛筆を持ち、ノートを広げると、スケッチを始める前に、頭の中である程度の構想は出来ていたので、フィーナにポージングをお願いした。


「フィーナ、空に向かう様に、手を上げて上を向いてくれないか?」


言われたとおり、フィーナは空中に浮くと、ホバーリングをしながらポーズをとる。


「こんな感じでいい?」


「おっ、いいねー!いいよ!そのままで!」


『どこの、グラビアのカメラマンだよ!』っと、自分で突っ込む。


それから、ある程度書き終えると「こんな感じでどう?気にいらないなら書き直すけど?」と言うと、妖精から魔法少女の姿に変わり、自分の書かれたデザインをじっと見る。


「えっ、これ私?なんだか不思議!気に入ったわ。それに、この二つのクロスする刀は、タクトの象徴よね!」


「そのつもりで書いたよ。だって、俺とフィーナは切っても切れない仲じゃないか?死ぬまでお別れ出来ないと言う意味では、そこらの夫婦より縁が深いし、これがいいんじゃないかなと思ってさ!」


フィーナは、顔を真っ赤にして「うん」と頷いた。


『しまった!俺、油注いでどうすんだよ』


「もー、タクトってば、大袈裟よ!想像したら、頭がパニックになったわ。まぁそこは置いておくとして、紋章に私とタクトなんて、なんだか恥ずかしいけど、これなら他とかぶらないし、いかにも私達って感じだからこれで行きましょう」


「ありがとう。このデザインを正式に創作(クリエイト)して、陛下の所に持っていくよ」


「私も一緒に陛下の所へ行くわ。その前に、一度仲間のフェルムとアイラに見せて意見を聞いてみない?」


「そうだな。そうしようか?」


「それじゃ、旗のサンプルを作るから、フィーナは二人を呼んで来てくれるかい?」


「了解よ……」


その後、フェルムとアイラに出来上がった旗を見せると、二人に「凄くいいです。お二方の特徴が描かれていて!」と大絶賛されたので陛下にそのまま提出をした。


執務をしていた、陛下は旗を広げると「素晴らしい出来ではないか。これなら間違えなく他の貴族と被らぬであろう」と、執務室にいたロンメルさんと王子にも認めてもらえたので、正式にこのデザインが採用される事に決まった。



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