#5村の発見
完全にご都合主義です、すいません。
あれから5時間ほど歩き続けているが、正直昨日から歩きっぱなしで疲れた。ここは多分、地図で
見たところ袋井市の辺りだ。大分南下したが村が見つかる様子はない。なのでこれから西に向かう。
日本人は朝鮮の方から渡ってきたんだし西の浜名湖の周辺ならあるんじゃないかと思ったからだ。
それから数キロ、ついにその時がやってきた。
「村だ・・・」
そこは谷の麓にある小規模の村。中央には、薪を集めた囲炉裏らしきものがある広場。
その周りに竪穴式住居が立ち並んでいる。 人口は30名程だろう。この時代的には多い方なのかな?
見つけたはいいが、どうやって入ろう。どうも、未来から来たんで住まわせて下さいって感じじゃ
絶対無理だ。何なんだお前、と引き返される。そういや手紙にお前が神武天皇だと書いてあったな。
いっその事、神設定で行こうかな。何しろ俺は文明の利器をたくさん持っている。
これだけで驚くだろう。名前は・・弓削天皇でいいか。今は昼なので男は狩りに行っている。
夜になったら村に行こう。夜になり、男達が 仕留めたイノシシを持って来て、それを焼き始めた。
晩飯にでもするのか?意を決してその男達の中に入る。そうしたらその内の一人が、
「誰だお前?」
とこちらに怪訝そうに話し掛けてきた。それに俺は
「私は弓削天皇。この世界を変えるために降臨した神だ。」
と偉そうに返した。俺は登山服を着ているので傍から見ればトチ狂った登山客にしか見えない。
弥生人から見れば未知の服装だけどな。
「何を言っている。さては大陸の者だな。とっとと帰れ!」
と怒鳴られた。中々穏便には済まないようだ。だがそんな事は想定内。
「なら私の力を見せてやろう」
と、弾丸を拳銃にこめる。そして近くの木に銃口を向け、撃った。
バアァンッ!
激しい轟音とともに幹に穴が開いた。
「なっっ!?」
「どうなっている!?」
と村人が驚く。しかし中には、
「どうせ大陸の技術だろう」
と言う奴もいる。さすがに大陸もそこまで進化していない。
「なら私の真の力を見せてやろう」
と次は取り寄せの能力を使う。目の前に山積みのイノシシの肉を取り寄せた。
「!!!?」
もはや言葉も出ない。きっとこんなの妖術にしか見えないだろう。俺自身も何故こんな事できるのか
分かっていないしな。
「私の力があれば肉だろうが魚だろうが簡単に手に入る。どうだ、これでもまだ信じないか?」
「いえ、弓削天皇に一生の忠誠を誓います」
村人達が一斉に俺にひれ伏した。さっきと態度がまるで違うがそれは良しとした。弥生人、ちょろいな。