#72襲撃、開戦
この日、サチ国からの極秘の作戦が実行されようとしていた。
それは、彦島の倉庫を襲撃しろ、という命令だった。
その命令を実行すべく、この彦島に兵士たちが集まっていた。
「何だか、緊張するな・・・」
「ああ、こんなこと、本当にできるのか不安になってきたぜ」
そんな会話をしながら彦島の道中を歩く。兵士の格好をしていたら怪しまれるので、
一般人の格好でいる。武器はと言うと、入国する際に手荷物検査があるので、持ち込むことは
できない。現地で調達するつもりなのだ。
「あそこが倉庫か・・・」
「思った通り、警備は手薄なようだな」
警備が手薄なのには訳があった。彦島は全域が商業区なので、軍事施設より警備はあまり
必要ないのだ。警察官も、街中のパトロールの方が優先されているので、そこまでは手が
回らないのだ。
「で、武器はどうする」
「これとか、武器になるんじゃないか?」
そう言って見せてきたのは、建物の脇にあった鉄パイプだった。鉄で出来ているため、
非常に硬く、十分な凶器となる。
「それはいいな、よし、やるか」
仲間たちはそれを手に取り、ついに、倉庫を襲った。先ほどまでの緊張は、優れた凶器により
解れていた。現場は騒然とし、集団で襲われた自衛隊員は成す術もなかった。
結果、数名の死者、または重体が出た。同時に、倉庫内の食料や武器も奪われてしまった。
襲撃事件の次の日、サチ国は日本皇国に宣戦布告。戦争状態に入ったことで、日本皇国の憲法
により、自衛隊は軍に変わったので日本皇国も宣戦布告した。
戦争のために、日本皇国中の自衛隊員が、ガレオン船で九州に派遣された。
こうして、日本皇国とサチ国の戦争、日サ戦争が始まった。
サチ国の総兵力は3万人。対して日本皇国は1万5000人。サチ国は徴兵を行い、かなりの兵を
集めていた。サチ国の方が兵の数では勝っていたが、日本皇国の技術力はずば抜けていた。
この時代では、あり得ないほどに。
サチ国の主戦力はクロスボウ。サチ国はこの武器が最強だと、過信していた。
しかし、それには無理もなかった。日本皇国のクロスボウは10世紀頃の技術レベル。
これでもかなり進んでいるが、日本皇国はそれを越える武器を持っていた。
それは銃。日本皇国の銃は19世紀頃の技術レベルだったのだ。
これから分かる通り、いかなる戦術を以ても、サチ国の敗戦は決まっていた。




