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*003 国と魔法

*003 国と魔法


 今いる場所はヨルム王国という大陸の内陸に位置する国の領土内にあるカーム村の近くにある森の隣で流れている川らしい。


 この女の子は森に薬草をとりに来ており、休憩をするため川のほうに出たら俺がぐーすか寝ていた、とのことだ。

 まあ村の近くでそんな奴がいれば怪しいし、縛られても文句など言えないのかもしれない。


 俺のほうもいろいろ聞かれたが、記憶が曖昧という事にしておいた。そうでもしとかないとこの女の子に、よくわからない事をいう頭のおかしい奴って認識になってしまう。


 さすがに初対面の女の子にそんな印象をもたれたくない。


 とりあえず自分の村に連れて行くという女の子に国や村の事を聞いてみた。とりあえずこの世界の事を知らねば。


 さっきこの娘がいっていたエルム王国とやらはこのあたりを治めている国の名前らしい。驚いたのは日本のように総理大臣が政治をやるのではなく、代々国を治めている王族が政治をするらしい。

 まあ王国だしそれはそうか。


 政治と言っても主要な都市までしか手が回らず、その周辺の村は各村長が仕切ってるらしい。雑だな~。

 それで女の子が言っていたレインというのは、隣の国のことらしい。

 一応、戦争状態ってわけではないが、あんまり仲がいいと言うわけではないらしい。そしてこの女の子の住んでる村は、国境線付近だからたまにレインの兵士が目撃されるという。


 俺を最初に見かけたときもレインの兵士だと思ったのはそのせいだろう。まったく迷惑な......ってそれはあんまりか。


 国や村の話を聞いてると噂のカーム村に着いた。田んぼが広がっている、田舎のような村だった。

 こちらの世界と俺のいた世界がどこまで同じで違うのか分からないが、見た感じ食べ物は大体似ていそうだな。


「一面田んぼしかないな~」

「この村は国境付近ってことでかなり多くの兵士とかがこの村に立ち寄るからね。それに他の村と比べても人が多いから沢山の食料がいるんだよ」


 なるほど、需要が多いから供給も増やさないといけないのか。大変だな~


 話を聞くと鉱山近くでない限り、どこもこんな感じらしい。また地方で作れる物が違ったりするからそれを取引するために、多く作ってたりしてるらしい。


 キョロキョロ見渡しながら歩いていると田んぼで働いてる男がこちらの方を見て口を開ける。


「おお、リーナ。戻ってたか......ってその男は?」

「巧っていって記憶喪失らしいの。今からどうするか相談しに行くところ」

「へー。その用事がすんだら少し手伝ってくれないか?」

「うん、分かったー。またねー」


 手を振りながらその人と別れた。随分慕われてるんだな。そう思いながら歩いていると、ふと先ほどの会話で気がついた事があった。


「お前ってリーナって名前なんだな」

「あれ? 自己紹介まだだっけ? 私はセリーナ。みんなからは小さい頃からリーナって呼ばれてるから、あなたも呼びたければそう呼んでいいわよ」

「分かった。有難くそう呼ばせてもらうよ、よろしくリーナ」

「ええ、よろしく」


 にこっと笑いそう言ってくれた女の子、セリーナことリーナと案外簡単に仲良くなった。


 ちなみに女の子の下の名前で呼ぶのは初めてだったりするのでかなり嬉しいのは仕方がない。




 この村は外周に田んぼや畑、中心部に家や倉庫なんかがあるため村長に会うためには中心地まで歩かないといけないため、いろんな物が見れた。家なんかは昔のヨーロッパとかでよく見る壁が石でできた家のようだった。

 俺のいた世界の時代で言うところの中世あたりだと思う。


 森があるから木を使った建物が多いと思っていたのだが。気になったので聞いてみると。


「このエルム王国は山岳地帯で鉱山が多いの。この近くにもいくつかあってそこで掘られた石なんかを使ったほうが安あがりなのよ」

「へー。それなら無駄がないからいいのか」

「そうなの、それに木をあんまり切りすぎると色々困る事があるのよ」


 確かにそれで俺のいた世界は地球温暖化なんて問題になったんだしそりゃあそんな事を率先してやらないか。こちらの世界の人のほうが頭がいいのかもしれない。


「ここが村長の家よ」


 そうこう話しているうちについたらしい。見上げると、他の家より断然大きい、屋敷みたいな建物があった。村長というくらいだからきらびやかなところだと思っていたが、以外に質素な感じだった。俺としてはその方が緊張しないのでありがたいが。


 リーナが屋敷の敷地に入る際、玄関前にいた門番が普通に挨拶を掛けてきた。リーナって顔が広いなーと思いながら、俺も後についていく。すると突然、ばんっと扉が開いた!うわ!なんだなんだ。

見ると俺やリーナと同い年くらいの赤毛の女の子が怒った感じで出てきた。


「ちょっとセリーナ! なんでうちの敷地に入ってるのよ!」

「ああ、マリー。ちょっとお願いがあるんだけ......」

「私はマリンよ! 勝手に愛称作らないでよ!」


 どうやらこの赤毛の女の子はマリンという名前らしい。マリーってかわいらしくていい愛称だと思うんだけど。


「なあ、なんでこのマリンって子、こんなに怒ってるの? 嫌われてるの?」


 キーと怒ってるマリンを見ながらリーナに聞く。


「さあ? 私は仲良くしてるつもりなんだけど。どうやら気にいらないみたいなんだよね」


 うーん。見た感じリーナっていろんな人と仲良さそうだから、そんな八方美人みたいな子が嫌いなのかな?そこらへんは世界が違っても同じなんだろうか。


「とにかく早くでていって。じゃないと実力で追い出すわよ!」


 といってマリンは右手を突き出した。なにしてんの?この子。


「いや、あなたじゃなくて村長にお話があるんだけど」


 リーナが話しかけるがすぐにでていかなかったのせいかさらに怒ったような顔になって叫んだ。


《風に転換 対象を吹き飛ばしなさい エアブロウ》


 なにを痛い中二病のような事を叫んだるんだ、この子?と思っていたらマリンの突き出した右手を中心に風が集まっていく。


え?どうなってるの???



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