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異世界魔刀士と七変化の眷属   作者: 来夢
第2章 インレスティア王国編
32/203

第31話 妖精の輪舞

―― 貴族街 キルド会館 ――


「それでは、入るとするか…………」


ギルドに着き、扉を開け中に入ると、まるで役所のような雰囲気に驚いた……壁には依頼のボードと掲示板がある。


よくある、酒場と一緒にあって、酔ぱらった冒険者に洗礼を受けると言う、シュチュエーションとはまったくと言って無縁のようだ。


受付っぽい場所を見つけ、歩きだすと、視線を感じる。


特に、日本の普段着を着ている自分の格好が。この場に合っていないのは認めるが、それにしても、身形の良い人物達はいるが、冒険者などは一切いなかった。


『なんだか、来るとこ間違えちゃった?』


そんな事を思いながら、受付へと歩いくと、冒険者用と商業用の受付窓口があり、当然の事ながら冒険者用の受け付けに向かって歩き出す。


冒険者用の受け付けに歩いていくと、可愛らしい受付の女性が声をかけてきた。


「お兄さん達。今日は、どんな御用ですか?」


日本の役所の対応とは、まったく違って、軽い感じが印象的だったので「ちょっとまってね」と、軽く笑顔を作り返事とすると、先ほど王子から貰った封筒を着物の袖口から取り出した。


すると、フィーナが横に来て、会話を阻止する様に喋り始めた。


「今日は、然るお方からの紹介で、このギルドへやって来ました。この封筒をギルド長に直接渡してくれと言われたので、ご確認下さい」


「分かりました。それでは封筒を確認させて下さい」


フィーナは、淡々と説明をすると、こっちを見て、封筒を差し出す様に目で指示を出す……


愛想笑いをしつつ、王子から貰った封筒をギルド嬢に手渡すと、封筒には封印と王子の署名が入っていたので、ギルド嬢は慌てたように「少々お待ち下さい」と言って、階段を駆を上っていった。


