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異世界魔刀士と七変化の眷属   作者: 来夢
プロローグ
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第2話 プロローグ2

―― とある・場所 ――



死んだと思った瞬間、目の前が白く光り、真っ白い何もない空間に横たわっていた。


「――――!ここは何処だ!ひょっとして、これが死後の世界?」


夢か現実か分からないので、上半身を起こし、お約束どおり頬をつねってみる。


『あっ痛くないや。こりゃ夢だな。ひょっとして死んだというのも夢なんじゃないのか?』


しかし、夢にしてはリアル過ぎで目を擦ってみても、もう一度周りを見渡しても、そこは何も無く、ただ白い空間が永遠に続くであろう空間であった。


『夢にしてはリアル過ぎる。夢だとするならどうやったら目覚めるんだ?』


取り敢えず、夢ならもう一度寝れば、現実に戻るかもしれないと思い、寝そべろうと体を傾けると、後ろの方角から声が聞こえてきた。


「これこれ、そこで寝ても無駄じゃよ。ようこそ神界へ」


声がした方向に振り向くと、白の足元まで伸びるワンピースを纏う、神々しく薄っすら光る老人が、少し呆れた顔をし、手を広げて立っていた。


「驚いたか?タクトよ。ここは天界への入り口で話す場所ではないので、落ち着いて話しやすい場所に移動するとしよう。付いてまいれ」


老人はそう言うと、何もないその白い空間を、ゆっくりと歩き出した。


『なんで、名前知っているんだろう?そっちの方も驚いたんですけど』


そう思ったが、質問をする暇もなく、老人は杖で床を「コン・コン」と2回叩くと、よくアニメで出てくる様な魔法陣が老人の足元に現れた。


「それでは、この魔法陣の真ん中に入るがよい」


このまま、この空間に残されていても、困るので理由(ワケ)もわからないまま、老人の言うとおり、魔法陣の中央に歩いて行き、中央あたりに立つ。


すると、老人は杖を頭の上に掲げると、魔法陣は眩い光を放ち、目の前が白く全体に光った。


いきなりの眩い光だったので、瞼を無意識のうちに閉じていたが、なんとなく目の力を抜き、瞼ごしに眩い光が収まった事を確認すると、ゆっくりと目を開いてみると、今までいた白い空間とはまるで違い、恐らく転移したのであろうか、空中庭園の様な場所の中庭に転移していた。


太陽も無いのに明るく雲のない青空、空に浮かぶ島々、神殿の様な建物、そして綺麗に刈りそろえられた芝生、様々な色彩をして咲き乱れる花々、どれをとっても、ここは俺のいた世界ではない事が分かる。


俺は驚愕しながらも、落ち着く為に深呼吸をして、周りを見渡し終えると、漫画やアニメ基準ではあるが、現実ではありえない光景に目を奪われ、何も言葉を発することが出来なかった。


老人は、俺の肩をポンポンと叩き、


「どうじゃ、驚いている様ではあるが遠慮はいらぬ。そこの椅子に腰掛けたらどうじゃな」


と神殿のバルコニー?に設置されていた、白いテーブルと椅子の方向に手をやり、優しくそう言って手を差出し、椅子に腰掛けるように促された。


固まっていた俺は頷き、周りを少し確認しながら、老人が用意してくれてあった椅子を引き、「失礼します」と、まるで面接のように、ゆっくりと腰掛けた。


老人も椅子に腰掛け、テーブルに両肘を付け祈るように手を組み、ゆっくりと喋り始めた。


「さてと何から話すべきか。そうじゃなまずは自己紹介をしよう。ワシは、この世界の管理を任されておる最高神ゼフトと言う者じゃ。簡単に言えば神と言えば、理解してくれるかのう」


「――――!か…か…神様!」


イメージどおりなので、予想はしていたのだが、いざ自分の前に現実として目の前に居ると、驚くなと言う方が無理である。


「そう驚いたり、緊張せんでもよい。お主の事なら死んでしまっていたからのう。無断で申し訳ないが、名前を調べる為に、勝手に記憶を読ませてもらったので、ある程度の事なら知っておる」


