#9食料の多様化
次に食生活だ。これは村人全員に関わることだしな。まあ結局は俺が色んな料理を食べたいだけだが。
俺は肉を多く食べる事を推奨している。肉を食えば寿命が上がり、働ける年数も増える。
この村に定年はないので可能な限り働かせる。狩猟も自由なのでイノシシなどの肉もよく手に入る。
問題なのは調理方法だ。肉の調理はただ焼くだけ。肉の味をよく感じられるが調味料がほしい。
普通に胡椒などを取り寄せればいいがこの時代の胡椒はとても貴重。俺が大量に取り寄せれば
いいが、いちいちそれをやるのは面倒。試しに胡椒を振りかけた肉を村人達に振る舞ってみたが、
「不味い」と言ってきた。どうやら口に合わないらしい。
なので胡椒は諦め、すぐ手に入る塩を作り始める。方法は至って簡単。海水を煮詰めるだけ。
塩は調味料だけではなく、生物の保存にも使える。これを食べさせてみたら大好評。
塩作りを専業にする村人も現れた。それと料理を食べやすくするため木の箸、フォーク、スプーン
を開発した。
次に米作りの改良だ。今の米は雑味が多く、しかも脱穀技術が発展していないため
玄米なので正直美味くない(玄米は健康にいいが)。言い忘れていたが、穂から籾を落とす脱穀は
竹の扱き箸を使っている。ゆくゆくは千歯扱きにしたい。それと籾を玄米にする籾摺りは土臼を
使っている。
まずは籾の選別を行う。やり方は、塩水に籾を入れて、その中の沈んだ籾だけをすくい取る。
沈むのは中身が充実しているからだ。最初は収穫量が少なかったため、やらなかったが現在はできる。
それと害虫対策に雑草を刈り取ること、春先には田んぼと田んぼの間の縁には泥を塗ることを命じた。
技術があまり進歩していない今できるのはこのぐらいだ。これで少しはよくなるだろう。
食料が足りなくなれば取り寄せればいいし。
最近分かったことだが、俺の能力、取り寄せは単に遠くのものを瞬間移動させるのではなく、
自分が心の中でイメージしたものをこの世のものに当てはめ、それを複製し、俺の手元に出す。
という仕組みだ。なので目の前にあるものをイメージし、無限に増殖させるという裏技も
使える。しかし、特定のものを取り寄せるときはかなり強く念じなければダメだ。かなり疲れる。
裏技を使い、最初にもらった銃を増殖できるかと思ったら、何度やってもできなかった。
その他、 リュックに入っていたもの全部だ。どうやらあのリュックの中身はこの世のものという
扱いではなく、取り寄せできないらしい。