表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
79/86

#78講和条約

そのころ、日本皇国はサチ国の首都とその周辺以外を占領していた。

しかし、そのことに国王は疑問に思っていた。


「なぜ、首都を占領しないのだ?」


首都を占領すれば、日本皇国の勝利は確実になる。それも今は容易に行えるはずなのに、

占領地の統治を始め、攻める様子は全くなかった。最初は兵糧攻めをするのかと思ったが、

そんなことでもないようだ。


ミエは責任のためか、補佐官を辞め、どこかへ行ってしまった。国力の激減したサチ国に成す術は

なかった。


「国王陛下、日本皇国大使が国王と謁見したいと」


突然、そんな知らせが国王の元へ届いた。


「日本皇国大使、と言うと宗像か。いきなり何の用だ?」


国王はそう思ったが、大使を通すように言っておいた。しばらくすると大使の宗像が現れた。


「再びお目にかかれ光栄です。今日は貴国との講和の件でお話に参りました」


「講和・・・・だと?まあいい、話を続けろ」


それは驚きだった。まず、何故この時期に講和なのだ?それに講和などしなくてもさっさと

この国を潰せばいいじゃないかと思ったが、おそらくこちらには好都合なので引き受けることにした。


「はい、時間もないので条約の内容を一気に読み上げますね」


そう言うと、紙を取り出して、それを読み上げた。


「1、両国は戦争を放棄し、国交を正常化すること。

2、両国は相互不可侵を認めること。

3、日本皇国は占領地から撤兵し、占領地を解放すること。

4、サチ国は日本皇国に彦島を割譲すること。

5、サチ国王家の王女を日本皇国へ引き渡すこと。

これで以上です。では、嬉しい返事を期待しています」


そう言うと宗像はすぐさま去って行ってしまった。


「・・・・・」


国王はもはや言葉も出なかった。まず、1条と2条には異論はない。講和条約として当たり前のことだ。


だが、3条は意味不明だった。それはせっかく日本皇国が手に入れた占領地を解放するというものだ。

日本皇国から見れば明らかに損だ。こんなことしても全く得がない。相変わらず、

日本皇国の考えていることは分からない。


次に4条。これは敗戦国として当たり前のようなもの。彦島が日本皇国領になれば、租借料はなくなり、

サチ国は大損害だ。しかし、その要求も受け入れなければいけない。


最後に5条。これまた意味不明だ。それは、王女などを人質にとってどうするのだと思ったからだ。


結論を言うと、この条約も受け入れるしかない。今回の戦争で日本皇国との力量の差を思い知ったからだ。


こうして、日サ講和条約が結ばれた。しかしこれによって、サチ国は後に滅亡の一途をたどることになった・・・・



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