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異世界魔刀士と七変化の眷属   作者: 来夢
第2章 インレスティア王国編
28/203

第27話 会合

―― ザバル男爵 屋敷 ――


翌朝…………


今朝も、よく晴れていて、風も穏やかに吹いており、絶好の練習日和だったので、俺たち二人はザバル男爵の許可を得て、アノースに来て始めて、剣の練習をする事にした。


なぜ、屋敷の庭を選択したかと言うと、庭は結構広く、芝生が敷き詰められて、最高の環境だったからだ。


まずは、怪我をしない様に、入念にストレッチを行い、屋敷の周りを何周かした。


それから、ゆっくり竹刀を振りながら、剣舞の二刀での10連続攻撃の型を作り、色々な構えから身体に覚えさせていく。


『ボクシングでいう、シャドウーだな……なかなか難しいや』


「流れる様な刀捌きは、洗礼されるともはや芸術ね!」


「それは、褒め過ぎだよ。しかもまだ型も完成していないし。スキル剣舞を迷いなく使いこなしたいから、どれが効率的かやってみなくちゃ分からないしね」


「じゃあ、型が出来たら、私も覚えたいから、また教えてね」


「了解だよ」


フィーナは、俺と同様の剣舞の型を覚えたいみたいで、真剣な面持ちで練習を見ていた。


ある程度の型が決まると、水分補給の為に、庭にあったベンチに腰掛けると、フィーナは急に思い出した様に喋り始める。


「そう言えばタクト。子狐丸の刀スキルなんだけど、人間相手だったから、試せていなかったでしょ。試してみたいから、手伝ってもらっていい?」


「そう言えば、そうだったな。エクステンションだったっけ。意味合い的には刀が伸びるはずだから、そうだなー、ここに温泉作る時に取ってきた岩を出すから、それに向かって、刀を振ってもらってもいいかな?」


