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異世界魔刀士と七変化の眷属   作者: 来夢
第2章 インレスティア王国編
30/203

第29話 王都へ向けて

―― ザバル男爵・中庭 ――


翌朝…………


ふと瞼を開けると、今日は珍しく、フィーナは、俺より早く起きていた。


「おはようタクト。昨日約束した、扇子の技を考えるの手伝ってよ~」


快諾すると、今日もザバル男爵の庭を借りて練習の準備に取り掛る。


まずは、体を(ほぐ)す為、ストレッチなどの準備運動をこなすと、フィーナは。昨日作った扇子を取り出した。


「日本の剣舞には、扇子を使った扇舞というものがある、実際見た事も使った事ないから、今から実験を、しながら見本を見せるから、模擬戦をしながら、流れを作っていこうと思うが、どうかな?」


「その前に、質問なんだけど、扇子はどういう役割をするの?」


「俺の考えでは、盾の代わりと、接近戦が実用的かな……物は試しだ。一度やってみよう。力を抑えて、竹刀で斬り込んで来てくれないか?」


フィーナは、こっちに目掛けて竹刀を振るう。即座に竹刀の軌道を読み、扇子で防ぐと同時に、もう一つの扇子を広げ、首元で寸止めをする……


「なるほど。扇子は軽くて短い分、接近戦ではすごい殺傷能力ね……あと、扇子を広げれば、弓矢の攻撃とか防ぎやすいかも……使い道は、接近戦と護身特化のようね」


「じゃあ、次は見ていて、昨日練習した、剣舞を扇舞にアレンジして動いてみるから」


そう言うと、身体能力の上がった体で、扇子を広げ、剣舞の様に文字通り舞った。


まず半身を開き、扇子を突き出す⇒そこから上段に扇子を持って行き、扇子を広げ袈裟斬り⇒もう一つの扇子を広げ、クロスに下から上へ⇒両手を広げジャンプして回転……


一連の流れを、何パターンか見せると、フィーナは、扇舞に釘付けになっていた。


「タクト。この前も言ったけど、もうあなたの動きは芸術よ!剣舞もそうだけど、人の動きがこんなに美しいと思ったのは、初めてよ!旅芸人としても、十分食べていけれるわ」


「え――!旅芸人は勘弁してほしいけど、結構適当に、やっただけだけどなぁ……」


「じゃ、私もやってみたいから、タクトは見ていて」


それから、夢中で動きを練習しながら、試行錯誤で扇舞を作りあげて行った。


そうすると、フィーナの体が少し光ったので、スキルボードで、成長を確認すると、スキルの欄に予想通り、扇舞の文字が追加されていた。


「タクト、ありがとう。なんとか完成したわ」


「流石だよフィーナ。君の身体能力も十分凄いし、傍から見ていても美しい舞だったよ」


『――――!しまった!餌をまた……』


「タクトのおかげだよ、美しいなんて、照れるじゃない!」


なぜか、背中を軽く叩かれ、その場は終わった……と思われたのだが……


「タクト、今度は剣舞と扇舞で、殺陣の練習しましょうよ!きっと良い出し物が出来るわ!」


言い出したら絶対引かないので、結局俺たちは、朝食を呼びにくるまで、練習に没頭するのであった……


「タクト様、お食事の用意が出来たとの、仰せです」


「了解だよ。じゃ、今日はここで終わりにしよう」


「あと、少し詰めたかったけど仕方が無いわね。今日は諦めましょう」


それから、クリーンの魔法マットで体や服を綺麗にして、着替えた後、直ぐに食堂へと向かった。


朝食を終えると、ザバル男爵が、シルバーノアに、積む物の用意が出来たと言う事だった。


家畜を乗せるのに、隠蔽をしたままだと無理だと思い、駄目もとで、フィーナに、一部分だけを、隠蔽を解除出来ないかと聞いてみた。


フィーナが、試してみないと分からないと言う事で、試してみると成功したので、家畜以外の物を、アイテムボックスに詰め込み、その間に、家畜はザバル男爵達がシルバーノアに乗せてくれていた。


