#51とある地で(後編)
日本皇国への臣従をして1ヶ月が経った。他の村人たちの断りもなくことを決めた村長は、
最初、村人たちの反発を受けたが、徐々にそれは収まっていった。
何故かというと、日本皇国は私たちに大量の食料を配給してきたのだ。私たちの村では、
獲物がとれなく飢饉がよく起きていた。しかし今では食料の配給のおかげで飢えることが
なくなった。今では日本皇国に入ってよかったとみんな思っている。
食料だけではなく、日本皇国は私たちに新しい家を与えてくれた。柱には立派な木を使い、
屋根は茅葺きではない、瓦というものを使っている。私たちはその家の豪華さに圧倒されたが、
日本皇国から見れば、ただの庶民が持つような家らしい。一体、日本皇国の国力はどうなって
いるんだ?
更に日本皇国はこの村までの道を造り始めた。それにより超えることが難しかった峠なども
難なく行き来ができるようになり今までの険しいあぜ道や獣道を通る必要がなくなり、
交通も便利になっている。今までの道とは違い、日本皇国の技術で舗装されており、
雨で道がぬかるむこともない。
他にも、警察署や、消防署というものも造り始めた。無知な私にはよく分からないが、
警察署というのは犯罪などから民を守る組織で、消防署は火事が起きた時に火を消して
くれるらしい。何とも頼もしい存在だ。
日本皇国に入ってから良いこと尽くめだが、無論、悪いこともある。日本皇国は私たちに
法律というものを強要してきた。今までの狩猟も制限されたし、特に響いたのは4年経つと、
弓削教というのに入信しなければいけないことだ。訳も分からない宗教に入信するというのは、
何とも不服な気持ちだ。
そもそも、私たちは日本皇国の天皇についてあまりよく知らない。何でも、噂によれば
不老不死とか、人の願うものを何でも齎すことができるとか。それによって日本皇国は無窮の
富を保っているらしい。そんな国を相手にしたら敵うわけがない。それを再確認したのと
同時に、村長の判断は賢明だったと思った。