「とてもいい考えね。それじゃ、そうするわ」


岩をアイテムボックスから取り出し、刀の伸びる範囲を5mと想定して距離を取ると、フィーナの横に立つ。


「それじゃ準備が整ったから、そうだなー。半身から横一線に振りぬいてみてくれないか?」


「分かった。やってみる」


フィーナはそう答えると、刀に手を掛け、居合いの様に構えて刀を一気に振り抜く。


「シューバッ」


いい音で風を斬る音がすると、刀はムチの様に徐々に伸びて行き、最後には、岩を真っ二つに斬り裂いた。


その結果に、お互い顔を見合わせ、互いの反応を見た。


「流石神器ね……出鱈目な性能だわ……」


「このスキルも、対人戦は封印だな……」


「そうね……」


「それじゃ、もう少し鍛錬するよ」


「そうね、私も一緒に体を動かすわ」


それから、フィーナと一緒に、対人用の型のイメージを作り練習をしていると、騎士長のゴルさんが、こちらに歩いてくる。


「おはようございます。朝早くから剣の鍛錬とは感心ですな!私も見学させて頂いて宜しいですかな?」


「別に隠す必要はないですから、構いませんよ」


そう言うと、先ほどから練習をしていた、剣舞の型のおさらいをし始める。


上段から袈裟斬り⇒手首を返して銅を放つ⇒刀を少し下に降ろして、上段へ斬りつけ⇒半周して……


色々な型を集中して練習する……


「それにしても、美しいですな……まるで隙がない……それに、一振り一振り魂がこもっている。これでは私たちが敵わぬ訳だよ!」


ゴルさんは、目を輝かせてそう言うと「ひとつ、私と手合わせ頂くわけには、いかないであろうか?」と、体がうずうずしてきたのであろうか、そんな提案をしてきた。


「構いませんよ。昨日は相手はフィーナでしたし、王国騎士長としての腕前も拝見したいですしね」


「そう虐めないでくださいよ。操られたとはいえ、フィーナ様に手も足も出なかったのですから」


「まぁ、そう仰らずに。それでは、私の国には剣道と言うのがあるので、怪我をしない様に、その道具をお貸ししましょう」


フィーナは、自分の使っていた竹刀をゴルさんに手渡すと、ゴルさんは竹刀を受けとり、感触を確かめるように、上から下へと一振りした。


「これは、かたじけない。ついつい礼を言う前に、振ってしまったわい」


「お気になさならくても、宜しいですよ」


「ゴルさん。準備が出来たら合図してください」


ゴルさんは、頷くと竹刀の重心や長さなどを確かめるように、何度か素振りをする。


「こんな感じか。では、お願いします」


「フィーナ、始めの合図をお願いしてもいいかい?」


「いいわよ!」


「それでは、お互い構えて!」


互いに礼をし中段に構える。


「それでは始め!」


ゴルさんは、こちらの出方を見ているようだったので「隙あり!」と言い、瞬時に間合いを詰めると、ゴルさんの持っていた竹刀を巻き取ると、竹刀が空中に飛んでいった。


「カラーン」と音が鳴り、竹刀が地面に落ちると、ゴルさんとフィーナは、何が起こったか解ら無いようで、口をぽかんと開けたままだった。


「…………今、私は何をされたのでしょう?」


「隙をついて、剣をこんな具合で巻きこんで、剣を飛ばしただけですよ」


落ちた竹刀を拾い上げ手渡すと、ゆっくりと、何をしたのか説明をする。ゴルさんは驚きの表情をしながら、真剣に話を聞いていた。


『久しぶりに、やってみたけど、うまく行ったな。普通は、相当な実力差がないと出来ない技だけど……』


「油断はしていなかったんですが……もう一度……もう一度お願いします!」


それから、何度も打ち合いはしたが、結局ゴルさんは、一度も、一本どころか、体に触れる事さえも出来ず……


「参りました……」と言って膝をつき、息を整えていた。


フィーナは、汗を拭くタオルをゴルさんに渡すと、ゴルさんに聞こえない程度の小声で「タクト、素敵だったわよ」と笑顔をくれた。


そんな甘い言葉を掛けられると、照れながら「ありがとう」と返事をすることしか出来なかった。


「さて、お腹も空いた事ですし、そろそろ食事にしましょう。立てますか?」


「はっ…はい……」


手を差し出し、ゴルさんを立たせると、申し訳なさそうな顔をしていた。


『ゴルさんも、こんなに自分の剣が通用しなかったのは、始めてなんだろうな。そうとう、疲労困憊(ひろうこんぱい)しているみたいだな』


少しやり過ぎたと思い、申し訳ない気がした。



※ ※ ※ ※ ※ ※ ※



玄関の入り口に置いてある、クリーンの魔法のマットで全身をスッキリさせ、ザバル男爵の屋敷内に入ると、王子を始めとし、屋敷にいる全員が整列をしていて「おはようございます」とこちらに向かって挨拶をされた。


少し引いてしまったが「おはようございます。って、これはどう言う状況ですか?」と聞くと、どうやら昨日の衝撃が、まだ従者達に残っていて、感謝の意味も含まれている事を、食堂に向かいながら王子が説明をしてくれた。


それから、朝食を食べると、カイル王子に今日の予定を聞かれたので、特に予定は無いと答える。


「それでは、今から会議を始めるとしようか?」


「お願いします」


そう答えると、全員で会議室へと移動する。


余談だが、今日のパンは、昨日教えたパン酵母入りのパンが出てきて、フィーナとフェルムも、今回は何も不満もないようで満足していた様子だった。


会議室に移動をし、全員が着席をするとカイル王子が喋り始める。


「それでは、昨日話をしたとおり、今日はタクト殿が話しがあると言う事なので、聞いてみようと思うのだが、タクト殿は今からでも宜しいですか?」


「はい、是非お願いします」


「……では、話を聞きましょう」


俺は、立ち上がり説明をし始める……


「まず、今の状況から説明をいたします」


神界から無人になった島へと転移した話から、フェルムとの出会いの経緯、そしてアイラの事を追って、この地へ来た事を話した。


「なるほど、そう言う経緯(いきさつ)でしたか。それで、この先どうしたいと、お考えになるのですか?」


「私といたしましては、出来る事なら、今お話した島を譲渡して頂きたいと考えます」


「と申されますと……」


「実は、あの島を譲渡された暁には、あの島を拠点として、まずこのアノースに科学や知識などを学べる、都市にしたいと考えています。失礼ですが、私のいた世界の方が優れた文明だと、そう解釈をさせていただき、この計画を思いついたのです」