何が起こっているのか理解出来ないので、落ち着く為に深呼吸をして、神様に対して失礼の無いように、言葉を選び、なぜ今こうしてここにいるのかを質問する事にした。


「最高神様とは言い難いので、失礼に当たると思うのですが、神様とお呼びしても宜しいですか?」


「うむ。構わぬよ」


「ありがとうございます。それで早速質問なのですが、ここに神様がいると言うことは、やはり私は死んだということなんでしょうか?」


「うむ。お主は事故で建物の上から落下して、死んでおる」


これも予想どおりであったが、もう生き返れないと思うとなんだか、絶望感が沸いてくる。


「それで、神様が、私に一体どの様な、御用なのでしょうか?」


「実はな、ここはタクトのいた世界の神界と、現在このワシとタクトのいる神界とは違うのじゃ」


「??? おっしゃる意味が理解できないんですけど?」


「そうじゃのぅ、分かり易く言うと、地球と言う科学文化が発展した世界の神界と、現在ワシとタクトのいるアノースという魔法文化が発展した世界の神界の違いじゃ」


「えっ!魔法陣が出てきたから、まさかとは思いましたが、魔法文化の世界ですか?」


どうやら、俺のいた世界の神様とは違い、目の前にいる神様は、魔法文化が発達した世界の神様みたいだ。


「神様どうしの会議が行われた時にな、地球の最高神であるアイリーン殿が、あまりにも地球の事を自慢するんで、この神界の女神であるアリーシャと共に地球に視察に行ったのじゃ」


「神様が視察ですか?」


「うむ。ワシとアリーシャは、最初は興味半分、冗談半分で、地球に行ってみたら、予想を遥かに超えておっての、地域差はあるものの、交通、食文化、建築技術、娯楽など、全てにおいて、地球、それも、お主のいた日本の文化の方が、こちらの世界よりはるかに優れているのを知ってしまたのじゃよ。さっきのお主の様に、絶句してしまったわい……」


神様はそう言うと、少し微笑んだ。


『神様でも絶句するって……どんだけ凄いんだよ日本の文化は……だけど、魔法文化って俺の想像してる世界よりも、文化が遅れているんだろうか?』


「そこで、タクトに頼みがあるじゃが、取り敢えず聞いてから、判断してくれても構わない」


「は…はい……」


「地球で死んでしまった、お主に新しく、今の魂だけではなく、正真正銘の新しい器である、肉体を与えるので、この世界の地球によく似た星である、アノースに行き、この世界の住人である人々と共に、文化の発展と安寧を、導いてくれぬであろうか?」


あまりにも、突然なその提案に、頭をフル回転させ考えたのだが、答えが見つからず、より詳しく状況が分からないと、返事が出来ないと思ったので、質問を質問で返す。


「私がですか?内容が壮大な上に、大雑把過ぎて、何が何だか、さっぱり分かりません。それにあまりにも唐突過ぎて、頭が追いつきません」


「それは、そうであったの。ワシも端折り過ぎてしまったわい。それでは具体的な話をするとしよう」


「そうしていただけると助かります」


「タクト……この世界に。お主の持つ科学の知識を用いて、この世界の魔法文化と融合をさせて、発展させてはくれぬか?」


その神様の言葉を聞いて考えた。もし仮にラノベや漫画の様に、異世界に行ったとして、いったい、自分一人で何が出来るのであろうかと…………


しかも、そこは魔法の世界……どこかの主人公の様に、正しい選択をして、本当に神様の期待に応えられる、器なのであろうか?


「私で良ければ、構いませんが、なぜ私が選ばれたのですか?私なんて、別に大した人間ではないですよ」


結局、考えが纏まらぬまま返事をした……なぜなら、俺の感覚では、たった数十分前に死んだ身だったからである。


「それじゃがのう まったくの偶然じゃ……本来ならば、地球での魂は、地球で輪廻を繰り返して、転生するのだが、たまたま偶然、お主が空から降ってきたのじゃ」


『たまたま偶然って……少し残念だけど、選ばれたわけじゃないのか……』


「死んでしまった、お主の魂を浄化させようと、名前を調べる為に、アリーシャがお主の亡骸に触れ、記憶を読み取ったのじゃ。そしたら、こちらも偶然じゃが、お主の記憶の中に、地球の科学文化の記憶や知識が豊富な事が、分かってのう。勧誘(スカウト)しようとして、今に至る訳じゃ」


『それで、死んだと思たのに、ここにいるのか……』


「もし、断ると言うのなら、タクトを、この世界に連れてこようと熱望したアリーシャは、悲しむだろうが、地球の輪廻の輪に返そうではないか」


『せっかく、神様がくれたチャンスを、無駄にはしたくないな……』


だが、先ほども考えたのだが、一人で異世界へ行って、いったい何が出来るのであろうか?俺は、神様に確認をする為に、聞いてみる事にした。


「しかし、私は魔法は使えません。仮にこの世界を異世界と呼ぶとして、その言葉も知識も……」


「そこは心配せずとも良い。アノースに於ける基礎知識、魔法知識を教える、ワシの眷属であった妖精を、お主の眷属として授けようではないか」


神様はそう言うと、笑みを浮かべる。


「ありがとうございます。それと質問なんですが、これは転生と言う事でいいのでしょうか?」


「本当は転生の方が自然なのじゃが、今回は転移と言う形をとろうと思う。今から赤ちゃんから始めるのには、時間がおしいのじゃ。魂の器である肉体は、ワシが責任を持って強化し、似たように復元しよう」


