#6神の証明
とりあえず村人を従えられたので、いろいろと命令を出す。
「まず、私が寝るための寝床を用意しろ」
「すぐ用意します」
「それと、この村の長老は誰だ」
そう言うと奥から老人が出てきた。
「私が長老です」
「今日から私が村長だ。この村のことは全て私に任せろ」
「分かりました」
俺が神だと分かった途端聞き分けがよくなる。別に都合がいいので気にすることはないが。
「弓削天皇、用意できました」
そう言われ見せられたのは典型的な竪穴式住居。まあ今の文明レベルではこれが限界だしな。
中にはご丁寧に藁でできた布団が敷かれている。とりあえずそこに座っていたら
一人の男が入ってきた。入って来るや否や
「これをどうぞ」
と皿に盛りつけられた魚や木の実、山菜などが渡された。だが俺は「いい。村人達で分け合うのだ。」
と断った。食事はさっき済ませたしな。その男はペコリと頭を下げ、出ていった。
やることも無いし俺はそのまま眠りについた。
次の日、俺の近辺の村人は俺が神であることを信じているが、まだ大半は信じていない。
そりゃ、急にこんな奴が押し入っても信じないだろう。なので村の中央の広場に村人全員を集めた。
とは言ってもほとんどは何が始まるのか分かっていない。集めた理由は俺の正統性(捏造)の証明。
とは言っても内容は日本神話のパクリだ。でも神武天皇は俺に変えてあるが。
「そのとき、イザナギの左目からはアマテラスが、右目からは・・・」と天地開闢から天孫降臨
まで事細かに説明した。それを聞いた村人は
「そんなことがあったのか」
などと感心した。これで俺の正統性を疑う村人はいないだろう。
次に村の様子を視察する。どの位文明が発達しているか見るためだ。まあ結果から言うと、
やはり文明レベルが とても低い。この村の主産業は狩りだけ。
もう弥生時代だがこの村ではまだろくに農業もしていない。それと村人の健康状態も悪い。
何と村人のほとんどが虫歯なのだ。なぜなら村人は色々なものを食べているからだ。肉、魚、山菜、
木の実、果実、蜂蜜など。しかも歯磨きをしないのが原因だろう。この時代虫歯になったら抜くしか
治療法がないからな。
しかし歯磨きをするにも歯ブラシがない。この時代、 歯磨きの習慣があまりないのでその辺は
発達していないのだ。しかし爪楊枝はあるので、それを大量に取り寄せ、毎日爪楊枝で汚れをとること、
うがいもすることを義務付けた。これにより虫歯で苦しむことはあまりないだろう。
虫歯が酷くて働けない、じゃ困るからな。