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*005 魔装と人形

*005 魔装と人形


 リーナの超魔法《アクアシャワー》はどうやらあたり1面に雨を降らせる魔法のようだが、その規模が凄かった。まず、見渡せる限りの場所に雨が降っている。範囲がどこまでか分からないが村一帯なんて規模だったなら魔法の凄さには頭が上がらない。


 数分経つと、徐々に雨はやんでいった。リーナが汗を流しながらこちらの方に歩いてきた。


「終わったわ。これでいい?」

「ああ、いつもすまねえな」


リーナとダスティンが話す。いつもってこんな事を起こしているのか......


「リーナは魔法の才能があるんだな。超級魔法だっけ? 魔法を極めればあんな事できるのか?」


俺はリーナに話しかける。すると彼女はちがうちがうと手を動かした。


「違う違う、私は本来中級あたりの魔法しか使えないわよ」

「?今普通に使ってたよな、超級魔法ってやつ」


 中級までで上級魔法は使えないのにさらにひとっ飛びして超級魔法が使えるんだ?

 ちなみに魔法のレベルは超級>上級>中級>下級らしい。


「それはね、これを持っているからなの」


 リーナが自分の服に手を突っ込んで何かを取り出す。何かと思い覗いてみると、それは真ん中に黄色に光る奇麗な石がはめ込まれたペンダントだった。


「なんだこの綺麗なペンダント?」

「これは魔装って言ってその中でもかなり古いものなの」

「魔装?」


 リーナに詳しく聞くと魔装ってのは武器や防具、アクセサリーなどに魔石と呼ばれる魔法の補助アイテムを組み込んだ物をいうらしい。


 魔石は6属性ごとに色が分かれており、効果としては魔素を蓄積、魔法の強化などがあるらしい。その魔装の中でも月日が経つと普通の効果とは違った特殊な効果が付く事があるらしい。それらを古代魔装と呼ぶらしい。


「私のこれは『イマジネーション』って言って私のイメージを具現化することができるの」

「どういう事だ?」

「本来、超級魔法は特殊な媒体や道具を用意して大掛かりな準備をしないと出来ないものなの。けど私は強く雨が降り読ける風景をずっとイメージをする事で、この『イマジネーション』がそれを具現化させようと媒体や道具が無くても魔法を発動できるようにしたのよ」


 『イマジネーション』の機能を聞いて俺は恐ろしく思った。ならこれは現実で自分の思ったとおりにすることができるアイテムじゃないか。もし暴君がいたとしてこれを渡しでもしたらどれだけ酷い事がおきるのか......


 俺の顔がすこし強張ってるのを見たリーナが慌てて追加で説明をした。


「欠点としてはイメージを明確に、鮮明に持たないと起動しないの。それに起動しても、なにか考え事をしただけでも失敗するの。無心になって精神統一をして明確にイメージする事で初めて成功するの」

「ああ、だから目を閉じてずっと集中していたのか」


 俺はそれを聞いてさっきまで考えてた事が杞憂だった事を知った。つまりこの道具で人を殺したりする時はそのイメージを明確に持ち、さらにそれを無心でやらないといけないのだ。そんな事、おそらく人間にはできまい。たいていの人は人を殺すという事にいささか抵抗を持つはずだ。喜ぶ奴なんかもいるだろうが、どちらにしろ無心になるのはできないだろう。

 そしておそらく使用中に話しかけたり触れられただけで気が散って失敗するのだろう。現にさっきダスティンはリーナと距離を置いていたし。


リーナは服の中にしまいながら、


「ま、便利さで言うならダスティンの方が上だけどね」


と言った。ちょ、今、何て言った。


「ダスティンも古代魔装なんて持ってるのか?」


 俺は驚きながらもダスティンに聞いた。リーナの持ってる『イマジネーション』だけでもとんでもないのにそれと同じくらいの物を持っている奴がこんな近くにいるってどうゆう事なんだよ......


「持ってるけど今は家に置いてあるからな。今度見せてやるよ」

「あ、ああ......」


 俺は若干引きながら答えた。この世界は、なんで個人で持つには凄すぎる道具をぽんぽん持ってるんだよ。もし本当にいろんな人が持ってるんだとしたらよくこの世界存在したな。逆にすごいよ。


 そのあたりを2人に聞くと


「この辺りだと村長さんが認めた人にしかあげてないの。もし盗まれたとしても魔装は持ち主が違うと使用を拒否するから意味ないし」


 と答えた。それなら大丈夫......なのかな?


 俺が心配に思っていると遠くから何かが走ってくる音が聞こえた。見てみると土埃を上げながら犬がこちらに向かって走ってきた。なんだなんだ?


 犬はダスティンを見ると目の前に止まって、お座りの体制をしていた。


「わん!」

「おお、ルゥ。どうした、こんな所まで」


 ダスティンがよしよしと撫でる。どうやらダスティンの飼っている犬らしい。どこの世界でもペットっているんだな。


 俺は犬を近くで見ようと近ずくと犬の足に小さなポーチが巻き付けられている。なんだこれ?


「なあダスティン。この犬のポーチには何か入っているのか?」


 興味本位で聞くとダスティンも今気がついたらしい。ダスティンがポーチの中を開けて確認すると可愛らしい女の子の人形が出てきた。


「ああ、今度はこれか......」


 ダスティンはそれを見るなり呆れた感じで呟いた。


「今度は? 何のことだ?」


 ダスティンの言葉に理解出来なかった俺は、人形を取り出してダスティンの方を振り向き、質問した。見た感じも触った感じも、女の子がおままごとで使うような普通の人形にしか見えないんだけど。


「おや? 見かけない顔があるねえ、誰だい?」

 

 ダスティンやリーナの声じゃない聞き覚えのない声が聞こえた。誰かいるのかと思いキョロキョロ見渡すが、周囲にはダスティンとリーナ以外いなかった。


「なあ、今声が聞こえなかったか?」


 俺が聞くと2人が俺が持っている人形を指さした。え?と思い見ると人形の口がパクパク開いたり閉じたりしている。怖!俺が驚いて後ろに下がる。それを見てダスティンが申し訳なさそうに


「あー巧。そいつが俺の魔装『ゼフィール』だ」


 と言った。は?


「いかにも、この私が風を操る魔力体。名前はゼフィールだ」


 と人形が喋り始めた。


 もう、今日俺は何度驚いたか事か分からなかった。

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