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異世界転移!~才能がなくとも活躍できることを証明してやろう~   作者: かずっち
第四章 騎士団長と魔導師長
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*042 改造と運転

*042 改造と運転


 バイクの調整と言っても速度や乗り心地は調整したので後は魔力タンクがどのくらいの距離でなくなるのか調べるくらいだ。

 という事で日にちもあるわけだし、一回村に帰って王都に戻ってくる事にした。距離で言うと大体300kmくらいあり、馬車で4日くらいかかるため、村の人は7日間も心配をかけてるに違いないからだ。どうせスマホを届けるために王都にまた来ないといけないのだし、バイクの試運転と村に報告ついでにとってこようってわけだ。


 俺は地下の実験室に置いてあったバイクを取ってきて地上に出る。門まで持って行って外に出てから乗って村に行くつもりだ。だが、ここで問題が起きる。


「巧さん、私も乗りたいです!」

「いや、アイリは運転できないからダメだって!」


 そう、この好奇心旺盛の妖精が運転したいというのだ。俺的に白金に入ってもらって行くつもりだったのだが、彼女はお気に召さなかったらしい。けど、自転車に乗ったこともない人に乗れるはずないのと俺の体に合わせて作ったので身長的にも無理なのでどのみち乗れないのだが......


 結局、お互いが妥協する案としてサイドカーを付けてそれに乗せる、と言う事で解決した。倒れないように補助輪をつけるとか、アイリ用に改造しなおすよりはるかにいいのでこの案で我慢してもらった。あとついでに自転車のフレームとかも変えてごつい感じにしてバイクにしていく。やっぱりバイクというからには自転車のフレームなんてかっこ悪い気がしたからね。


 門を出て(それはなんだ!と聞かれたが)少し歩き、広い道に出たところで俺はバイクにまたがり、アイリはサイドカーに乗る。


「うし、じゃあいくぞー」

「おー」


 俺は魔力を流し、法定速度(この世界にそんなものないが)程度の速度で走りだした。




 道中、何台か前を走ってたり、前からこちらにくる馬車の人を驚かせながら走る事6、7時間後。お昼くらいに出たせいもあってあたりが暗くなる頃に村についた。俺の感覚的に2,3日程度なのだがかなりなつかしく思えた。


「やっと帰ってこれましたねー」

「まあ用事を伝えてすぐ行くけどね」


 俺は吹雪まで行き、中に入る。すでにみんな夕飯を食べた後のせいかほとんど人がいない。俺が入った音を聞いてルミエルさんが俺を見るや、


「巧かい! 無事だったの?」


 とカウンターから出てきて俺の所に歩いてくる。


「ええ、まあ。なんかあっちの勘違いみたいで連れていかれたみたいなんで、特になんもなかったです」

「なんだー、心配して損したじゃないか」


 ほんと、俺のせいではないが申し訳ない。俺はルミエルさんの出したご飯を食べながら、王都であった事とこれからの予定を話す。


「巧、あんた何者なの?」

「まあ、詳しく話すと長くなるんで帰ってきてからか、村長に聞いてください」


 坂本さんに聞いたところ、別に親しげな人になら話してもいいとの事だった。坂本さんも騎士団員ならみんな知ってるとか言ってたが特に問題は起きなかったとか。まあ恭子さんがいるから隠しても怪しいからいっそばらしたちゃえ、って感じだったらしいが。団員の人もそれを聞いて不信感が無くなり、恐れられるという事はなくなったらしい。


 詳しく説明すると時間がかかってややこしくなりそうなので村長あたりに丸投げしとく。あの人なら坂本さんに日本人について聞かされてるから説明できるだろう。

 けっして、けっして以前さんざん利用された時の恨みを返してやろうなんて思っていません。ええ、思っていませんとも。


 


「んじゃ、行ってきまーす」

「はいよ、お土産待ってるからね」


 ご飯を食べ終え、スマホを取ってきた俺はバイクに乗り込む。寝たい気持ちはあるが今寝て明日出発となるとみんなに見られるわ王都についたら夕方になってるので1日観光とかできる時間が減ってしまうからだ。


《光に転換 照らせ ライト》


 完璧に暗くなってしまって道が見えなくなってしまったのでアイリに周りを明るくする魔法を使ってもらった。後で魔力で動くライトとかつけないとなー。恭子さん作ってないかな。

 さすがに寝たら事故って危ないので、アイリに俺に話しかけて眠らないようにして、と頼んだ。


「それにしても......異世界ってあるんですね」

「ああ、なんでなのかいまいち分かってないけど......魔法なんてあるし、もしかしたらそのせいかも」

「なるほど......超級魔法もまだ分かってないものも多くありますしひょっとしたらそのせいかもしれませんね」


 ああ、確かに天候を操ったり、簡単に物理法則破ってくる物があるからあるかもしれない。


「えーとワープ?とかトランスとレーション?って魔法名ない?」

「私は聞いた事ありませんね」


 適当にアイリに英単語を言うが、実際にあったりなかったりする。例えばよくある重力操作みたいなグラビティってのはあるらしいし、これも有名中の有名、空を飛ぶフライは存在しなかったりした。うーん、奥が深い......

 まあ、あったとしても大体が適性魔法だったりするので俺に使えないからいいんだけどね!






 深夜ということで行きのときのように馬車にすれ違うという事はなく、速度を上げても問題なかったおかげで空がうっすら明るくなる頃には王都に戻ってこれた。


「本来なら往復だけで8日かそれ以上かかるのにそれを1日でやるとは......」


 予想以上に便利な物を作ってしまったかもしれない。そんな事を思いながらお城までバイクを走らせる(誰もいないので遠慮なく大通りを走った)


 お城につくと、さすがに門番の人がいて止められたが俺の話を聞くとあっさり中に入れてくれた。坂本さんから話が通ってるのだろう。ありがたいありがたい。


 城の扉の前に来たのでバイクから降りる。流石に道を走らせたバイクを中に入れたら掃除の人が大変だろうからと遠慮したのだ。


「おーい、アイリさんや。起きてくれませんかねー」

「くぅ......」


 流石に眠かったのか途中で寝てしまったアイリを揺さぶって起こすが可愛らしい吐息を繰り返すだけで起きる気配はない。


「まあずっと座らせてた上に途中まで俺と話してたから無理もないか......」


 さて、この子どうしようか。白金の中に入ってもらいたいのだが起きてないとできないし......かといってこの時間に小さい女の子を運ぶってのは見られたらちょっと......

 

「あの、もしかして加藤巧様ですか?」

「はい?」


 俺がどうしようかうーんと唸っていると後ろから声をかけられた。振り向くと......


「お姫、様?」


 そこには綺麗な青髪をしたリアお姫様がそこに立っていた。

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