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異世界転移!~才能がなくとも活躍できることを証明してやろう~   作者: かずっち
第二章 生きるって大変
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*014 服と散財

*014 服と散財


ラウルらと食べて飲んで(俺は果汁水ジュースだが)騒いでいると気がついた時には日が登り始め、空が薄らと明るくなっていた。

ベロンベロンに酔ったラウルやフラフラになったシャンを意外なことに全く酔っていないカールが連れて帰っていた。

リーナに関しては途中で寝ていたので、ルミエルさんが部屋に連れていっていた。

 その姿を見ていると本当にお母さんのようだ。部屋に戻りスマホを開くと朝の5時を回っていた。俺はこんな時間に寝て起きた試しがない。明日ははやめにやっておきたいこともあるので筋トレでもする事にした。




「うーーーん」


 ルミエルさんの朝ごはんを食べて8時過ぎたあたりで俺は防具屋に来て悩んでいた。


 今着ているのは前の世界で来ていたパーカーにズボンという普通の格好だがそれでもこの世界では珍しい服装らしくちらちらと見る人がたまにいる。

 さらに魔獣との戦闘でところどころ破けていたりとさらに奇抜さが出ておりかなり注目される。それに服の替えなんかも持っていないのでついでにまとめ買いしておきたかった。ルミエルさんに服を買える場所として防具屋を教えてくれたので来てみたのはいいが......


「どれが似合うんだろう?」


 俺は普段、平日は学生服にパーカー、休日などはジャージとまったくおしゃれに興味がなかった。人と関わる事なんて滅多にないのでお金の無駄だと思っていたのだ。

 そのせいでどれがいいなどまったく判断できなかった。おまけにここは異世界、服のセンスが違うかもしれないとなると余計に分からない。こういう時に店員に聞くという技があるのだが......


「なんでも似合うわよ! 気に入ったものを買えば問題なし!」


 とにこにこと答えるのだ。参考にならないなーもう。


「お前、なにしてんだ?」


 頭を抱えて悩んでいると後ろから声がかけられた。振り返るとそこには見覚えのある赤毛の女の子が立っていた。


「えっと、マリンさんだっけ?」

「マリンでいい。だけどあの女みたいにマリーって呼んだら、魔法ぶっ放すからな」


 マリーっていうのは初対面の時にリーナがマリンの事を呼ぶ時に言っていた愛称だ。本人はかなり嫌がってるが。


そういえばこの娘と話すのは初めてか。


「じゃあよろしく、マリン。俺の名前はた......」

「巧でしょ、昨日おとうさんがずっとあんたのこと褒めるもんだから大変だったわよ、まったく」


 どうやら村長が俺の事を話していたらしい。マリンにとっては迷惑っぽい感じだが。


「で? あんたなにやってるの」

「ああ、俺は服を買いにな。けどどれが似合うかわからないから悩んでで」

「ふーん、まあそんな恰好してるのは目立つからなー」


 マリンが俺の破けたりしている格好を見ながら呟く。ですよねー。と自分でも思う。ふとマリンの格好を眺める。

 下は膝が隠れる程度の動きやすそうなズボン、赤いシャツにポケットがいくつかあるジャケットを着こなしておりなかなかカッコいい恰好だった。


「なあ、もしよければいくつか服を選んでくれないか?」


 とマリンに頼む。この娘、服のセンスがいいし初対面ってわけではないので頼んでみる。するとマリンは一気に笑顔になった。


「いいぜ、ただその後私の頼みを聞いて付き合ってくれればだけどな」


 付き合ってという事はマリンも用事かなにかかな。こっちの服選びを手伝ってくれるんだし買い物とかなら荷物持ちが必要だったのかもしれない。それくらいやってもいいか。


「わかった、この後武器屋にも行きたいんだけどその後でよければ」

「うっし、決まりだ!じゃあ選んでやるよ」


 マリンが防具屋の服やズボンなどを色々とチェックする。

 10分くらいしていくつか選んでもらった服を渡される。デニムジャケットや線の入ったシャツなどどれも悪くないデザインだったので即買いする。

 それに加え、戦闘用に対斬耐性の高いコートやポーチなども買う。この買い物でわかったのだがこの世界の通貨を日本円に換算すると銅貨は100円、銀貨が1000円、金貨が1万円程度の価値だとわかった。

 服って意外と高いんだなー。この買い物で有り金半分以上無くなってしまった。


 防具屋での買い物が終わった後、武器屋に行く。中に入るとラモスさんが剣のメンテをしていた。

 一昨日俺とリーナの持ってきた研ぎ石でさっそく仕事しているのだろう。お店に入った俺に気がつくとすぐにこちらに来てくれた。


「よう巧、さっそく来たか!」

「おはようございます、ラモスさん。依頼と投擲用のナイフがないか探しに来たんですけど」

「おう、それならどっちも山ほ......ってマリン! なぜここにいる!」


 ラモスさんが俺の後ろにいたマリンに気が付き驚く。けどそこまで驚く必要あるのか?


「なんだよ、ラモス。私がここにいるのが問題なのか?」

「最初に言っとくがお前にやる依頼はないからな! それで死なれたら後味悪いからな!」

「んだと! 私が弱くて死ぬって事か!」


 二人がぎゃあぎゃあ騒ぎ出す。いったいどうなってるんだ?確かにマリンはリーナや俺と同い年くらいだろうがマリンはリーナと同じように中級魔法が使える。

 リーナが余裕で森に入れるんだから実力的には問題ないはずなのに。村長の娘だからそれとこれとは話が違うのだろうか。


「だいたい、お前村長の厳命で一人で森にいけないだろ! だから無理だ」

「だから今回は、ここにいる巧に一緒に来てもらうように頼んだんだろうが」

「なにーーーーーー!」


 と指を俺の方に指しながらマリンが言うとラモスさんが凄い顔をした。ってちょっと待て!


「え? 付き合うって森にってことだったのか?」

「そうよ、私一人じゃ森にいけないけど誰かに一緒に来てもらえればいいからね、言っとくけど、もう無理とかなしな」


 まじかよ、いや内容を聞かなかった俺も悪いが。それにリーナほどの魔法の実力を持ちながら一人で森に行っちゃいけないって......


 それにこのマリンの性格だ。嫌な予感しかない。


 ラモスさんが凄い勢いで、俺の肩を引っ張って店の奥に連れてきた。


「マリンの言っていたことはほんとか?」


 ラモスさんがいままでで一番真剣な顔で聞いてきた。


「しちゃいました......」

「まじか......」


 俺とラモスさんのテンションが目に見えて低くなっていく。どうしよう、俺後悔しないように思った事をちゃんと言うし、行動する人だけど人生で今一番後悔している......

 ラモスさんが俺の両肩をがっしりと掴み、俺にドスの利いた声で言う。


「いいな巧!こうなったら仕方無い! あいつが馬鹿しないようしっかり見張ってろ、いいな!」


 そう言うラモスさんの顔には冗談なんて微塵も見えない、本気の顔だった。うん、今度からちゃんと内容聞いてから考えますよ、くそうっ!

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