#3探索、一日の終わり
さっきまで疑問符だらけの俺の脳内だったが、少し時間が経ちようやく落ち着いてきた。
いや、客観的に見ればこんな嘘みたいな話信じられないかもしれないが、いざそれが自分の身に起こると
その現実を信じなければいけない。
とりあえず持ち物がちゃんと使えるか確認する。ライターはちゃんと点いたし、カメラでちゃんと自分を
撮れた。どうやらこれはすぐに現像できるインスタントカメラらしい。しっかり俺の不細工な顔が
映っていた。
あの紙の内容によれば俺は国造りを終えるまで死ねないということになる。いや、神様身勝手過ぎだろ。俺の人生なんかとっと終わらそうとしていたのに何で俺が・・・・だが今は神様に文句を言っている
場合ではないな。
まず、この森の中で生きていくことはできない。俺一人で国造りとか無理な話だからな。
まずは人を見つけたい。今はおそらく弥生時代だ。この時代なら弥生人がどこかに村を
形成しているだろう。なので海岸に向かって歩き始めた。
あれから大分歩いた。位置的には森町の近くだ。それとさっき、写真の作成日時を見たら「-660 2 11」と出ていたし、どこも森ばかりなのでタイムスリップしたということは事実だろう。
そろそろ喉が渇いてきた。近くに小川があるのでそこで水を飲む。ろ過されていない水は色々な危険
がある。ここの水はただの地下からの湧き水だと思うので色々なものが潜んでいる。例えば寄生虫だな。だけど俺には浄水器があるので、ないよりはマシだ。これはレバーを引くだけでろ過できる優れものだ。これで水の心配はない。
そろそろ日が暮れてきた。この時代の夜は危ない。何が襲いかかるか分からないからな。
あの紙には死ぬことはないと書いてあったが、本当かどうかは分からないし、痛みも感じる。
夜に備え焚き火用の枝を集め、丈の長い草を寝床用に集めた。そして近くに手頃な洞窟を見つけたので
今日の寝床はそこに決めた。夜になり、集めた枝をライターで燃やす。さすがにライターのガス欠
ということはなかった。
やっぱり火はありがたいな。冷えきった体も暖めることができる。火をつけたまま即席の布団(?)
で寝る。はあ、しかし何でこんな事になったんだろう。
俺はこれからどうやって生きていけばいいんだ?そもそも国造りって何をすればいいんだ?
目を瞑っていると色々な事を考える。 今思えばそれが初めて将来について考えた時かもしれない。
まあ、それが俺の運命だから仕方ない。そう済ませ眠った。