『強化?まぁいいか。おそらく魔法が使えるようにしてくれる程度だと思うし……それに、確かにラノベの転生系の様に、赤ちゃんからやり直すのは正直面倒だしな……それに、今の俺は、肉体はなく魂だけなのか……どうりで頬をつねっても痛たくない訳だよ』


「それから、もう一つ頼みがあってのう、聞いてはくれぬか?」


神様の頼みとは、簡単に言うと、この世界には人を含めた4種族と、それに敵対する魔人族がいて、魔人族は人間や亜人よりも、力も魔力も強いので、犠牲者が後を絶たないと言う話であった。


勿論、ファンタジー世界でお馴染みである、モンスターの存在もあるそうなのだが、こちらの方は町や森に結界が張られている為、被害は意外に少ないようだ。


「それにしても魔人族ですか?厄介そうですね」


本来なら魔人族は、群れることはないのらしいのだが、影でどうやっているのか、神様でも分からないみたいだが、魔人を纏めようとする者がいるらしく、それを調査して、必要とあらば解決してほしいと言う内容だった。


『魔法には興味あるし憧れもある、それに現代知識が役に立つならそれもいいかな……』


「分かりました。せっかく、神様に頂いたこの命、神様の要望に応えられるのか、分かりませんが、出来るだけ実現出来る様にがんばります」


「では行ってくれるか?」


「はい!」


「それでは、さきほど話した妖精を今から呼ぼう」


神様が杖を掲げ、召喚魔法を唱えると、魔法陣が現れ光の中から一人?の妖精が現れた。


「それでは、お主が名を付けるのじゃ。そうする事によって、お主の正式な眷属になる」


そう言われたので、少し考えて、妖精ぽい名前を考えだす……


妖精は15cmくらいの大きさで、髪の毛の色は白金でポニーテール、、目は茶色、若葉色のワンピースが良く似合っている。


『小さいけど、えらく美人な妖精だなー。日本人ぽくない名前じゃなくて、んーそうだな。フィーナなんてどうかな?』


「君の名は、フィーナと言うのはどうだい?」


すると妖精は、神々しく大きく光り「フィーナね!素敵な名前ありがとうね」とにっこり微笑んで、こちらを見た。


「わ…私の名は、タクトといいます。これから宜しく……です」


フィーナは、妖精で小さいのは当然だが、あまりにも美人なので狼狽をしてしまい、少し噛みそうになる。


「こちらこそ、この先色々あると思うけど、末永く宜しくね」


末永くとか、なんだか夫婦になるみたいな言い回しで、嬉しそうに言うと羽を広げると、俺の肩にゆっくりと舞い降りた。


「神様、こんな私を、この世界に呼んでくれた女神様に、転移する前にどうしても、お礼を申し上げたいのですが」


「それがじゃの……アリーシャは、地球の神にタクトの魂を、こちらの世界に連れて行ける様に交渉中じゃ。またいずれ会う機会もあるじゃろうて」


「そうですか……それは残念です。では、私が感謝していたと、お伝え願えないでしょうか?」


「宜しい、約束しよう。それでは、そなたに、新しい器である肉体を与え、転移させるとしよう。転移後は、こちらの世界のことはフィーナに聞くとよい」


神様はそう言うと、杖で床を「コンコン」と2回叩くと魔法陣が現れた。


「言い忘れておったが、特別に異世界転生者のタクトには、死んだ時、身に付けていた物を再生し、荷物、この世界の地図、アイテムボックス、特別なスキル、今まで培った、剣術のスキルを与える。後は向こうに着いてからのお楽しみじゃ。それでは、タクトとフィーナよ後は頼んだぞ!」


「はい!」


そう俺たち2人は返事をすると、先ほどと同じく、神様は転移魔法陣を展開をした。


フィーナを肩に乗せたまま、魔法陣の中心へと歩いて行くと、魔法陣は真っ白に光りだして、目の前が真っ白になると、俺は再び気を失った。

読んで頂いてありがとうございます。

よくある異世界転生の話の展開ですが、色々な物を作り、そして色々恋をしたりして、オリジナリティーを出していこうと思いますので、最後までお付き合いしていただけたら幸いです。


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