表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界転移!~才能がなくとも活躍できることを証明してやろう~   作者: かずっち
第二章 生きるって大変
23/47

*022 煽りと決着

*022 煽りと決着


 だいたい5mほどの高さから受け身をせずに落ちたせいでズキズキと体が痛む。そうしている間にもドンドンと近ずいてくる。

 恐らく踏み潰す気だろうが、体を動かす事が出来ない。しかも痛みが邪魔して魔法も使えないときた。絶体絶命とはこの事だろう。俺が諦めかけたその時、


《風に転換 吹っ飛べ エアブラスト》


 マリンの魔法が聞こえたと思ったらドーーーンと倒れる音が聞こえた。確かあれは中級魔法で風を集めて打つ魔法だ。それで巨兵が倒れたのだろう。


《エアブースト》


 マリンがまた魔法を唱えたと思うと体を引っ張られた。どうやらマリンが俺の服を掴んだようだ。マリンが高速で走ってくれたおかげで倒れた巨兵と距離を取ることが出来た。

 

 段々と強い痛みが引いてきたのでよろよろと起き上がる。


「ありがとうマリン、助かった」

「いいのよ、けどアイツどうしようか」


 マリンがゆっくりと起き上がる巨兵を見ながら呟く。


「頑丈な強度、圧倒的な威力、そしてあのローブの男......」

「いったいいくつ適性を持っているんだよ......」


 火の付与魔法、土と闇の妨害魔法、風の攻撃魔法、光の回復魔法と阻害魔法、今わかってるだけで5つ。村長の4つでさえリーナは凄いと言っていたのだ。

 この時点でもう超えている。あの男も相当厄介だ。


「マリン、アイツの魔石の代わりってやっぱりあの赤く光るやつだよな?」

「多分ね、けどあれもおそらく岩と同じで無属性魔法で強度が増してるわよ」


 マリンの言う通りだ。こういう時、動力源を潰せば止まるのが定石だがそれは相手も予測するだろう。全体に魔法をかけられるんだからあのコアだけやらないなんて事はしないだろう。


「今なら逃げれるけど......」

「それは絶対にだめよ。みんながいるのに!」


 とマリンが言う。そう、今なら全力で逃げればこの場は助かるだろう。だがそのあたりで倒れている人達がどうなるか分からない。今逃げればその人達を見殺すのと変わらない。


「ちっ、せめてあの硬ささえなんとか出来れば......」


 そうなればマリンの魔法や俺の白金で腕や脚を切り落として動きを止められるのに。《プロテクション》だっけ?ったくなんて魔法だ。それさえなんとかすれ......ば......


 ある。あの巨兵をなんとかできる方法が。俺は思いついた方法が確実に仕留める事かできるかマリンに確認する。


「な、なあマリン! 魔兵の場合、そいつの魔石を破壊すれば動きをとめられるものか!」

「え? ええ、そうだけど......」


 マリンは俺が噛みながら早口で聞くと戸惑いながら答えた。よし、一か八かやってやる価値はあるな。


「マリン!俺にあいつを何とかする方法がある、お前は俺の言った通りのことしろ!」


 俺は考えた事をマリンに説明する。それを聞いてるマリンがみるみる顔を真っ青にする。


「ちょっと! それもし失敗したら間違いなく死ぬわよ!?」

「このままじゃどうせ死ぬ。俺を信じてくれ! 頼む」


 俺はリーナに懇願する。マリンはしばらく悩んでいたが、すぐに覚悟を決めた顔になった。


「分かったわ、あなたに賭けるわ。絶対に成功させな」

「ありがとう、了解した」


 マリンが目を閉じ、俺は白金を握り直す。そうしてるとやっと巨兵が起き上がり二本足で立ち上がった。


「今度は油断しない。2人まとめて潰してやる......」


 ローブの男は今までで1番怖い声で叫んだ。まあ殺そうとしたら自分がやられたり倒れたりしたのだ。怒るのは当然だ。俺はそんな男に指を指し、負けじと大声で叫ぶ。


「おい、そこのチキン野郎! 自分が安全なところにいなきゃ威張れないくせに偉そうな事言うんじゃねえよ!」

「なんだと?」

「見てろよ、今から俺の最強魔法でその動くデカブツをぶっ壊してやるからよ。せいぜいそこから落ちて落下死しない事だな」


 俺がそう叫んだ後、左手でポーチから投擲用のナイフを取り、


「いくぞ!《ワンアップ》」


 俺は筋力をイメージし、その強化した筋力で角度をつけてナイフを投げた。俺のナイフは角度を付けすぎて巨兵の頭より上に飛んでいく。ナイフが思いっきり的はずれな方向に飛んでいくのを見てローブの男はニヤっとした。

 

 そりゃあそうだ。でかい口叩いて投げたナイフを外したのだ。巨兵ははじき返すことをせずおれに向けてまた腕を伸ばした。そう、全部、俺の予想通りに動いてくれた。


《チェンジ》


 俺の視界が目の前が遠くまで続く木々と青い空が見えた。そう、俺は巨兵の真上に飛んだナイフと位置交換したのだ。俺が上空に現れた事はローブの男は気がついてないようだ。消えた俺にびっくりするくらいしか出来てないはずだ。

 俺は白金に蓄えられた魔力あるだけ全部取り出し、本日4回目の魔法を使う。


「くらえ!《キャンセル》!!!」


 俺が村長に教えて貰った無属性魔法、触れた相手の魔法を無効する魔法キャンセルを使うと体が少し白く輝いた。これに触れると無効化するのだろう。

 俺は発動を確認すると白銀を巨兵に斬りつける。すると先程まで鋼鉄より硬かった岩が粘土を切るような感覚で白金が岩を斬り込む。そしてそのまま、俺は重力に引っ張られ下に落ちる。そして俺が握っている白金もどんどん下に斬りこんでいく。


「なにいぃぃ!??」

「いっけーーーーーーーーーー」


 頭を斬りこみ胴体を切り込み始めた俺の白金は赤く光るコアをも斬りこみ、巨兵を真っ二つに斬る。巨兵はコアを失い、ただの岩になって崩れ落ちていく。俺は着地した後、体を支えることができず倒れた。


「うわあああ」


声の方を見るとローブの男が落ちていく姿が見れた。いきなり5mの高さから落ちたのだ。そりゃそうなる。


《風に転換 吹っ飛べ エアブラスト》


 マリンが俺の指示通りに落ちてきたローブの男に魔法を撃つ。バスケットボール並に大きい風の塊が飛んでいき、まともに防御もできずにローブの男に当たった。


 その瞬間、風の塊が爆発しローブの男が凄い勢いで飛んでいく。木の幹にぶつかり男が動かなくなった。今度こそ無力化したようだ。


「やっ、た。やったぞ巧!」


 マリンの嬉しそうな声が聞こえた。けど俺はそれに答える事が出来なかった。力が抜けたせいで一気に魔法の連続使用と急激な魔素の消費による疲労感が襲ってきて何も出来なかったのだ。俺は目を閉じ、気を失った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