#20西部探索
浜名湖を越えたあとは北上。この辺なら村がありそうだ。海岸沿いの村というのはあまりないからな。
予感的中。五日目にして村を発見した。人口は60人ほど。この時代では多い方だ。で、どうやって
吸収させるかというと、ほぼ最初の時と同じ。夜に村に入り込み俺の力を見せる。
夕飯を食べている男達に近づく。すると一人の男がこちらに気づいた。
「誰だお前?」
お決まりの台詞だ。俺は村人に比べ長身で顔立ちも違う。明らかに怪しいヤツだ。
「さては隣の村の者だな。この村をこの肉は渡さんぞ」
とまだ名乗ってもないのにこちらに槍を向けてきた。少し葛城村の村人に比べ気性が荒い気がする。
「まあ待て。私は怪しいものではない。私は弓削天皇。天から舞い降りた神なのだ。
お前らから飢えをなくすことができる」
と槍を向けられたままだが堂々と名乗った。いや余計怪しいだろ、とツッコミたくなるがそんなこと
言う人はここにいない。
「飢えをなくすとは・・どういうことだ?」
と聞いてきた。この時代飢えは一番の課題。それを無くせられたらどんなに喜ばしいことだろう。
予想通りその部分に引っかかってきた。
「こういうことだ」
と大量の焼いた肉を目の前に取り寄せる。
「!!??」
それを見てその場の全員が驚く。もはや声も出ない。それが本当に肉なのか男たちが確かめるが
どっからどう見ても肉だ。手品でもない。どちらかというと魔法のレベルだ。
「言っただろう。私は飢えをなくせられると。私に従えばこの肉もくれてやる。私に従うのだ!」
「わかりました。弓削天皇に従うことを誓います」
とその場にいた男達がひれ伏す。あんなものを見せられたら誰でもそうするだろう。
俺の力を知った瞬間、聞き分けがよくなる、というのはどこも変わりないようだ。
翌日、村人全員にこの村は私の支配下に入ったことを伝えた。
ついでにこの近くに他の村はないか聞き、ここから西の近くに村があること、北の入江にも村が
あることが判明。有力な情報を得た。その情報通りにまずは西の村に向かう。