「まったく、油断も隙もないわね!あの子一瞬だけど、色目を使ってタクトを見つめていたわ!」


「考え過ぎだってば。そうは見えなかったし、この格好のせいじゃないの?少し気にし過ぎだよ~」


『なんで、こんなに警戒しているんだ?敵でもないのに。訳が分からないや……』


そう思いながら、後ろに振り向くと、近くに椅子があるのにアイラは立って待っていた。


「アイラ、立っているのが辛かったら、そこにある椅子に腰掛けて待っていてもいいよ」


「お優しいのですね。でもタクト様が考えているほど、辛くありませんし、結構回復しているので、お気遣いなされなくても結構ですよ」


「もう!タクトは誰にでも優しいから、好意があるって勘違いされるわよ!まったくもう~」


フィーナは、いつもなら、こんな事を言わないのに、過剰反応を示したので「ゴメン気をつけるよ」と謝る。


それから間もなくすると、ギルド嬢が、「ダダダダ」と音を立てて階段を駆け足で降りてきた。


「ギルド長が、お会いになるそうです。ご足労ですが、こちらから二階へ案内いたしますので、一緒に付いてきて頂いても宜しいでしょうか?」


「勿論そうさせてもらうよ」


そう返事をすると「それでは、こちらへどうぞ」と言われたので、二階へと続く階段に向かって歩き出した。


アイラの足はまだ万全ではないので、フェルムが手を引いて階段を上がるのを、フィーナが羨ましそうに見ている。


それに気付きながら、無視をする事は出来ないと思い、照れ隠しをするのに首を横に向けて、フィーナのいる方向へ手を差し出す。


すると、フィーナは、一瞬戸惑いながらも手を取り、満面の笑みを浮かべていた。


『良かったよ、機嫌を直してくれて。女心は分からないや……』


階段を上り終えると、ギルド嬢に案内されて、執務室と書いてある部屋の前で立ち止まる。


ギルド嬢が扉を「コンコン」とノックをする……


「先ほど、許可をいただいたお客様をお連れしました」


「通したまえ」


ギルド長の許可が出たので、執務室に入ると、エルフと思われる青年が立っていた。


エルフを、近くで見るのは初めてだったので、失礼とは思いつつも、耳のあたりをじっと見てしまった。


「ようこそ、お客人、私はこの貴族専用ギルドを任されている、ライズと言う者だ、以後宜しく頼む」


そう言うと、ライズさんは片手を胸に当てて挨拶をした。


『どおりで役所っぽいと思ったら、貴族専用ギルドだったのか……謎は解けたよ。そう言えば、ここは貴族門の中だったよ……』


「それにしても、エルフを見るのは初めてなのかい?そんなに見つめられると、照れるじゃないか?ひょっとして、お客人は、こっちもいけれるのかい?」


ライズさんは、手のひらを捻り、顔に当てて、ウインクをしながらそう言ったので、慌てて否定をする。


「男性はいけませんよ!女性onryです!」


「ははは……それは残念だ。私も女性onryだけどね……失礼だが、君はからかいがいがあるね~」


「誤解させる様な真似をして、本当にすいません。実はエルフを真近で見るのは初めてで……」


やはり、バレてたようだった。勇者の仲間にも、エルフがいたのだが、あの時は、近くで見るタイミングを逃してしまったので、事実上エルフを今回初めて見る。


エルフの容姿は、アニメやゲームの世界とまったく同じで、耳はやはり長く、金色の長い髪が特徴だった。


『エルフ、妖精、ドワーフ、モンスター、どれをとっても地球には存在しない、ファンタジー世界の創造物だと思っていたけど、一体誰がここまで同じ容姿なのを考えたんだろう?』