「準備が整いました。王都までですが、馬車の運転を兼ねて、運転手と家畜の世話係りを二人用意いたしましたので、一緒に王都まで行く事をご了承下さい」


「気を遣っていただいて申し訳ないです」


「いえ。家畜はこの先、タクト殿が旅に出る際、何かと世話などが面倒でしょうから、私の王都の知り合いに、預けると言うのはどうでしょうか?その場合は、ラッフェル島に帰るまでは、私どもが責任を持ってお預かりいたしますので、ご安心下さい」


「本当に助かります。家畜の世話までは気が回りませんでした。何から何まで、ありがとうございます」


「いやいや、これくらいの事、構いませんよ。それでは二人とも挨拶を」


「私は、この屋敷で、執事兼、馬車の御者担当していますゴーラと申します。いつも目新しく、素晴らしい物を拝見させて頂いてありがとうございます」


いかにも、執事と思わせる老紳士は、丁寧な挨拶をした。


「私は屋敷でメイド兼、家畜の世話係りをしているジェシカと申します。先日から、今まで食べた事のない、美味しい物を頂いたりお教え頂いて、ご一緒出来るなんて夢の様です。私に出来る事なら、何でも致しますので、ご遠慮などせず、何でもお申しつけ下さい」


メイドのジェシカさんは、見た目では20代前半で、活発そうな感じの、お姉さんと言う感じだった。


後から聞いた話では、ジェシカさんは牧場の出身らしく、家畜の事なら、大概世話を出来るのだと聞いた。


「こちらこそ、宜しくお願いします。何か不自由な点などございましたら、遠慮なさらないで、何でも仰って下さい」


こうして、お互いに挨拶が終わると、新しく乗り込む人達に、セキュリティーカードを渡し、全ての準備を終えた。


「じゃ、みんな乗り込んで出発と行こうか!」


こうして、ザバル男爵の屋敷に勤める、皆が集結して見送りに来てくれた。


「それでは、皆の者。留守の間頼むぞ」


「畏まりました。領主様も身体には気をつけて、どうかご無事でお帰り下さい。それと、カイル王子とタクト様を始めとする方々も、今回はありがとうございました。感謝してもしきれません」


