#13村人
今回は村人視点の話です。
葛城村 村人サイド
帝がこの地に降臨されて3年と5ヶ月。これは人生の中で1番記憶に残っている年月だ。
今でも昨日のことのように思い出せる。
それはある日のこと、久しぶりの獲物を捕まえて村に帰り、もう少しで晩飯・・のはずだった。
その時、帝は突如目の前に現れた。帝は見たこともないような服装で、背もかなり高い。
顔立ちも私たちとはかけ離れていた。それを見てこの村の者でないことを一目瞭然だった。
私はその場で帝に向かい
「誰だお前」
と言ってしまった。今思えばなんと恐れ多い。だけど帝はそれに動じず、自分が神であると
仰せられた。
初めはそんなのは嘘だ、神が目に見えるはずがないと思い、勝手な思い込みで「大陸の者だろう」
と大陸の者など見たこともないのに荒げた声で怒鳴ってしまった。
それにも動じず、帝は鉄でできた筒のようなものを持ち、それを構えた瞬間、
激しい音と伴にその先の木に穴が空いたのだ。その時何が起きたのか分からなかった。
帝によればそれは銃といい、弓よりもずっと優れた武器らしい。しかし、それを見せられても
「どうせ大陸の技術だろう」
という仲間がいた。あれは私の知る限りあれは大陸の技術ではない。正しく神の力なのだ。
帝は更に神の力を私たちに見せた。大量の肉を目の前に出したのだ。それも一瞬で。
もうこれには大陸の技術とも言えない。私たちは帝に忠誠を誓ったのだ。
それ以降私たちの生活は変わった。帝は農業というものを教えてくれ、今までの不安定だった生活も
安定した。私は今まで狩りに勤しんできたが、農民に転身した。帝は農民を厚く保証してくれる
からだ。私と同じく農民になった仲間は他にも何人かいる。帝はそれまで石で作ってきた道具に代わり
鉄でできた道具を与えてもらった。鉄は頑丈なため、仕事もとても楽になった。
他にも帝は新しい家を与えてくれ、地震や強風で家が倒れることは少なくなった。
最近、帝は教典というものをつくった。私は文字が読めないのでどんなものか分からなかったが、
帝は文字というものまで知っているのだ。帝のすることはどれも画期的で私たちの知らない事は
何でも知っている。帝はこの村の救世主なのだ。