「確かにあの飛空挺を見る限り、アノースの文化が劣る事は認めよう。しかしながら、もう少し具体的に教えていただきたい」


「はい。あの島にはバベルの塔と名付けた、神様からいただいた、塔があります。そこで、そのバベルの塔は地上3階建てになっておりますので、各階特徴のあるフロアにしたいと考えているのです」


「島に神様が創った塔があると!すまぬ。口を挟んでしまった」


「いいですよ。塔の3階にまずは、各国の領事館を作りたいと思います。各国平等に知識や技術が行き渡るように、考えた結果です」


「なるほど。この世界も似たような施設がある。外交は大切だからな」


「そのとおりです。では、次に2階に学校と研究施設を建てたいと思います。先ほど話をしましたが、学校では、各国から教員を育てる事から始め、研究施設に於いては、このアノースにある素材や魔法などの検証を含めた施設にしようと考えています」


「まるでポリフィア王国がやっている事と同じだな。あの国は魔法の研究が盛んではあるが」


「そうなんですか。それは少し興味がありますので、また訪れた際には是非見学をさせて貰いたいです。それでは、最後に1階ですが、2階の研究施設などで開発された物を実験的な意味を含めて、売り買い出来るショッピングモールを作ろうと考えています」


「素晴らしい提案ですね。しかしながら、元からいた島の住民はどうされるつもりですかな?」


「はい、塔の周りに町があるのは、先ほどお話しましたが、まだ、今の所は町はそのまま手付かずの状態です。これは、元住民の皆様の意見や同意をもらわなければならないのですが、区画整理を行いながら、元住民の皆様には随時新しい住居を無償提供いたしますのでそちらに引越しをしてもらい、元からある農業、牧場、などに加え、新しい職を提供したいと考えています」


「しかし、農地や牧場を半年も放置となると、新しくやり直すとなれば、いくら土魔法を利用したとしても、中々難しいのではなかろうか?」


「流石領主様だけあって、ご指摘が素晴らしいです。実はこれら農作物や飼育についても、やはり、私のいた地球の方が、栽培方法から飼育の仕方まで、遥かに発達していますので、農法などを、様々な分野を教える予定にしております」


「それは凄い!異世界はその様な事まで、研究されていると言うのだな」


王子もザバル男爵も、立ち上がり驚きを隠せない様子であった。


「はい、更にお話すれば、バベルの塔で研究した物や、製品は自由に各国に持ち帰ってもらい、国の活性化に役立てて頂きたいと考えます」


「報酬は、いかが考えて、いらっしゃるのであろうか?」


「まだ、報酬は考えていません。無料で結構ですよ。それに、まだまだ、考えはあるのですが、まずは、島の事から始めないと何事もできませんし……」


どれだけプランを考えたとしても、縦に首を振ってもらわないと、机上の空論であると説明した。


「タクト殿の考えは分かったのだが無料だけはやめておいた方がよい。なぜなら、このアノースの国々には、商業ギルドと言う団体が存在していて、折角タクト殿が考えて作られた物も、無関係な誰かが登録してしまう可能性もある」


「うむ。そうですな。そうすれば、莫大な金が知らない人間に流れるな」


「なるほどです。これについては、また改めてお話しましょう」


「そうだな。それがいい……それでは話しを元に戻すが、恐らくタクト殿が言われている島とは、ラッフェル島の事であろう」


「そうですな。あそこの住民なら、今は王国の近くある難民村にいるはずです」


「ラッフェル島は、王都から離れている上に、小さな迷宮しかない島だったので、私としては問題ないと考えます。が、しかし決めるのは私ではなく、父である国王が決める事。したがって、今すぐ返事とはいきません。交渉材料として、何か具体的な物がなければ、絵空事で終わらされるかもしれません」