カイル王子は「今回の私たちは、何も活躍してないんだけどな」と苦笑いしていた。


「それでは、王都に向けて発進しようか」


「了解しました。お任せ下さい。アイラも操作を覚えてくれ」


「もちろんよ、フェルム」


「それでは、高度10000mまで上昇したら、高度を維持し、7時の方向へ向かってくれ」


「了解しました。アイラ計器の管理を頼む」


「了解よ! 出力上昇20% 高度2000m」


「只今、高度約10000mに到達しました」


「出力を徐々に上げて、50パーセントになったら、自動運転で王都へ行く。それでは、フィーナは隠蔽を、索敵は二人に任すので宜しく頼む」


「了解!」


シルバーノアは王都に向けて出発すると、王子とザバル男爵が甲板から艦橋(ブリッジ)へやってきた。


「昨日の夜とは違い、相変わらずの凄い眺めでした……改めて感動しましたよ」


「いやー。まったくだ。話には聞いていたが、本当にこの星は丸いのだな!」


ザバル男爵が、興奮しながらそう言うと、カイル王子もまた、それぞれ感想を語った。


「また、その事についても、いずれ話をするので、楽しみにしておいて下さい」


「心得たよ!王都には、どれ位で着きそうですか?」


「3時間も、あれば着くと思いますが?遅いですか?」


「呆れて物が言えないよ……普通なら2日は掛かるから、先に向かった兵士より、早く着いてしまいそうだ」


王子は、呆れた顔をしてそう答え、ザバル男爵もまた頷いた。


「それでは、カイル王子達は、到着するまで食堂にておくつろぎ下さい」


あそこは、(カイル王子)大きな窓があるから、そこから下界でも眺めているよ」


そう言えば(ザバル男爵)思い出したが、あのガラスと言う物も、いずれ、作り方をご教授頂きたい」


「分かりました。時が来たら、この世界の職人に作り方を、お教えする事を約束します」


「宜しく頼む」


カイル王子は、回答に満足をしてか、ザバル男爵と共に一礼をし、食堂へと向かって行った。


それから何事もなく、静かに航行する事3時間……


「タクト様。そろそろ目的地付近に到着いたします」


俺は、伝声管の蓋を上に上げて、カイル王子に連絡を取る。


「王子。あと少しで、王都上空付近に到着いたしますので、艦橋(ブリッジ)へとお越し下さい」


その問い掛けから、2分位経つと、カイル王子達が血相を変えて艦橋(ブリッジ)にやってきた。


「もう驚くのも疲れたが、さっき、タクト殿の声が聞こえたが、あの魔道具は一体なんだ?」


俺は、伝声管の前に立ち「ポンポン」と軽く伝声管を叩くと、分かりやすく説明をする事にした。


「そう言えば説明していなかったですね。これは魔道具ではなく、伝声管と言って、科学の原理を利用して作った物です」


「それは、まことか?魔力なしで、あの距離の声が聞こえるなんて信じられん」


「簡単に説明しますと、私たちが今普通に喋っている言葉は、音波という波になっていて、何もない所でこうした会話は距離によって拡散し、少しずつ減退して行きます。しかし、この様なパイプを使う事によって、音波は拡散しないので、あまり音の波は劣化せずに、少し遠くの距離でも、相手と会話する事が可能なのです」


「それは凄い!この機能があれば、城や屋敷でも、わざわざ呼びに行かなくても、会話が出来ると言う事で間違いないですね!」


王子は、興味津々に話を聞いていて、あれこれ使い道を妄想している様であった。


「まあ距離は、最大で300mと科学館と言う所で、説明された事があるので、その程度の距離なら設置可能ですよ」


地元にあった科学館に何度か足を運んだ事があり、その時の説明を思い出し、そのまま説明をする。


「それにしても、この蓋は何の為にあるのですか?」


「蓋をつけないと、音が漏れて、大事な会話が盗み聞きされるから設けてあるのですよ」


「なるほど。勉強になります。また色々教えて下さい」


そうカイル王子が言うと、シルバーノアは着陸の準備に入り、王都に近い平原に、シルバーノアは着陸した。


タラップを用意して、下に降りようとした時、ここで致命的な、ミスをした事に気がついた。


「フィーナごめん。家畜をシルバーノアに入れたのを忘れてた。これじゃ、アイテムボックスに収納出来ないし、それと、もう一つ問題があって、車は5人までしか乗れないんだ、どうしよう?」


「そうね。じゃあ、隠蔽を掛けたままに、しておいたら?シルバーノアの魔石なら、一週間程度なら、隠蔽は解けないわ」


「移動についても問題はないぞ!こんな事もあろうかと、馬と馬車は積んできておるからの。家畜もエサと水は十分に置いてきたから、暫くは大丈夫であろう……家畜を預けるのも、この国の国民に、飛空挺を披露してからでも遅くないしな」


ザバル男爵は、優しい目でフォローしてくれたので、その言葉に非常に感謝をした。


「ありがとうございます。感謝します」


そう感謝の言葉を述べると、王子は「タクト殿も、人の子だと安心しましたよ」と少し笑いながらそう言った。


『いったい俺は、人の子じゃなかったら、なんなのだ?でもこれ言っちゃうと、十中八九、誰かが神様扱いしてくるから、言わないでおこう……』


そう思っていると、ゴーラさんが馬車を、ジェシカさんと、フェルムが馬を用意している間に、フィーナは、隠蔽魔法を固定するのに魔力の充填が必要だと言うので、供給をしにシルバーノアに戻り直ぐに帰って来た。


