らっしー
らっしーは、犬である。
アスランとともに、オリバーに拾われた、大型犬だ。
らっしーは、前の世界のことを覚えている。
らっしーは、貴族の家で生まれた。
らっしーも、仔犬だったので、はっきりとは覚えていないが
アスランは前の世界でも、拾われてきた子供だった。
らっしーを飼っていた貴族の家の人間達は、らっしーとアスランを大切にしてくれたけれど、
何かがうまくいかなくて、
アスランはまた、居場所を失ってしまった。
でも、今度はアスランは一人ではなかった。
らっしーと一緒だ。
らっしーとアスランは、風に守られて、
長い長い間、さまよった。
今度、二人が生きるこの世界は、前の世界によくにている。
空が青くて、雲が白くて、風が気持ちいい。
アスランは、長い長い間に
少し小さくなってしまった。
笑うことを忘れてしまった。
でも、らっしーは覚えている。
アスランとたくさん遊んだことを。
アスランとたくさん話したことを。
アスランがとびきりの笑顔をもっていることを。
いまも、アスランはらっしーの世話をしてくれる。
水をくれて
ご飯をくれて
ブラシをして
ハグしてくれる。
らっしーは待っている。
また一緒に遊ぶことを。
たくさん、話しかけてくれることを。
とびきりの笑顔をみせてくれることを。
らっしーは願っている。
今度こそ、幸せになることを。
無事に大きくなることを。
いつまでも一緒にいられることを。
『らっしー。』
小さくなったアスランはらっしーに抱きついた。
『わふん?』
『大好き。』
『わふ。』