よく考えたら不思議であった……特徴一つとっても、まるで誰かが見てきたように一致している。


そんな事を考えていると、フィーナは「くくく……」と、声を殺して笑っている。


「タクトってば、ムキになって可愛いわね」


「もぅ、ムキになってなんかいないよ」


そう答えると、「それがムキになってる証拠よ」とからかわれる。


「まぁ、その辺にしておいて貰えると助かります」


ライズさんから、軽くそう言われたので「申し訳ない」と謝ると、ライズさんは何故か分からないが、にっこりと笑う。


『ああ。これは営業スマイルだな、きっと……』


勝手な解釈をしているとライズさんは、ギルドカードの発行について説明をし始めた。


「カイル王子からの紹介状は拝見しました。早速で申し訳ないですが、ギルドカードを発行するので、一人ずつ、この水晶とカードに手を置いて下さい」


すると、フェルムが手をあげる。


「あの、私はもう既にギルドカードを発行済みなんですけど、どうしたらよいのでしょうか?」


フェルムは、予め用意をしてあったのであろうか?ギルドカードを取り出すと、ライズさんに見せた。


「心配ありませんよ。情報は新しいカードに移行しますので、そのカードは責任を持って廃棄します」


ライズさんはそう説明をすると、フェルムは頷く。


「それでは、ギルドカードを発行しますので、どなたからでも結構ですので、こちらの席へお座り下さい」


一人ずつと言う事なので、まず俺が椅子に腰掛け、水晶とカードに手を置く。すると、不思議な事に、俺と水晶とカードが3つ同時に光った。


恐らくこれは、魔法でシンクロしているのであろう。光は2秒くらいして収まると、どうやら、ギルドカードは出来たみたいであった。


「もう既に、個人の魔力パターンが登録されているので、軽く魔力を流して、今の自分の状態をご確認下さい」


ライズさんがそう言ったので、表示を確認しようと、ギルドカードに魔力を流す。


すると、いつも、フィーナのやってくれている、スキルボードよりも簡易的だが、ほぼ神眼と同じ表示内容が確認出来た。


内容を確認するのに下を見ていたので、顔を上げると、ライズさんは後ろを向いていた。


いくらギルド長でも、個人情報を見てはいけないのであろうか?よく見ると目隠しまでしていて、個人情報が守られている事に心底驚き感心をした。


「確認しました」


そう言うと、ライズさんは目隠しを外してこちらに振り返ると、どうやら、これでギルドカードは完成した様だった。


こうして、同じ作業を繰り返し、全員にギルドカードが行き渡ると、ライズさんが、ギルドカードの詳細について説明に入る。


「それでは、パーティの登録ですが、どうされますか?」


「それじゃ、ついでだから、登録しておこうか?皆、それでいいかな?」


皆は、異口同音に賛成をする。


「それでは、パーティの名前をお願いします」


『しまった!安請け合いしてしまったが、何も考えていないぞ!』


瞬時に頭をフル回転させ、咄嗟に思いついた名称を口に出す。


妖精の輪舞(フェアリーズ ロンド)って、言うのでどうかな?イメージ的には、妖精と手を取りあって、踊る言う意味なんだが」


「良い感じね!なんか語呂が、かっこいいし、私にはぴったりって言うか、もしかして……私のイメージ?」


「大スジでは、そうかな……」


「私は、良いと思います。なんだか、かっこいいし……」


「私も同意です」


「それじゃ、決定でいいな。妖精の輪舞(フェアリーズ ロンド)と言う名称で、宜しくお願いします」


「了解したよ!」


こうして水晶を通して、カードに、それぞれパーティ情報が書き込まれていった。


それからライズさんは、ギルドカードについて詳細を話始めた。


要約するとこうだ、


まず、ギルドカードをもし、紛失したり壊したりしてしまいまうと、再発行に銀貨1枚掛かかるようだ。


そんなに高いとは思わないのは俺だけであろうか?


次に、ギルドーカードは、登録をされた自分の魔力パターンと合致していないと、悪用されたりはしないのだが、拾ったり無きしたりした場合は、速やかにギルドに届ける義務があるそうだ。


ギルドカードは、日本で言うキュシュカード機能も備えているので、当然だと言われれば当然である。


ちなみに、他人のギルドカードを、本人の許可なく盗み見たりすると、罰金や悪質な場合は、処罰の対象となるようだ。


次に説明をされたのは、ギルドカードの色についてだ。


カードの色はランク別に別れていて、冒険者にとって一種のステータスであり、ランクを上げるのに日々迷宮に潜っているようだ。


ランクを上げる為には、それ相応のモンスターを一定数、倒さなければならない様だ。


倒したモンスターの情報はギルドカードに書き込まれるようになっていて、G~Dランクは、ブロンズカードで初心者用、C~Aランクは、シルバーカードで中上級者用となっている。


後は、Sランクは、ゴールドカードであり、ほんの一握りの冒険者しかいないようだ。


最後に説明されたのは、俺達が発行されたプラチナカードである。


通常は、王族、貴族などの特別な地位のある人しか発行されないようだが、カイル王子の計らいで、今回俺達全員に発行されたようだ。


「ここまで説明をしましたが、何か質問はございますか?」


「確認したいのですが、過去に倒したモンスターは、対象ではないのでしょうか?」


「この水晶は過去に倒した、モンスターも読み取る事が出来ますので、対象となります。ギルドカードを手に持ち、魔力を流しながら、ライブラリと念じれば、いつでも倒したモンスターの記録を見る事は可能です」


