#82天皇の一日
俺の1日は、けっこう忙しい。まず、朝起きて、すぐに執務室に入り、来ている書類に目を通し、
その後は金などの高価なものを取り寄せて国家収入にしている。ちなみに、これが日本皇国の
収入のほとんどなので、現代と比べてそれほど税も高くない。取り寄せ能力、様様だな。
そして、午後からは週一で行われる報告会議に出席し、今後の方針などについて大臣たちと
話し合う。今日もまた、報告会議だった。
「これより、第8793回定例報告会議を始めます。それでは、国土交通大臣からお願いします」
その、総理大臣の一言で会議が始まった。一応、日本皇国にも総理大臣がいるが、政治に関わる
権限はほとんど持っていない。ただ、大臣たちを束ねるだけの存在だ。
「はい、現在、国土増産計画は順調で、既に利用可能領土は700平方km増えています。
国道の建設も着々と行われています」
国土交通大臣は、そう報告した。何しろ、使える領土が増えることは良いことだな。それに続き、
他の大臣たちも続々と報告する。
「現在、3等領土の住民の戸籍登録が完了しました」
「3等領土への学校建設が完了し、無事に現地住民の入学が完了しました」
「3等領土の駐屯地建設も進んでいます。今のところ国内での目立った動きなどはありません」
そんな風に次々と報告してくる。その報告は、ほぼ分かりきっていることばかりなので、
聞く意味はあまりない。俺も聞いているふりはしているが、この会議なくてもいいのじゃないかと
常々思う。
「では、引き続き、実行している計画や、活動などを行うように」
基本的に、この一言を言っておけば、会議は片付く。日本皇国の現状は、平穏だからな。
「はい、かしこまりました。」
「これにて、第8793回定例報告会議を終わります。一同解散」
会議が終わった後は、またもや取り寄せをする。さっきは、主に収入だったが、今度は、
何かするのに必要なものが発注リストのように届く。俺はリストに書いてある品物を取り寄せ、
それをまた届ける。これ、現代だったらぼろ儲けできるな。
ちなみに、現在の計画で中心となっているのが北海道への進出だ。やはり、本州から海で
隔てられていることや、向こうの気候が冷帯であることで日本皇国の国力でも、今までのように
短期で領有化することは難しいだろう。