王子は、そう申し訳なさそうに答えたのだが、まさしくそのとおりだと思う。


「それでは、その具体的な話をしましょう。もし島を譲渡していただけるなら、飛空艇を謙譲しようと考えていますが、いかがでしょうか?……国王陛下への交渉材料として足りませんか?」


「ほっ・本当ですか!?」


「無論ですよ。これから、友好関係を築いていかないといけませんし、これから何機か作り空路での輸出入も考えていたので、私といたしましては、充分にメリットはあると考えています」


「そこまで考えていらっしゃるとは……分かりました。必ず私が説得して見せましょう」


「ありがとうございます」


「それと、少し気になるのですが、堕天使の事なのですが、狙いがまったく見当がつかないのですが、心当たりはありますか?」


「恐らくは、封印を解く為ではないかと思われます……」


「封印とは……一体なんなんですか?」


「古き言い伝えによると、この地には七つの祠があり、その封印を破ると(いにしえ)に封じられた、何者かは分かりませんが、何か良からぬ者が、復活をすると言い伝えられています。堕天使に操られていた時に聞いたのですが、その封印を破るには、勇者の力が必要だと……」


「フィーナ、何の事か分かるかい?」


「断定は出来ないけど、今の神様じゃない時に、封じこまれた何かかな?私じゃ分からないわ。でも今の話の流れから言うと、その時代の勇者が封じたんじゃないかしら?だから勇者の力が必要だと……」


「そっか。同じ答えに辿り着いたよ。その推測で間違えはないだろうな……カイル王子に質問なんですが、封印は現時点でいくつ破られたのかご存知ないでしょうか?」


「……王室典範には、500年前に、何者かによって封印が二つ破られたと書かれていました。なぜ今になって堕天使が動き始めたのかは分かりませんが、次に向かう祠は、勇者の力と古の竜の力がいると言っていました……」


「ようやく繋がりました。だから勇者とフェルムを欲していた訳ですね」


「……恐らくは」


「それにしても、なぜ、フェルムとアイラがいた村を、狙ったんでしょうか?そこだけが謎なんです。

フェルムの話だと、フェルムがいた時に、村人の洗脳は始まったんだとして、つまりフェルムが、古の竜をテイムする前の話なんですよ。時系列を考えると、そこだけが理解不能なんです」


「これは推測なのですが、あの村の近くに封印の祠があるのです。あの村を拠点とするのに、乗っ取ろうとしたのでは、ないでしょうか?」


「なるほど、それが濃厚ですね」


「後は、どうやって洗脳をしているのかは、分かりませんが、恐らく一気に洗脳するのではなく、徐々にしていく感じで、その時に、何らかの情報でフェルム殿の事を知り、アイラさんを盾に古の竜を奪おうとしたのではないでしょうか?」


「なるほど、謎は全て解けました。しかし、アイラが射られた矢に呪いとは……姑息な真似を考えましたね……しかし、その推測が正しいとなれば、今でも村人は操られている可能性があると言う事ですね」


「それが濃厚だな」


「一度、手掛かりを探す為に、その村を訪れないといけないかも知れませんね……」


そう話をしていると「ガタ」っと音がなり、音がした方向えお見ると、アイラが真っ青な顔をしていた。


「私を、助けて頂いた上に、村人までお願いするなんて、厚かましいとは思いますが、あの村は、私の故郷なんです……村人全員を助けて欲しいなんて、都合のよい願いとは存じますが、どうか、ご検討頂きますようお願いします」


「私からも、お願いします」


「分かったよ、近いうちに寄って助けると約束するよ」


「ありがとうございます」


フェルムとアイラが礼を言い、アイラは素早く頭を45度下げる。


『アイラよ。その完璧なお辞儀といい、話し方といい、おまえはどこの、敏腕ビジネスマンだよ!』


そう、心の中で突っ込みを入れるのであった……





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