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異世界転移!~才能がなくとも活躍できることを証明してやろう~   作者: かずっち
第二章 生きるって大変
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*007 診断と依頼

*007 診断と依頼


 鉄琴を叩く音が聞こえ、俺は目が覚めた。体をノロノロと起こし、音のする方を見る。音源はスマホのアラームだった。確か前の世界では今日から平日だったからアラームが作動したらしい。それでも4回も起動して起きなかったからかなり時間は過ぎているが。もう9時を回っていた。


「前の世界では遅刻だっー、て言って嫌々学校に行ってたな」


 そういえば俺がいなくなった後、どうなったんだろうと少し思ったが、忘れることにする。どうせ世間が騒いで学校を叩いてるだけで、根本的にはあまりかわってないのだろう。いまさらすぎる。それに今はここが自分の世界だ。前の世界など気にするだけ無駄だ。


 俺はベットから降りて下に降りる。一階の酒屋に人はいなく、カウンターでルミエルさんが皿やコップなどを閉まっていた。


「おはようございまーす」

「ああ、おはよう。ずいぶん遅くまで寝ていたね。ま、昨日の疲れなら仕方ないかしら」


 あははと笑いながら挨拶を返してくれた。すでに他の人は商売を始めたり仕事をしに行ったそうだ。リーナもどこか出かけているらしい。

 俺はルミエルさんが出してくれたサンドイッチを食べながら手頃にできる仕事がないか聞いた。


「この村ではね、たいてい若いうちは何でも屋をするのさ。」

「何でも屋?」

「そう、村に必要な物を取ってきたりとか人手が足りないとこの助っ人にいったりしてその報酬を収入にしてんのさ」

「へーそんな事してるんですか。てことはリーナも?」

「ああ、そうさ。けど最近、王都で騎士団ができたせいで村の若い人がそっちに流れて行ってね、人数が足りない状況なのよ」

「あ、だから昨日みんな喜んでいたのか」


 一人増えるだけであんなに喜んでいるのだからかなり深刻な問題だったのだろう。


「ま、あんたはやったことないからまずは手ごろな仕事からやりな。」

「はーい」


 手頃な仕事ねえ。確か初めてリーナにあった時も薬草なんかを取りに来ていたんだっけ。その辺りから始めたほうがいいのだろうか。


 あ、そうだ。


「ねえルミエルさん、魔法の適性って調べる方法ってある?」


 リーナが言うには適性があれば魔法が使えるらしいからな。できるなら使ってみたい。使えたらかっこいいし。


「昨日、リサっていう占い屋の子がいたでしょ?その店にある道具で調べられるよ。」

「なるほど、じゃあ仕事探しのついでに言ってみるよ。」


 占い屋は俺の元いた世界でやっていた占いと内容は大体同じらしい。将来の事、相性診断とかをやってくれるとか。その他にも探し物のヒントなんかも探ってくれるらしい。

 朝ごはんを食べ終えた俺はその占い屋に向かった。場所や店の外観などは聞いていたので迷わずにいけた。


 お店の前に着くと店の前を掃除している人がいた。昨日は普通の服装だったがローブを着たリサさんだった。


 俺が歩いて行くとリサさんが俺の方に気がついて振り向いた。


「あら巧さん。こんにちは」

「こんにちは、リサさん。あの、調べてほしい事があるんですけど」

「調べたいこと?」

「はい、魔法の適性があるか見てもらいたんですけど」

「あ、はい。わかりましたー。お店の中に入ってください」


 リサさんに言われた通りにお店に入った。水晶なんかはもとより占う時に使う木の棒や魔法陣の書かれていたカーペットなんかもある。


 後からリセさんが店に入ってきて掃除道具をかたずけながら俺に言った。


「じゃあ壁にかかってる鏡を見てて」

「あ、はい」


 壁には高そうな大きな鏡が立てかけられていた。鏡の前に立つが何も起きない。


「何も起きないんですけど......」

「慌てない、慌てない」


 リサさんがかたずけを終えると鏡の横に立った。


「今からこの鏡を起動させるわ。この鏡は移った人の体から少し洩れる魔素がオーラとなって見えるの。オーラが大きければその人の魔素の保有量は大きいってことなの。そして適性をもっているとそのオーラがその適性の色になって現れるの」

「すごいですね、この鏡」

「でしょ、結構高いんだから」


 と胸を張って言った。失礼だが、この人、俗に言う貧乳なのであんまり張れてないなーと思った。さすがにそれは怒るだろうから言わなかったが。

 リサさんが鏡に触ると鏡が一瞬光った。光が弱くなり、直視できるようになったので鏡を見ると、鏡に映る俺の周りがゆらゆらと動いていた。これがオーラってやつなのかな。


 そのオーラは俺の体の周囲だけで無色だった。あれ?これってまさか...


「あちゃー、巧さんは適性がないですね。しかも魔素の保有量も少ないですし」


 やっぱりかー。そううまくいくわけないか。よくよく考えたら俺はこの世界で生まれたわけではないからこの世界の人とは多少体の機能がちがうのかもしれない。


 だからリサさんが無駄に気を使って励ましてくれても別に気にしなかった。本当に気にしてなかった。


「あれ?巧じゃん。なにやってるの?」


 名前を呼ばれた方向に振り向くと入口にリーナが立っていた。


「俺は魔法の適性がないか調べに来たんだよ、なかったけど。リーナは?」

「私は頼まれた木を取りに行ってたんだよ」


 リーナが手に持った木材を見せた。ああ、仕事か。


「ありがとー。これで占いの材料が足りるよ」


 リサは喜びながら受け取った。


「巧は何か仕事見つけた?」


 リーナが俺の方を見て聞いてくる。


「まだ何も。この後探す予定だったんだが」

「ならちょうどいい。この後武器屋の依頼があるから一緒にやりましょう。初めての依頼なんだしやり方を教えてあげるよ」

「お、まじか。頼むよ」


 正直どんな依頼があってどうすればいいなんてわからなかったのでありがたい。リサさんから報酬を受け取るのを待って、一緒に武器屋にいった。


 俺の初めての依頼は「研ぎ石がなくなったので森の西のほうにある鉱山跡に行って拾ってくる」という物だった。研ぎ石がないと武器を新たに作る事もメンテもできないので早急にとのことらしい。


 武器屋についてからその説明を聞いてると案外簡単かもしれないなと思った。若者がいないから仕事がたまっているってことだからすごい大変な仕事かと思っていたので拍子ぬけしてしまった。


 依頼を正式に受けたのでさっそく向かおうとしたらリーナに止められた。


「ちょ、巧。まさかそのままでいくつもり?」

「え?」


 リーナが武器屋に入り、少し経ってから出てきた。手に持っていたものを俺の方に投げた。俺が慌てて受け止める。


 なんだこれと思ってみると鞘におさめられた剣だった。ちょっとまて。


「なあリーナ。いまから研ぎ石を取りに行くんだよな。なんでこんな物騒なものが必要なんだよ」

「なんでって......魔獣相手にまさか丸腰で戦うつもりなの?」


 リーナが呆れながら答えた。魔獣って嫌な予感しかしないんだけどおぉ!?


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