だましあい
きた。
目の前にイケメンがきたわ。初めての合コン。どきどきだったけど、今、もっとどきどきしてるわ。
一週間前に加奈からイケメン揃いだって聞いて、参加者を募るための口実だって疑った私を背負い投げしたい。
来てよかった。
さっそく自己紹介よ。
「さくらです」
「雄太です」
あれ?なんか、声が高い。男なのに可愛いのね。母性本能くすぐられちゃう。
「趣味は何ですか」
「スノボです」
やだ、かっこいい。すっかり見入っていると、雄太の横の啓介が言った。
「こいつ、スノボとか言ってるけど、料理の方がうまいよ」
「えっ」意外!料理男子?意外性がさらに高感度アップップ!
「得意料理は何ですか」
「や、そんな作んないんで」
照れた顔も素敵よん。そこで啓介がまた口を挟む。
「こいつ、風のうわさで小、中、高って料理系の部活やってたって聞いたけど」
「え!」やだ、もこ●ちみたい!素敵すぎて困っちゃう。
その後も、ちょいちょい盛り上がって、なんと私は雄太と二人で二次会へ。
「さくらさんって、空手やってたって聞いたんですけど意外ですよね」
「あ?」
思わず素の声が出てしまった。
「あれ?意外と声低いね、びっくりした」
「風邪ひいてて。雄太さんも料理が得意とか、女の子みたいですね」
「えっ」
雄太がまさに女の子みたいな声を上げた。
「やだ、なにその声、かわいい」私が笑うと雄太が俯いて笑った。可愛いすぎる。
「家まで送るよ」
「え?いいの?」
なんだかいい雰囲気。そのまま私のアパートへ。
数時間後、私のアパートで男女二人が絶叫した。
決して夜の営みによるものではない。まさに恐怖によるものだ。
二人の声と見た目が逆だったのはある意味奇跡かも知れない。