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異世界転移!~才能がなくとも活躍できることを証明してやろう~   作者: かずっち
第四章 騎士団長と魔導師長
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*032 雑談と返却

*032 雑談と返却


 「じゃあやっぱり騎士伝シリーズの本って......」

 「ああ、それを読んだ人が地球から来た人であれば騎士団を不思議に思ってこっちに来ると思ってね」


 謎に思っていた本屋で見つけた騎士団の本も地球から来た人を探すための1つだったらしい。ほんとよく考えてるなー。


 坂本さんという遠慮なしで話せる人に出会えた俺は坂本さんに今まで怪しまれると思ってリーナやアイリに聞かなかった事を色々と聞いていた。この世界の地形や国、文化水準、魔法の詳しい事......


 中でも一番驚いたのがこの世界の暦だ。

 この世界の1週間は10日間で最初の9日間は働く期間とし、残りの1日が休息日、9日間の働きを休む一日となっている。それを30回繰り返して1年とするのがこの世界の暦らしい。


 この暦の数え方でいうなら、俺は18、19歳ってことになるから16歳のリーナやダスティンより年上という事になってしまうのだ。なんだろう、このすごい複雑な気持ち。あっちの方がもう働いて俺より大人っぽいのに、年下って......


 その事を相談したところ、坂本さんはこの世界に来た日を誕生日にして歳はこの世界に来てからこっちの暦に合わせたらしい。まあそっちの方が面倒じゃないから俺もそうしようかな。


「さて、こちらも少し質問いいかな?」


 俺の色んな質問を一通り終わったのでお茶を飲むと、坂本さんがそんな事を訪ねてきた。こちらも色々聞いたので当然イエスで答える。


「巧君は地球の物を何か持ってきている物はないかね?」

「地球の?」

「そう、この世界にない物を持ってきているならそれを利用して様々な物が作れるかもしれない、と妻が言っていてね」


 なるほど、確かにあっちの世界の物を真似れば元々この世界になかった物ができ......ってちょっとまった!!!


「坂本さんって結婚なされてたんですか!?」

「ああ、あれ言ってなかったか。一緒にこの世界に来た人というのが私の妻だよ」


 ああ、坂本さんがこの世界に来た時にいた人って坂本さんの奥さんだったのか......

 別に凄いとかうらやましいとか○ぜろなんて思ってないよ?人間なんだから当たり前の事だし......やっぱり○ぜろ。


「どうかしたかね?」


 俺が急に黙り込んだのを不審に思ったのか、心配そうに声を掛けてくる。


「ああ、いえ。驚いただけで別になにも......話を戻しますけど、俺あの時手ぶらだったので、ここ来る時に没収された懐中時計とスマホくらいしか......」

「スマホがあるのか!」


 俺の言葉を遮って坂本さんが大声で立ち上がった。ちょ、顔近ずけなくていいから! 怖い!


「あ、ありますけどネットとか使えないガラクタと化したので今は村ですけど」

「そうか、ここにはないか......そのスマホには辞書のようなアプリは入れてなかったか?」


 坂本さんにそう聞かれたのでどうだったか思い出す。確か、英語の課題とか古典の文法調べるために入れてたような......あれってネットなしでも動いたっけ?


「もしよければ次来る時にでもスマホを持ってきてくれないか?」

「まあいいですけど、けど電池的にあまり動かないと思いますよ」


 確か俺が最後に見た時は電池のマークが半分だった気がする。いや、もしかしたら放電でもっと減ってるかもしれない。


「その辺は心配ない。えーと、あれはどこに置いたっけかな?」


 坂本さんがそう言いながら机の方に行き、机の棚などを開けて何かを探しだす。何を探してるのだろうか?




しばらく高い調度品ばかりのお部屋を見渡していると、坂本さんが何かを両手で持って戻ってきた。見るとこの世界じゃ見ない機械のような外見をしていた。


「あの、坂本さん。それってなんです?」

「ああ、これはソーラーパネル搭載のモバイルバッテリーだよ」


 登山中の非常時の時、懐中電灯なんかの電気関連の物は電池が切れてしまえばまったく役に立たなくなる。そんな時のためにこのソーラーパネル付きのモバイルバッテリーを持っていたらしい。

 確かにこれがあれば電池関連は問題ないだろう。


「これは君にあげよう」

「え? いいんですか?」

「私や妻のは10年以上前に劣化で使い物にならなくなってしまってね。これも動くか分からないが、もし使えるならしばらくは君の役に立つだろう」

「なるほど、わかりました。ありがたく受け取っておきます」


 これはいい物が手に入ったな。坂本さんの言うとおり、ネットが使えなくてもスマホの技術や中に入ってる知識は有効活用できるかもしれない。

 坂本さんからモバイルバッテリーを受け取り、ポーチにしまおうと後ろに手をかける。ってポーチ没収されてるからないじゃん。


「すみません、俺のポーチとかって返してもらえませんか......」

「おお、そうだったな。すまない、すぐに持ってこさせよう」


 数分後、坂本さんに命令されて慌てて鎧を着た(たぶん騎士だろう)人が俺の白金やポーチ、驚いた事にバイクなんかも持ってきた。あれ、どうやって持ってきたんだろう......


「これはバイクかね?」


 坂本さんも日常生活で見た事あるのですぐにそれが何か分かったようだ。


「ええ、まあ。俺は闇の適性があったので≪クリエイト≫で試しに作ってみまして。まあ魔法関連は妖精族の女の子に手伝ってもらいましたけど」

「妖精族? カーム村には妖精族なんて住み着いてたっけか......?」


 あ、そういえば魔人ってイガリアの外に滅多に出ないんだっけ。あの件の後の事は知らないんだからとうぜ......って、そうだ。村長に頼もうとしたけどこの人に頼めばいいか。


 俺はリーナと相談してたアイリは無事という事とレイン王国が魔人を狙ってる可能性があるから注意してほしい事をイガリアに伝えてもらえないか頼んだ。


「そんな事に......わかった。責任を持ってイガリアに伝えよう」


 ホッ、とりあえずイガリアの魔人はこれで安心だな。アイリは大丈夫だ、と言っていたがやはり伝えておかないといけないだろう。


「ほんと、何から何までありがとうございます」

「いやいや、困った事があればお互い様ですよ。それにイガリアに伝える件は少し話すだけで済みますし」

「え? 話すって誰とですか?」

「私は獣人とか魚人なんかの魔人とそれなりに仲が良くてな。ちょうど昨日から獣人族のパトリックという男が来ていて」

「パトリックおじさんがきているのですか!?」


 坂本さんが話していたのを誰かの声がかき消した。もちろん、俺じゃない。けど今の声って...... 

 俺は返してもらってソファに置いてあった白金の方を見る。すると魔石がほんの少し光ってるように見えた。まさかなと思いながら俺は念のため確認してみる事にする。


「アイリ、いるのか?」


 俺が白金の方を見ながら呼びかけると、魔石から光るもやもやした何かが出てきて、たちまちアイリが現れた。


「えへへ、ばれてしまいました......」


 こいつ、いままでずっと白金の魔石に隠れてたのか......

 隣を見ると坂本さんが凄い驚いた顔をして固まっており、すこし可笑しかった。

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