「それでは、準備が整ったようだ、皆も揃った様であるから、王都に向けて出発しようではないか」


ザバル男爵がそう言うと、全員馬車に乗り込み、馬車は王都に向けて出発した。


王家の馬車は、前回乗った時の物と同じで、中身は広く内装は豪華ではあったが、整地されていない道を走るには、車に乗り慣れた、俺とフィーナのお尻は我慢出来なかった。


「カイル王子……馬車を止めて下さい」


少し腰を押さえながら、王子に、顔を歪めてそう言うと、王子は、馬車の先頭にある小さな扉を開け、御者のゴーラさんに馬車を止める様に指示を出す。すると、馬車は脇道に逸れて止まった。


「どうした?具合でも悪いのか?」


王子は、心配そうにそう言うと、フィーナがたまらず、今の心境を吐露する。


「タクト……お願いだからなんとかして」


流石に乗り心地が悪いと、直接言えなかったのか?バツの悪い顔をしてそう訴える。


「やってみないと分からないけど、王子、この馬車を少し改造してもいいですか?」


「別に構わぬが」


許可が出たので馬車に乗っていた、全員が降りるのを確認する。


「それじゃ始めるか」


「何をするのか楽しみですな~」


皆が見守る中、アイテムボックスから、鉄やガラスの素材などを取り出し、フィーナには以前、シルバーノアで創作してもらった手順で、ガラスを貼って貰う事となる。


「それじゃ、こっちは、足回りの改造をすることにするよ」


そう決まると、まずは、馬車を持ち上げ固定をする⇒車軸を加工してからベアリングを圧入し固定する⇒鉄のバネではあるがダンパーを組み込む⇒車輪を取り付ける。


こうして、簡素的ではあるが、馬車の足回りは完成した。


「タクト!こっちは、出来たわよ!」


フィーナは、木の窓をガラスに交換して、満足気な顔をしていた。


「こっちも、車ほどではないが、なんとか、満足出来る物が出来たよ。それにしても暑いな~」


たいした労働はしていないのだが、陽気のせいか、汗が流れ出ていたので、アイテムボックスから、フェイスタオルを取り出し、首に掛けて汗を(ぬぐ)った。


「改めて思いますが、タクト殿とフィーナ様は流石と申しますか、もう人じゃありませんな」


一連の作業を、目の当たりにした、カイル王子達は、どうやら声を失っていた様で、ザバル男爵がそう言うと、皆は頷き同意をする。


「それは言い過ぎですよ。フィーナは妖精ですが、私は人ですから……」


「私より、タクトの方がよっぽど、人外ですけど……」


フィーナは、否定こそしていないが、こちらを見てそう答える。


こうして、馬車の改造もひと段落つき、再び馬車に乗り込むと王都へと出発した。


「それにしても、いざ乗ってみると、感動すら覚えますな……揺れは少ないし、心なしか、馬車の速度もあがっているような……」


「この馬車は、もうすでに国宝級ですよ」


「それは、言い過ぎです。この方式は、昨日鍛冶職人に教えた車椅子と同じですから、また次回お邪魔したときにでも、職人に量産出来るように教えますよ」


「本当ですか?」


「ええ。私は()()()()()()()()()()、嘘は申しません」


カイル王子とザバル男爵は、あっさり技術や知識を教えると言ったことに、驚き感謝をした。


今まで、発言を控えていたフェルムも「見てください。アイラなんて、失礼ですが、寝てしまっているのですから……」乗り心地に満足した様子であった。


仲良く寄り添う二人を見て、フィーナは、羨ましそうな顔をしていたので、俺は窓の外を見て誤魔化していた……


そんな感じで、暫く経つと、前方に王都を囲む高い壁と立派な門が見えて来た。



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