「なるほど、そりゃ便利だな」


「因みに、パーティ登録を行えば、一緒に戦闘に参加して、パーティの中の誰かが倒せば、ライブラリに記録されますので、ご安心下さい」


「あと説明を、しなければいけないのは、特典の事ですかね、ゴールドとプラチナのカードを提示して頂ければ、貴族専用門が使えます」


『日本で言う身分証明証みたいな役割もあるんだ~』


ふと、カードを見ると、先ほどの説明がなかった、ランクが書いてあったので質問した。


「俺のカードに、SSと書いてあるんですが、これはどう言う意味があるのでしょうか?」


「私のも、SSって書いてあるわ」


ギルドマスターは、何やら汗をかいて青いかおをしている。


「あのー、タクト様。一度カードを見せて頂けないでしょうか?」


「別にいいですが……」


「――――――!こっ……これは!」


ライズさんは、二人のカードを見ると、白目をむいて気を失った。


「フィーナ、精神安定魔法を掛けてやってくれないか?」


「仕方ないわね。――――変身!」


フィーナは、魔法使いから、女医の姿に変身をし、ライズさんに精神安定魔法を掛けた。


落ち着きを取り戻したライズさんは、何が起こったのかを思い出すと、申し訳なさそうな顔をしていた。


「ありがとうございます。お見苦しいところを、お見せいたしましたが、最近強いモンスターなど、倒されたとか記憶にないですか?」


「最近だと、ベヒーモスと、古の竜くらいかな」


ライズさんは、それを聞くと、今度は固まった様なので、フィーナに、もう一度、精神安定魔法を掛けてもらう。


「今まで、人外と呼ばれた人を、何人か見てきましたが、こんなに凄い人は初めて見ました。それにしても、古の竜を倒すとか、治癒魔法使えるとか、あなた何者ですか?」


「俺はただの……」「神です!」「神ですよ!」「神ですね!」


俺はただの、人間と答えようとすると、口裏を合わせた様に、他の3人が口を揃えてそう答えた。


「ち・違うってば!」


慌ててそう言い繕い、頭を抱えていると「そうですか……神様でしたか。納得しました」と、なぜだか、納得されてしまい、神認定されてしまう。


「いや、普通の人間ですってば……」


今更、何を言っても誰も聞いてもいないし、もう既に遅かった。


俺は項垂れ、そして諦めた。


「それでは皆さん、私は、今から、仕事がまだ立て込んでいるので、また詳しい話をお聞かせて下さい」


「機会があれば、お話いたしますよ」


「楽しみにしていますよ」


こうして、目的は達成されたのでライズさんと別れ、下の階に下りた。


ベヒーモス討伐で手に入れた、星金貨を両替したいので、ギルド嬢に「お嬢さん。ここは、お金を預けたり、両替も出来るんですか?」と質問をする。


すると、ギルド嬢は「お嬢さんて……そんな感じで呼ばれたの初めてです」と言いながらギルド嬢が突如、赤面をしながらモジモジしだした。


ギルド嬢のその姿をフィーナは見ると、俺のお尻を抓る。


あまりにも痛かったので涙目になると「いてて……ごめんって」抓られる理由も分からず取り敢えず謝る。


「取り乱してごめんなさい。私の名前はローズっていいます。お金を預かったり、両替の業務もやっているのでどうぞご活用下さい」


ベヒーモスから得た星金貨を、1枚取り出すと、ローズさんに渡した。


「――――!ほ・ほ・星金貨!少し待ってください」


『俺は()()、やっちまったのか?』


ローズさんは、慌ててキルド長のライズさんを呼んでくると、ライズさんもまた慌てて走って来た。


「タクト様。申し分けないが星金貨は、ここで両替するにも硬貨が足りないのです。今現在ギルドにある、両替可能な硬貨を用意するので、後は、預金という形でお願いできないでしょうか?」


「はい、それで結構です」


そう言うと、ライズさんとローズさんは硬貨の入った袋を、大量に持って来たので、星金貨の価値が、どれくらいの価値があるのか納得したのであった。


俺は光金貨3枚 大金貨3枚 金貨25枚 銀貨を30枚 銅貨を50枚 ほど受け取ると、アイテムボックスにしまった。


ローズさんは、星金貨を生まれて初めて見たらしく、呆けた様子だったので取り敢えず謝った。


「ごめんよ。星金貨の価値が分からなくて」


なぜ謝られたのか分からなかった様子だったが「またのお越しお待ちしております」と言って、貴族ギルドを笑顔で送りだしてくれたのであった。


ギルドから、宿へと向かう道中のこと……


「まったく、ああいう子が好きなの?私という者がありながら」


「そう言う分けじゃないんだ……フィーナの方が可愛いって」


「今言われても、何も感じないわ」


「なにか、ごちそうするから許して……」


「あらそう、期待してるわね!」


なぜ、フィーナが嫉妬しているのか分からないが、一生懸命取り繕った結果、やっと納得してもらえて、胸を撫で下ろした。


『いったい、何を食べさせれば納得してくれるのだろう』


一抹の不安を覚えながら、王子に紹介された宿へと向かう……


後から、物価を調べると、それぞれの硬貨の価値が分かった。


『そりゃ、驚くのも当たり前だよな……』


星金貨は 1億円

光金貨は 1000万円

大金貨  100万円

金貨は  10万円

銀貨は  1万円

銅貨は  1000円

鉄貨は  100円

軽貨は  10円

日本円で換算すると、だいたい、これくらいの、価値がある様である。

超簡単な(手抜き)人物照会 ※初期設定

見た目と特徴のみです。


ギルド長 ライズ エルフ

年齢は120歳(見た目25歳)身長 175cm 白金の髪 (セミロング)緑色の目(真面目なイメージ)

特徴

しっかり者。気さくによくしゃべる。


ギルド嬢 ローズ

年齢は19歳 身長 160cm 桃髪セミロング 茶色い目 (好奇心旺盛なイメージ)

特徴

気さくによくしゃべる。好奇心旺盛


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