#10合併
ある日のこと、長老が突然俺の家に上がりこんできた。俺は家の床にただ座っている。
「失礼します、今日は帝に用があってきました!」
と少し慌ただしい様子で言った。
ちなみに長老は俺の補佐官、歴史的に言えば関白のようなものだ。何かあった時には俺に報告する
という役目だ。長老の隣には見慣れない村人も連れてきた。その村人は顔を伏せたままだ。
長老に「何事だ」と返す。
「この隣の村の者が私たちの村の配下になりたいと」
予想外の答えだった。いつもだったらこいつが仕事をサボっています、とかだが、今日は
ビックイベントだ。何せ俺の支配地域が増えれば国造りも円滑化するからな。
「顔を上げよ」
そう言うと隣の村人は顔を上げ、こう言った。
「私の村では飢饉により餓死者が多数出ております。どうか帝の下に入り、私の村を救ってもらう
と思い、ここに来た次第です。こちらが献上品です」
と献上品を渡してきた。それはキレイな石と縄でつくられたネックレス、ピアス、銅剣、少量の雑穀
だった。正直どれも要らないが、飢饉なのに食糧を持ってきたんだ、気持ちは貰っておこう。
「よかろう。今からお前の村は私の支配下、
だが献上品は要らない。自分の村で使うが良い」
と言った。相変わらず偉そうな態度だが気にするな。
「ありがとうございます。本当にありがとうございます!」
と涙ながらに感謝し、頭を下げその場を去っていった。よほど嬉しいのだろうな。長老は
俺の言葉に
「さすがは帝。心がお広い」
と褒め称えている。今まで俺の支配下は葛城村だけだったが、ついに二つ目の村を手に入れた。
調べてみたが、隣の村と言っても、だいたい5キロぐらいある。早くに道を作らないとな。
この時代に道という概念はないので、たった5キロでも行くのにかなり大変だ。
とりあえず隣の村を大江村と名付け、そこの住人を大江という名字にした。